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36  作者: 川之一
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158. パニックザンツィル


 今、"あなた"と言っていたのだろうか?


 「えっ?」

欲しい物は何か聞いたのに、あなたというのはどういう意味なのだろう。


 自分が欲しい……?


 女性の言っている意味が分からない。もう一度聞いてみるべきだろう。

「すまん。もう一回欲しい物を言ってくれないか?」

もしかしたら、聞き間違いかもしれないと思い、先程よりもしっかりと耳全体をドアに付けた。もう絶対に聞き間違えないように、目を閉じて耳を澄ます。


 「……」

何故か女性は喋らない。


 どうしたのだろうか? 気になり顔を上げて窓を見た。


 ……女性の影が先程よりもドアの窓に近付いている。


 〈ん? 動いたのか? 足音なんて聞こえなかったけど……もしかして、開けてくれるのか⁉︎〉

やっと気味が悪い部屋から出られると思うと、満面の笑みになっていた。ドアの前でうきうきな気分のまま開けてくれるのを待つ事にした。

〈早く、早く!〉


 ──クスクスクスクス


 ドアの補助錠を開ける様子は無く、再び女性は笑い出していた。何故、笑っているのだろうか?


 ……何か変だ。


 満面の笑みだった表情は真顔になっていた。旧五野八(ごのや)トンネルの件が脳裏をよぎった時に、何となく嫌な予感はしていたのだ。自分は、お化け等は信じてはいない。だが、旧五野八(ごのや)トンネルでの出来事があってから、いるんだと思い始めていた。


 ドアの前にいる女性は……。


 「……」

窓からは午後の明るい光が差し込んでいた。先程まで話していたのに、急に黙り込むと怪しまれてしまうだろうか。だが、これ以上話しかけてもいいのか分からず黙り込んでしまう。


 「や、やっぱり開けなくていいかなー! そういえば、オレ……この部屋から逃げ出すなって言われてたんだよなぁあー!」

わざと大きい声で女性に聞こえるように話した。


 ドアを開けてはいけない気がする。


 「アナタ、アナタ、アナタ」


 「……」

寒気と共に顔が真っ青になっていく。物凄く嫌な予感がする……。


 ──カチャ


 女性はドアノブを回したようだ。補助錠に気付いていないのだろうか? ドアを開けようとするのならば、先に補助錠を外さないといけないのだが……。

〈よ、良かったぁあああ‼︎ 補助錠って素晴らしいなぁああ、おい‼︎〉

だが、やはり不安なので慌てて両手でドアノブを引っ張り、話しかけない事にした。無言でいれば、何処かへ行ってくれるかもしれない。


 この建物はいったい、何に使われていたのだろうか。


 ──カチャカチャ


 〈いやいやいや、開けなくていいって‼︎〉


 ──ガチャガチャガチャ!


 女性はドアノブを激しく回している。

 〈のぁぁあああああああ‼︎〉


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