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36  作者: 川之一
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30. トンネルの奥には


 「ブッフ!!!!」


 少し飲んでいたアイスコーヒーをダラメットの方に向けて吹いてしまった。まさか、トンネルの話から急に世界財産という言葉が出てくるとは。

「うわぁああ‼︎ 汚ねぇすっぅぅう‼︎」

ダラメットは慌てて服に付いたアイスコーヒーを机の上にあるティッシュで拭いていた。


 「せ、世界財産って本当なんですか⁉︎ 誰がそんな場所に⁉︎ 理由は⁉︎ 誰かを向かわせてないのか⁉︎」

思わず席から立ち上がり、前のめりになる。ロキョウは両手で自分の両肩を掴むと、再び席に座らせてきた。

「落ちついて」

落ちついてなんていられない……世界財産は自分が一番手に入れたい物だからだ。3000万ゴルドも気になるが、世界財産の方がもっと気になっている。


 今すぐにでも出発したいところだ。


 「まだ噂の域なんだよ。もう誰も来ないと思ったのか、まさかトンネル内に隠すとはね。数ヶ月前に調査団を旧五野八(ごのや)トンネルに向かわせたんだ」


 「なっ……!」


 まさか、もう見つかってしまったのだろうか。


 もしかしたら、自分達にトンネル内の後片付けや掃除等をやらせるつもりなのだろうか。不安が先に押し寄せてくる。

〈見つかってたら……くそっ‼︎〉

悔しさのあまり、額に手を当てた。

「ザン兄貴……」

ダラメットは心配そうにこちらを見ている。


 「見つからなかったよ」

「は? 奥まで行ったんじゃないんですか?」


 やはりただの噂だったのだろうか。だとしたら、何故自分達がまた行かねばならないのだろう。ロキョウは険しい表情でこちらを見ていた。

「行った……いや、"行けなかった"んだよ。帰って来た調査団員達が口を揃えて言っていた言葉はね……」


 「"奥は真っ暗で何もありません"だった」


 ……違和感を感じ、首を傾げた。


 暗いトンネルの中に入る時、人はライトを持って行く。奥まで行けたとしても真っ暗ではない筈だ。違和感を感じたまま無言になっていた。

「気付いたようだね。ライトを持っていれば、奥は真っ暗だったとは思えない」


 「つまり、調査団員達は"奥まで行けなかった"んだよ。……おかしいよね」


 サングラス越からロキョウを睨みつけていた。


 ロキョウの話が本当ならば、確かに薄気味の悪いトンネルだ。まるで、誰も奥に行かせないよう拒んでいるような。

「このトンネルが使われなくなったのも不可解な事が多発したからなんだよ。そこで! 今度は、君みたいな出来る人達に奥まで行って本当に世界財産があるか見て来てもらいたいんだ」


 ……だったら、自分一人で良かったのだが。


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