58. 旧五野八(ダラメット編4)
「アネア……」
アネアはライトフォンを持ったままこちらを睨んでいる。
リーダー……スールイティ団のリーダーのことだろう。
「リーダーに……"ライメゼ"に迷惑をかける気はないっす。でも、ザン兄貴が無事かどうかだけは確認させてほしいっす‼︎」
急いでアネアからライトフォンを奪い取ろうとするが、アネアは決して返そうとしない。今は世界財産のことよりもザンツィルが無事かどうかが気になっていた。
─────
昔、自分はライメゼに助けてもらった恩がある。
貧乏ではなく、そこそこ金持ちだった自分。だが、そのお金は人を騙し続けて儲けた金だ。
『さぁさぁ‼︎ 500万ゴルド、500万ゴルド‼︎ 今日は誰が大当たりが出るっすかねぇ⁉︎ 画面に注目っすぅう‼︎』
狭い室内のテレビ画面に番号が映し出されていく。三桁の番号カードを購入した客達は画面に映し出される番号を固唾を呑みながら観ていた。
三桁という番号ならば当たる確率も高い筈、と思っている客が殆どだっただろう。
だが、自分は番号表示を操る小さな機器を握っている。
客が当日に購入した全ての三桁の番号を覚え、当たらせないように操作をする……それが自分の仕事だ。
『本当、当たらないのに、よく買うっすよねぇ。報酬金がいいから、こんなインチキ会社に従ってるすけど……そろそろ飽きてきたっすねぇ』
真面目に働いていた頃もある。だが、誰かに頭を下げたりすることがとても嫌で長くは続かなかった。
ここは唯、ボタンを押して画面に表示する番号を間違えなければいいだけで楽である。
『げぇ、あの客また来てるんすか? 馬鹿なんすかね?』
目の前にまた何故か毎日来る金色の髪でスーツ姿の男性が立っていた。時々自分をジッと見ている時があるので、ボタンを押す時は慎重に押さなければならない。
まるで、こちらが番号を操作しているかどうか確認しているようにも見える……。
『何なんすか、あいつ? こっち見るなっす! あっち向けっす! くっそ……次は二番目だったすかな⁉︎』
──ポチッ
『あぁあああ‼︎ 当たったぁあああ‼︎ 500万ゴルドだぁああああ‼︎』
一人の客が大声で両手を挙げて喜んでいた。
『はい?』
慌てて画面を見ると次は三番目の番号だったようだ。男性に気を取られた所為で押し間違えてしまった。
『や、やっば……。と、とりあえず、何とかしないとっす……‼︎』
『お、おめでとうございますっすぅううう‼︎ ラッキーなお客様っすねぇ! では、当たったお客様、裏の事務所まで来てくださいっす! 今日は大当たりが出たので終わりっすぅう‼︎』
そう言うと客達は出口へと向かい始めていた。
『あの野郎〜‼︎ クビにされたらぶっ殺してやるっす‼︎』
慌てて金色の髪の男性を目で捜すが、何故か男性の姿は見当たらなくなっていた。




