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36  作者: 川之一
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6. 受付のミリ


 ──ポポン、ポポン


 中央依頼店(オーダーセンター)からの着信はさすがに出ないとまずいだろう。ここで無視してしまったら、二度と裏の依頼を受けられなくなってしまうかもしれない。慌てて通話ボタンを押した。


 「あー……もしもしぃ? 何か用ですか?」

冷や汗が止まらない……詫び金の事を言われたら、どうやって話を逸らせようかとばかり考えている。

中央依頼店(オーダーセンター)受付のミリです。ザンツィルさん、あんなに"見ておけよ"と言っておきながら依頼は失敗したようですね」

本部に行った時にナンパをしたが断られたミリからだった。依頼は失敗しました、なんてとてもカッコ悪くて言えない。

「ミ、ミリちゃ〜ん! やだなぁ、失敗なんてしてないさ! オレは今から向かおうと思っていたんだ」

「そうですか。実は依頼主から詫び金の件について連絡がありました、が……まだ失敗はしていないと?」

冷や汗が更に出始めていた。ミリの口調がゆっくりになっている。このままだと間違いなく"本部まで詫び金を持って来て下さい"と言ってくるだろう。


 海の方にライトフォンを向けて、波の音をミリに聞かせる。

「ミリちゃん……オレは今、海を見ながら君の事を想っていた。この依頼が成功したら君にダイヤモンドの指輪を贈りたい。だから、オレを信じ……」

「失敗したのなら詫び金を本部まで持って来て下さい。違反すれば裏の依頼は今後一切受けられなくなります。では、失礼致します」


 ──ピーピー


 「ミリちゃんは氷のようだ……だが、それがいい」

成功したらミリはきっと喜んでくれる。報酬金を使って大きなダイヤモンドの指輪を買ってから、この砂浜にミリを呼んで渡そう。なんてロマンティックなのだろうか。


 ……頭を抱えて膝を突いた。


 現実に戻ったのだ。


 「あぁぁあああ‼︎ 何で失敗してしまったんだぁああ‼︎ あんな破格の詫び金どうすりゃいいんだぁああ‼︎」

絶望だった……どうすればいいのだろう。


 ──ポポン


 再びライトフォンが鳴り出した。もう画面に表示されている名前も見たくない。このまま何もかも忘れて逃走してしまうべきだろうか。


 ──ポポン、ポポン


 ……またしつこい着信だ。もしかしたら、依頼主かもしれない。せめて文句の一つでも言って電話を切ってやるべきだろう。鋭い目つきでライトフォンの表示画面を見た。


 「……」


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