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36  作者: 川之一
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69. 旧五野八(ダラメット編15)


 ……仲間になったということでいいのだろうか? 


 右手に車のキーを持ったままなので、ザンツィルはスールイティ団に戻るつもりはないのだろう。サングラスをかけるとこちらをジッと見ていた。

『では仲間のダラメット君、オレはもう行くから静かに任務に戻れよ。いいか? し、ず、か、に、だ。さよなら、仲間のダラメット君』

そう言うと、ザンツィルは出口に向かって再び歩き出してしまった。


 『……ザン兄貴を、一人で行かせるわけにはいかないんじゃないんすか』


 心の中で迷い始める。


 ザンツィルがスールイティ団から抜けるのならば……自分はどうする?


 ライメゼにも借りはある。だが、もう借りは返せる程、任務をこなし自分はスールイティ団に貢献してきた。だとしたら、どうするか答えは出ていた。



 ──『ザン兄貴について行くっす!』



 スールイティ団に所属していれば、高額な報酬金に外でもカッコいいとちやほやされ良い事尽くめだった。だが、スールイティ団を抜ければ全てが無くなる。

『……』

やはり迷いがあるのか進もうとしていた足を止めてしまった。


 ふと、前を見る。



 遠のいていくザンツィルの後ろ姿。


 "一人で何処へ行く"のだろうか。



 『すっ!』

止めていた足を進める。


 ──タッタッタ


 ──タッタッタ


 『……』

出口の前でザンツィルが止まると、自分も慌てて止まる。ザンツィルはゆっくりとこちらに顔を向けてきた。間違いなくサングラスの下は睨んでいるだろう。

『おい、何だよ? ついて来るな』

『なぁに言ってるんすか、ザン兄貴! 仲間じゃないっすかぁ! 何処までもついて行くっすよ‼︎』

瞳を輝かせながら満面の笑みで答える。


 『面倒くさいな、お前。仲間だのついて来るだの……さっさと消えろ』

本気で怒らせてしまったようだ……。ザンツィルは自分の後ろにある大理石の台の上に視線を向けていた。

『んじゃ、本当にさよならだ。使えないダラメット君』

『えっ?』


 ──カッシャーン!


 大理石の台の上に置いていた壺が勝手に落ちて割れてしまった。台の近くに立っている所為で、400万ゴルドもする壺を自分が割ったかのようになってしまっている。

『こ、これは……36番力っすか⁉︎』


 ──『お、おい、ダラメット何やってるんだ‼︎」

 ──『この台の近くは通っちゃダメって言われてたじゃない‼︎』


 壺が割れた音を聞いた他の団員達が慌ててこちらに駆けつけて来た。

『ち、違うっす‼︎ 俺は何もしてないっす‼︎』


 ──『とりあえず、早くリーダーに謝ろう‼︎』

団員に腕を掴まれて引っ張られる。

『待ってくれっす‼︎ ザン兄貴は⁉︎』


 こちらを見ながら深い笑みを浮かべると、ザンツィルは出口から出て行ってしまった。


 『ザン兄貴ぃぃいいい‼︎』


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