155. 花のフラーワ
フラーワ街道へ通じる道を走って行く。
"花のフラーワ"と呼ばれている多くの花屋があることで有名な大きな街がある為、その近くを通る事からフラーワ街道と名付けられた。植物や花で有名なフラーワが管理している道路なだけあって、道の左右には綺麗な花や植物が植えられている。花を見る為に、わざわざ遠くからフラーワ街道へ来る者も多い。
フラーワに寄りアネアに綺麗な花を買って渡す、妄想をしていた。だが、今はフラーワに寄る時間は無い。
一刻も早くライメゼに会わなければ。
「あのさ、気にしてる? リーダーが怒ってないかって」
思わず驚いた表情でアネアを見てしまった。何故分かったのだろう? 自分は険しい表情でもしていたのだろうか。慌てて笑顔で答える。
「す、少しだけ気になってはいるっす。……その、五年も連絡もしてないっすし……」
物凄く気にしているがアネアに気を使わせたくない。少しだけ、という事にしておこう。
……だが、さすがに酷いだろうか。大切な友人だと思っているのなら一回ぐらいは連絡するだろう。
スールイティ団を離れてからあまりにもバタバタと忙しくしており連絡が出来なかった。ライメゼが大きな怪我をしていた事すらも分からなかった自分に、大切な友人だなんて言える資格は無いだろう。
「ごめんっす……」
「何で謝るの? リーダー、怒ってないよ」
「えっ?」
ライメゼは自分の事を怒っていない?
アネアは小さく笑っていた。
「ダラメットが出て行ってから、ザンツィルといると苦労してるんだろうなぁ〜、とか言いながらダラメットの事気にしてたんだよ。ザンツィルの事もね、仲間が側にいれば彼は必ず大事な事に気付ける、って」
「……」
……ライメゼは自分とザンツィルがスールイティ団を出た後も気にしてくれていたようだ。
驚いたまま、何も言えなくなっていた。いや、何を言えばいいのだろう……良かった? 安心した? アネアに笑顔なんて見せて、自分が情けなく感じる。
話しているうちに、いつの間にかフラーワ街道へと入っていた。
左右の道路端に咲いている綺麗な花々に思わず見惚れてしまっていた。わざわざ遠くから見に来る人達の気持ちが分かったような気がする。風に揺れる花を見ていると、悩みの荷が下り心が軽くなっていくように感じた。
自分の中で一つだけ決めた事がある。
「ライメゼに会ったら、スールイティ団とザン兄貴がお互い協力をして、審判のコインと世界財産を探せないかお願いしてみるっす」
「えっ?」
アネアは唖然とした表情だ。ザンツィルの事が気に入らないアネアは反対するだろうか。
「ダ、ダメっすよね? ザン兄貴にも協力するように頼んでみるっすけど……」
「……あいつは好きじゃないけど、リーダーがいいよと言えば私も手伝うよ」
風に揺れる花々は、まるで自分達を歓迎するかのように更に大きく揺れ始めた。




