46. キラーアーム
「アッ、ごめんなさい、意味が分からないです。なんで没収されないといけないんですか?」
シムは驚いたのか、慌ててノートパソコンの中に審判のコインを挟んで閉じていた。ザンツィルの暗殺の依頼も止めようとは思っていたが、何より一番自分が許せなかったのは……。
「中央依頼店の内部情報を盗むことはよくないよね」
自分の顔から笑みが消えていた。
シムも何かを感じ取ったのかノートパソコンを持っている右手が震えている。もう反省しても許すことはできない。
「アッ、没収するのなら、ここの重要な情報全部流しますよ! 34番力を使って盗んでやる!」
ノートパソコンを開くとシムは再び操作を始めていた。
34番力"機器の情報を盗む"。
その頃、タイムは受付カウンターの奥でパソコンからデータ保護のセキュリティを強化していた。いくつもいくつもセキュリティプログラムを重ねていく。盗む為には一つ一つのパスワードを解いていかなければならない。
もし、パスワードを全部解いたら……。
「さすが受付長、紙にセキュリティを強化しておいてって書いてあったから何事かと思ったけど……早速、きた」
物凄い早さでパスワードを解いていく。
「アッ、随分と簡単なセキュリティなんですね。こんなの五分で解除出来ますよ。重要な情報が流れたら……あんた終わりですね」
真顔だった表情が歪んでいた。
「そんな……」
「アッ! ほぉおおらぁあ、終わりだよぉおお‼︎ 残念でしたぁああ‼︎」
シムは勢いよくエンターキーを押す。
自分は再び小さな笑みを浮かべた。
「……事有り得ませんよ」
──ピー
〈エラーが発生しました〉
〈エラーが発生しま た〉
〈エラーがががが発生が〉
〈がががががががががが〉
「アッ……えっ……画面が真っ赤に⁉︎ な、何⁉︎ 何んだよ⁉︎」
シムはノートパソコンを掴んで大きく揺らすが、真っ赤な画面のまま完全に動かなくなっていた。
受付カウンターの奥からタイムが慌ててこちらに向かって走って来る。自分が頼んだ事をやってくれたようだ。
「受付長、"キラーアーム"をセキュリティの中へ侵入させました。外部から侵入して来たシステムを破壊してしまったようですが、大丈夫ですかね……?」
「34番力を破壊⁉︎ あはは、凄いね。ありがとう」
殺気を感じ慌ててシムの方へと左手を伸ばす。自分を殴ろうと向かってきたシムの左手の拳を受け止めた。
「アッ、あんた……何なんだよ⁉︎ 何で受け止められるんだ⁉︎」
「もう諦めたらどうだい? "シムン"くん。君は女神に簡単に"操られて"しまいそうだ。審判のコインを持つべきではない」
「アッ、な、何で本名を……⁉︎」
受付カウンターから出ると、審判のコインが挟まっているノートパソコンをシムンから取り上げた。




