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36  作者: 川之一
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68. 旧五野八(ダラメット編14)


 『ひぇぇええ‼︎ 怖ぇぇええ‼︎ やべぇっす‼︎』

恐怖で自分の手が震え始めていた。このまま仲間になりたいと粘っていても無理そうである。胸倉を掴まれているので首が苦しい状態だが、何か手段を考えなければ……。


 ふと、ザンツィルの左目をよく見ると確かに薄茶色と赤色の二色の瞳だった。赤色は瞳の下の部分にあるが、そんなに気にする程なのだろうか。中央依頼店(オーダーセンター)での任務の時も、ザンツィルはずっと色の付いた眼鏡をかけていた。

『ザ、ザン兄貴、左目カッコいいじゃないっすか! 俺から見たら凄い洒落てるっすよ!』

ザンツィルは驚いた表情をすると、胸倉を掴んでいた両手を離した。気の所為だろうか、左目のことを言うと少し動揺したように見える。

『……兄貴って呼ぶな。仲間にするつもりもないし、さっさと任務に戻れば? もうオレは行くんで! ったく、ふざけた事言いやがって』

落ちていたサングラスを拾うと再び出口に向かって歩き出してしまった。


 もう、こうなれば自棄である。


 『俺はぁあああ‼︎ どうすればぁああ‼︎ 仲間にぃいい‼︎ なれますかぁああっすぅうう⁉︎』

物凄い大声で離れて行くザンツィルに向かって問いかける。


 廊下を歩いていた団員達がこちらに目を向け始める。ザンツィルは慌てて右手の人差し指でこちらを差しながら戻って来ていた。

『う、うるせぇよ‼︎ お前、マジでやめろ‼︎ 他の奴らが見てるだろうが‼︎』

『じゃあ、仲間にしてくださいっす!』

『無理だって言ってるだろ‼︎』

『じゃあ、ずっと叫ぶっす』

『はぁああ⁉︎』

仲間にすると言うまで絶対に諦めるつもりはない。命の恩人であるザンツィルの力にどうしてもなりたいからだ。


 だが、自分にはもう一つ"気になっている事"があった。


 ──それは、再び自分の勘。


 ザンツィルが36番の審判のコインを持っていることは分かっている。中央依頼店(オーダーセンター)で36番力を見せてもらい、どのような番力なのかも分かっている。


 ザンツィルは女神に選ばれた最後の36番。


 過去に女神に選ばれた36人の最後は……"全員が死んでいる"。


 『兄貴、お願いしますっす。どうしても……仲間になりたいんす! ……仲間がどうしても嫌と言うなら、せめてスールイティ団に残ってほしいっす! お願いしますっす‼︎』

土下座して深々と頭を下げる。どうしてもザンツィルを引き留めたかった。

『お、おい、やめろって‼︎ 早く立てよ‼︎』

『お願いしますっすぅうううう‼︎』

わざとうるさく涙声でお願いする。


 『うるせぇって‼︎ 分かった、分かったから‼︎ 早く立て‼︎』


 『やったす……』

口元に深い笑みを浮かべた。


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