159. 何処へ?
このままだと、ドアノブが壊れてしまいそうだ。
〈ヤ、ヤバい‼︎ どうする⁉︎〉
何も思い付かずパニック状態である。補助錠が壊れてもドアを開けられないように、必死に中から肩でドアを押していた。このまま何もしないでいると、影の女性は部屋に入って来てしまうかもしれない。
──ダン、ダン! ダン!
女性はドアを蹴り始めたのだろうか……いや、叩いている? 力尽くで壊すつもりなのだろうか。ドアを押している自分にも強い衝撃がくる。
〈待て待て待て⁉︎ 力、おかしいだろ⁉︎〉
蹴りか殴りかは分からないが、女性の力にしては物凄く強い。
「イラッシャ……」
我慢の限界だった。
「開けるなぁあああああ‼︎」
精一杯の大声で叫ぶ。もしかしたら、女性は驚いて逃げてくれるかもしれない。もう、自分にはドアが壊れないように祈るしか方法はない。ドアを背にして、目を瞑っていた。
──「な、なんか人の声が聞こえたよ? この倉庫から」
──「えっ? 使われてないんだし、人なんているわけないよ。それに、ここ一番ヤバいって言われている部屋だろ?」
……ドアの外から男性と女性の声が聞こえる。
もしかしたら、別の人達が自分が閉じこめられている部屋の近くに来ているのかもしれない。慌てて振り向き、ドアを叩いた。
「誰かいるのか⁉︎ ドアの前の人を何とかしてくれぇえ‼︎」
──「ほら、やっぱり人がいるじゃない!」
──「えっ? ほ、本当だ! ちょっと待ってて、今ドアを開けるから」
──カチン
補助錠を開ける音が聞こえた。
ドアを開ける? ドアの前にいる女性に話しかけて退いてもらうのが先では……。何が何だか分からず、左目と手錠の事を忘れて混乱していた。
──ガチャ、ギィィィ
ライトを持った若い女性と男性が部屋に入って来た。
「あっ、男の人だ」
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫じゃない……けど、開けてくれてありがとうな」
安堵し座り込んでしまった。どうやら、ドアの前にいた女性はいないようだ。何処へ行ったのだろうか……ドアを開けてくれた彼等なら何処へ行ったか見ている筈だ。開いたドアから外を覗くと、右側には長い廊下が続き、左側には非常口と書かれたプレートが廊下に落ちていて、その後ろには錆びた大きなスチールドアがあった。
「なぁ、ドアの前にいた女性は何処へ行ったんだ?」
「えっ?」
「女性?」
何故か二人は驚いた表情でこちらを見ている。自分は驚いている表情の意味が分からずに二人を見ていた。聞きたくはないが、確認してみるべきだろう。
「見て……るよな?」




