63. 旧五野八(ダラメット編9)
スールイティ団のアジトには大量の財宝があるのだろう。500万ゴルドをあっさり渡せるとは……。
『あんた凄いっすね。色々と……何で、こんな番号カードを当てるイベントに参加していたのかも謎なんすけど』
『いやぁ、小遣いに500万ゴルドも欲しかったからさぁ〜。色々も気になるけど、まぁ、いーや。さぁ、行こう!』
机上に顔を伏せて眠っている男性の側に500万ゴルドが入った封筒を置き、ライメゼは事務所の出口へと向かった。
『だ、大丈夫すかなぁ……』
とても不安だ。今はもうライメゼを信じるしかない。
──ガチャ
『動くな‼︎ 保安雇人だ‼︎ この建物内からヘルプ通知が出ているが貴様ら何かしたのか⁉︎』
外に出ると銃を構えた数人の保安雇人達があっという間に自分達を取り囲んでいた。もし、嘘をついているのがバレたら、スールイティ団のリーダーであるライメゼも捕まるだろう。自分も捕まるわけにはいかないのでライメゼのフォローをしなければ。ライメゼはすぐに両手を挙げると自分も慌てて両手を挙げた。
『何もしてないんですよ〜! イベントの当たり金を渡そうと思ったら彼が急に眠ってしまって、俺達も困っていたんです。彼を助けてあげてください!』
さすが、盗賊団のリーダーと言うべきか……演技が上手く本当に困っているように見える。
保安雇人達は顔を見合わせていた。どうやら信じ切ってはいないようだ。銃を構えたまま、こちらに近付いて来る。
『どこの会社が主催しているか答えろ‼︎』
言ってしまったら、雇われていた会社に行かれて不正がバレてしまうかもしれない……焦りで目が泳ぎ始める。
ライメゼは小さく肩を叩いてきた。
『なっ……⁉︎』
『俺が社長だよな! ブラッストロ社が主催しているんだよねー!』
ライメゼが言っているのは、きっと架空の会社名だ。どうやら自分は社員を装えばいいらしい。
『そ、そうすっねぇ、社長! お客様と一緒に当たったことを喜んでいたっすもんね!』
保安雇人達は再びお互いの顔を見合わせる。ライメゼがスーツを着ていて良かったと安堵していた。少しは社長らしく見えるからだ。
『なら、会社証明書を見せろ。社長なら持っている筈だろう』
ライメゼの目つきが鋭くなっていた。まさか、会社証明書を要求されるとは……架空の会社なので有るわけがない。さすがにもうダメだろう……持っていないと言えば、会社までついていくと言ってくる筈だ。
ゆっくりと目を瞑る。
『牢獄の中へ……とうとう行くんすね。スールイティ団のリーダーも道連れとは面白いっす』
ライメゼはスーツの内側ポケットに手を入れていた。
『えーと、あっ! あったあった!』
嘘だろ、と言わんばかりの表情でライメゼを睨んだ。




