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36  作者: 川之一
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53. 旧五野八(ザンツィル編)


 「あー‼︎ もう、どこだよ‼︎ 早く出てこいライト、時間がねぇんだよ‼︎」

車の後部座席に置いてある荷物を漁っていた。すぐにトンネルの中に入れるよう準備をしておいた筈なのに、何故かハンディライトが見当たらない。


 ふと、席の下を覗いた。

「おっ、あったぁああ! 何で下に落ちてんだ? あの野郎〜!」

自分が準備した荷物を後部座席に置いたのはダラメットだった。雑に投げていたのでその時に袋からライトが落ちてしまったのだろう。早く気付いていれば走って二人を追いかけたのだが……。

「もう、間に合わねぇよなぁ。しょうがない、行くか!」

色眼鏡をかけなおし、ハンディライトのスイッチをオンにする。強力なパワーの小型なハンディライトを買っていた。自分は幽霊等の話は信じてはいない。だが、中央依頼店(オーダーセンター)でのダラメットの様子を見ていると普通のトンネルではないのだろうと思い始めていた。


 開いたフェンスドアの入り口からトンネルの中を覗く。もしかしたら奥が見えるかもしれないと思い、少しハンディライトを上げてトンネル内を照らしてみる。だが、やはり先は暗く奥は全く見えない。

〈おいおい、何かが出ます感満々だな。何でこんなトンネルに世界財産を隠したんだよ……勘弁してくれよぉ〉


 〈ん?〉

耳を澄ましてみた。


 ──ピチャン、ピチャン


 「水?」

水滴が地面に落ちるような音がトンネル内から聞こえてくる。トンネルの天井から水が滲んでいるのだろうか。


 ──ピチャン、ピチャン


 〈あー、入んのやだなぁ〜。……行くしかねぇか〉


 入り口からトンネルの中へ入ろうとした瞬間。


 ──ピチャン、ピタァ、ピタァ


 音が変わった。


「……いや、待て待て待て。なんか、足音ぽいっのが聞こえるのは気の所為か? しかも裸足の」

慌てて再び奥をハンディライトで照らす。もしかしたら、二人がまだ近くにいるのかもしれない。


 ……誰もいないようだ。


 口を開けたまま呆然としていた。余計な事を考えては先に進めない。スールイティ団に何が何でも世界財産を渡すわけにはいかないのに、恐怖を感じ始めてしまい足が進まなくなっていた。

「……いるわけがない。そうだ、運転手共の嘘に決まっている。分かるだろ? オレ。唯のトンネルだ、早く進めよオレ」

独り言が止まらない。


 独り言を言っていないと、またあの足音みたいな音が聞こえてしまうのではと焦っていた。


 ──ピチャン、ピチャン


 「……や、やっぱり水の音だよなぁ。あー! もう走ればいいんだよ‼︎ さっさと奥に行ってやる‼︎」

入り口からトンネルに入り奥に向かって走り始めた。走っている所為でハンディライトの光が左右に大きく揺れる。真っ直ぐ行けばいいので目を瞑って走ることにした。


 後ろを振り向かなければいいだけだ。


 〈待て、何で背後を気にしているんだ……オレ〉


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