50. スールイティ団のアネア
ピンク色の髪のポニーテールの女性がこちらに向けて手を振っている。
どこかで見たことがあるような顔だが、名前が思い出せない。
「誰だ?」
「あ、あああぁぁあああ‼︎」
隣に座っているダラメットが急に大声を出したので驚いてしまった。
「な、何だよ⁉︎」
慌ててダラメットは車から降りると女性の元へ急いで駆け寄って行った。ポニーテールの女性が誰なのか思い出したのだろう。自分も車のキーを持ち急いでダラメットの元へと向かう。
「ア、アネア、久しぶりっすね!」
「本当に久しぶりね! ダラメット、あなたが依頼を受けていたなんて……嬉しい!」
何故かダラメットは凄く嬉しそうだ。スールイティ団の一員のようだが、過去に所属していた時の自分とはあまり関わったことがない女性だった。ダラメットは自分より一年早くスールイティ団にいたので、ポニーテールの女性とは知り合いのようだ。
「あれ、あなたザンツィルだっけ? あなたもロキョウさんから依頼を?」
アネアは関わりが無かった自分の名前も覚えていた。
「ああ、スールイティ団に今回の依頼の報酬は渡さない。アネアっていったな、悪りぃけど今回の依頼は破棄してくれないか?」
破棄という言葉を聞いた途端、アネアは鋭い目つきでこちらを睨んだ。
スールイティ団に所属している団員達は"諦める"という言葉を嫌う。破棄をしてくれないとは思っていたが……。
「嫌よ、あなたが破棄するべきじゃない? ザンツィル。そんな色が付いた眼鏡なんてかけて、遊びに来てるの?」
自分の左目の事をアネアは分かっていないようだ。何故色眼鏡をかけているかなんて説明する必要はないだろう。何も言わずに黙っていた。
「ア、アネア、違うっす! ザン兄貴は……」
アネアはダラメットの方を向くとダラメットの左肩にそっと右手を置いた。
「ねぇ、ダラメット。私、一人でトンネルに入るの怖くて、まだ行けてないの……一緒に行ってくれないかな?」
「えっ⁉︎ お、俺とすっかぁああ⁉︎」
自分も何かあったらダラメットを身代わりにして逃げるつもりでいたのに……ダラメットが兄貴分である自分をおいていく筈がない。
「数々の修羅場に行くスールイティ団に所属してて一人で行けないはないだろ。ダラ、お前はどうす……」
「アネアと一緒に行くっす!!!!」
即答するダラメット。
〈あー……こーゆう奴だよな、ダラメットは〉
アネアは深い笑みを浮かべながら、持っていたバッグからハンディライトを二つ取り出しダラメットに一つ手渡していた。
「ありがとう、ダラメット。そう言ってくれるって信じてた! じゃあ、これライトね。行こ!」
「はいっすぅ! 何だか、昔一緒に任務に行った時を思い出すっすね‼︎」
ダラメットはライトを受け取ると、アネアと共にコンクリートの壁に向かい中央にあるフェンスドアを開けた。
……鍵は開いていたのだろうか?
気になる事があり、辺りを見回してみる。
〈ラグファミリーの奴らは何処にいるんだ?〉




