31. 誓約書
依頼を受けなければ、3000万ゴルドも手に入れられなくなってしまう。
サングラスのブリッジを少し上に上げる。行かなければ世界財産の噂も本当か分からないままだ。過去の5番と8番の事も何か分かるかもしれない。自分の中で受けないという選択肢はなかった。
「依頼、受けますよ」
「ア、兄貴⁉︎」
驚いたダラメットが座っていた椅子から立ち上がる。
「3000万もだが、世界財産のことなら放っておけないだろ。お前は怖いなら来なくても大丈夫。オレ一人で十分だ」
自信満々の自分を見て気になったのか、ロキョウは不思議そうにこちらを見たまま首を傾げていた。
「随分と余裕そうに見えるけど、何か良い方法でも思い付いたのかい?」
トンネルという言葉が出ていた時点で既に良い方法は思い付いていた。
……そう、自分にはSrunという愛車がある。
「フッ、オレの愛車のフルスピードで奥まで突っ走ればいいだけじゃねえか。使われていないのなら他の車も通らないだろうし」
「……」
何故か三人は黙ってしまった。きっと自分の思い付いた方法があまりにも素晴らしかったのだろうと思い照れ笑いする。
「ごめん、ザンツィル。言い忘れていたけど、トンネルの入り口と出口はコンクリートの壁で塞がれていて、壁の中央にあるフェンスドアからでしか中に入れないんだ」
「はい?」
フェンスドア……人しか通れないということなのだろうか。
「な、何でだよ⁉︎ 塞ぐ必要なんかないだろ‼︎ 歩きじゃないとダメなのか⁉︎」
ロキョウは小さなため息をつくと、自分の前にある誓約書を回収しようとしていた。慌てて右手で誓約書を押さえ込む。
「受けないなんて言ってないだろ」
「君はこの依頼を甘く見過ぎている。本当に危険な目に遭ってしまうかもしれないと思ってね。ミリさん、回収を……」
馬鹿にされているような感じがして苛立ってきていた。受付長だからと怒らないようにはしていたが。サングラスが少し下にずれていても上げることなく、鋭い目つきでロキョウを睨んでいた。
「ふざけんな。オレは絶対に奥に行ってやるからな」
誓約書を引っ張ると下方にある署名欄に自分の名前を書いた。
署名欄を確認してからミリはロキョウの方に顔を向ける。
「受付長、ザンツィルさんは依頼は受けるという事で承認してよろしいでしょうか?」
「……」
何故かロキョウは黙っている。ダラメットも慌てて誓約書に名前を書いていた。
「お、おい⁉︎ お前はいいって! ついてくんな、邪魔なんだよ!」
「俺はザン兄貴がどこに行こうと一生ついて行くっすよ!」
「気持ち悪りぃよ、本当についてくるなよ」
ロキョウは小さな笑みを浮かべながら、スーツの懐から白色の小さな四角い箱を取り出す。小さな箱を開くと、中には中央依頼店の認証印らしき物が入っていた。




