60. 旧五野八(ダラメット編6)
『やっぱり……あんた只者じゃないっすね』
スーツ姿の金髪の男性は分厚い封筒を持っていた。いったい何者で何をしに来たのだろう……鋭い目つきで睨みながら警戒する。
『あー、その人に手を出さない方がいいよ。保安雇人と会話してるの見たから』
『ありゃ〜、バレたら俺やばいっすね。ご忠告どーもっすぅ! どもどもー』
左手を振りながら棒読みのような返事をし、再び眠っている男性の方を向いた。
『あれ? "気絶させる"んじゃなかったの?
それじゃ、眠らせただけじゃないか?』
何故、"気絶させるという命令"があることを知っているのだろうか。
袖の中に隠しているナイフを握る。もし、雇われている会社の内部情報を知っているのならば口封じが必要だろう。
『何すか、あんた? 用がないならさっさと消えてくれっす』
『酷い言い方だなぁ〜。あのさ、今の会社を辞めて"スールイティ団"に入らない?』
『入らんっす』
即答で返事をした。
『えぇぇ……返事早くない? もうちょっと考えてみるとかさぁ……』
スールイティ団という盗賊団の噂は聞いたことがある。所属しているのは凄腕の盗賊ばかりで、任務は殆ど失敗することがないらしい。悪名高い金持ちから全財産を盗むことでも有名だが、リーダーがどんな人物なのか謎に包まれた盗賊団でもあった。
『あんたも大変すねぇ。リーダーだっけ? にもこき使われているんじゃないんすか? あんたらのリーダーに伝えておいてくれっす、入ってもらいたければ1000万ゴルド用意しろって……ぷぷ』
馬鹿にしたような顔で笑っていると何故か金髪の男性も大笑いしていた。高額な金を要求され驚いて笑ってしまっているのだろう。
『アハハハ! こきになんて使ってないよ、失礼だなぁ。じゃあさ、1000万あげるから入ってよ』
『はぁああ? 馬鹿なんすか? お前じゃないっすよ! リーダーにって言って……』
金髪の男性は自身に向けて右手の人差し指を差す。
『リーダー、リーダー、俺がね』
ニコニコと微笑みながら金髪の男性は自身に指を差し続ける。
目の前にいるスーツ姿の金髪の男性が、スールイティ団のリーダー?
唖然とした表情で金髪の男性を見ていた。何故リーダーである人物がこんな番号カードを当てるような会場に来ていたのだろう。500万ゴルドを狙って来たのだろうか……だが、スールイティ団からしたら少額な筈だ。
『俺はスールイティ団のリーダー"ライメゼ"だ。名前ぐらいは覚えてほしいなぁ〜』
ライメゼは右手を差し出してきた。握手をするつもりなのだろうが、自分はスールイティ団に入る気は全くない。
ライメゼが差し出していた右手を振り払った。




