154. フラーワ街道
詫び金を払わない……いや、払えない場合は奪略商はどうするのだろうか。
「もし、お金が無くて払えなかったら、奴らは何をしてくるんすか?」
今のザンツィルに2000万ゴルドなんて大金は無い。強制的に払わせるらしいが、どうやって払わせるつもりなのだろうか。
「奪略商って他にもヤバい連中と繋がっているらしいからね。何もしないで、罪商人って言ったかな……その人達にお任せするとか?」
さすが、スールイティ団の情報収集を担当しているアネアだ。奪略商の繋がりも知っているとは。
「兄貴は罪人なんかじゃないっす。ロキョウさんからの依頼を受けて、詫び金を払おうとはしていたっす」
本当に厄介そうな組織である……。
審判のコインに選ばれた者がメンバーに三人もいる事も驚きだが、ロウシティ付近の盗賊団が刺激しないようにしているという事は、よっぽど強力な番力を使う三人なのだろうか。
「あっ! そろそろ出口だね」
西コール海中央道の出口の料金所が見えてきた。高速道路の出入り口には料金所があり、2000ゴルド払えば高速道路内に出入り出来る。
アネアはフロントガラスに置いてある小さなポーチから財布を取り出そうとしていた。急いで自分のズボンのポケットから財布を取り出す。
「俺が払うっすよ」
「えっ、入り口の分も払ってくれたじゃない。今度は私が……」
「いいすって、俺に払わせてほしいっす」
「そ、そう。ありがとう、相変わらず優しいのね」
慌てて顔を反対側に向けた。
アネアの笑顔が見れただけで自分は十分だ。嬉しさから鼻の下は伸び、表情はにんまりとしていた。
──「何ニヤニヤしてんだよ、気持ち悪ぃな」
ザンツィルがいたら、間違いなく自分に言っていた言葉だ。
〈ザン兄貴、必ず……いや、何とか助けるっす〉
奪略商と戦う事になればザンツィル一人では勝つのは難しいかもしれない。
その時は、自分も審判のコインを持つ者と戦おう。ロウシティに着くまでに覚悟を決めておかなければ。
〈無事で済む筈がないっすよねぇ……けど、俺もっすけど、兄貴も負けるのだけは嫌いっすからね。やってやるっす!〉
──ピー、ピピッ
料金所の自動精算機に"2000ゴルドを入れてください"と表示されている。財布から2000ゴルドを取り出し支払うと、車の前を塞いでいた両側のバーが上がった。
──ご利用ありがとうございました。
アネアは出口から出るとフラーワ街道へ向かう道路へと入った。フラーワ街道を抜けると遠くにスールイティ団のアジトが見えてくる筈だ。
〈……まず先に、壺の件を謝るっす〉




