48. 番力が無くなった時
「受付長、大丈夫ですか⁉︎」
タイムが慌てて建物の入り口から出てきた。爆弾騒ぎは過去にも何回かあったので、対処方は分かっている。貴重品を盗まれた恨み等から依頼の承認をした中央依頼店を恨む者は多い。受付長である自分の命を狙う者も少なくはない。だが、相手の心が読める6番力のおかげで自分は幾度の危機を乗り越えられていた。
「大丈夫だよ。ミリさんとタイムくん、ありがとう」
タイムはジッと遠ざかっていくシムンの背中を見ていた。
「受付長、何故彼が爆弾を仕掛けたと分かったんですか?」
「アハハ。シムンくんは私と会った時から何をするのか心の中で何度も再確認していたよ。爆弾のこともずっと考えていた」
自分を見るミリとタイムの目が輝いている。
「6番力をいつでも自由自在に使える……さすがです、受付長」
右手でそっとタイムの左肩に触れる。
「君達のおかげですよ、私一人では無理でした。ミリさん、今後も中央依頼店の受付をお願いしますね。タイムくん、"15番力"で警備をしっかりお願いします」
「は、はい……‼︎」
「了解です!」
二人は大きく頷くと先に建物の中へと戻って行った。
スラックスのポケットに入れていたコインケースから6番の審判のコインを取り出す。審判のコインは太陽の光に照らされながら輝いていた。
もし、自分の審判のコインが無くなり番力が使えなくなってしまったら……。
「その時は……ザンツィル、君ならどうしますか? 私は、もうどうするか決めています」
─────
「兄貴ぃいいい‼︎ こっち来すぎっすぅうう‼︎ いやぁあああ‼︎ ぶつかるっすぅう‼︎」
ダラメットのうるさい声の所為で全く運転に集中できない。大きな石があちこちに落ちているので少しずつ避けながら車を走らせていた。微かに見える道路の幅も広くはない為、慎重に運転をするしかない。何が何でもこれ以上は愛車にキズをつけたくなかった。
「オレは……絶対にこの石を避けてやる!」
「やめてぇえええ‼︎ 左へ行くっすぅうう‼︎」
ダラメットが両手で勝手にハンドルを握ってきた。まさか運転するつもりなのだろうか。道路の左側にある古いガードレールは、ぶつかればすぐに壊れてしまいそうな程錆びてしまっている。もし、ダラメットが運転の操作を誤ってしまったら……。
ガードレールの先は崖だ。
「や、やめろ、馬鹿‼︎ 離せ‼︎ ……あっ、そうだ、良い方法があるじゃねぇか!」
ダラメットの両手を振り払い、ハンドルを再び握ると大きな石をジッと見つめた。
「石を……36番力で動かして落とす!」
いくつもの大きな石が勝手に転がりながら崖下へと落ちていく。
「さっすが、兄貴凄いっす! カッケェっす! よっ、全ての世界財産を手に入れる男!」
「おい、オレを誰だと思ってるんだ? 36番に選ばれた男だぞ? こ〜んなの余裕だよ」
──クラァ
「!」
慌ててブレーキを踏んだ。
「ア、兄貴? どうしたんすか?」




