153. 三人
─────
西地方の各都市へと繋がる高速道路の一つ"西コール海中央道"をアネアが運転するワンボックスカーが走って行く。
いくつものトンネルを抜けながら、遠くに見えるコール海を見つめていた。
電車でスールイティ団のアジトがある付近へ向かうとなると、かなり時間がかかっていただろう。五年振りにスールイティ団のアジトへ戻るが、ライメゼは自分の事を怒っていないのだろうか。勝手にザンツィルに付いて行ってから連絡もしていなかった。
まさか、あんなに警戒心が強かったライメゼが怪我をしていたとは……未だに驚いている自分がいる。
ライメゼの事もだが、奪略商に狙われているザンツィルの事も気になっていた。今更だが、やはり旧五野八トンネルにザンツィルをおいていくべきではなかった。自分が何度も謝れば、ザンツィルも許してくれていたかもしれない。
……今、無事なのだろうか。
眉間に皺を寄せながら俯いていた。
「奪略商ってさ、かなりヤバい組織なんだよね。ロウシティ付近の盗賊団はなるべく刺激しないようにしているみたい」
「ヤバいって、そんなにすか?」
驚いた表情でアネアは一瞬だけこちらを見てきた。
確かに、ニュースでも会ったら気をつけるよう報道されていたが、そんなにも危険なのだろうか。
「そっか。有名な噂だけど、ダラメット知らないんだね……って事はザンツィルも知らないのかなぁ〜」
有名な噂とは何なのだろうか?
「確か、"奪略商には審判のコインを持っているメンバーが三人いる"のよ」
「ええぇぇえええっすぅううううう⁉︎」
大きく口を開けたまま、驚いた表情でアネアを見ていた。審判のコインに選ばれた人物が、三人もいるとは……!
だとしたら、本当にザンツィルが危ないのではないだろうか。36番力が使えるとはいえ、物を動かす力で三人を倒す事なんて出来ないだろう。
「な、何でそんなにいるんすか⁉︎ 誰が持っているかも分かるんすか⁉︎」
「ちょっと落ちついて。一人は男性でテレビ関係の有名人だという事は聞いているんだけど、詳細はよく分からないし他の二人は私も知らない」
有名人なら番組名さえ分かれば、もしかしたら誰がメンバーか分かるかもしれない。だが、アネアは番組名も分からないだろう。
「三人って、ザン兄貴一人じゃ勝てないっす……」
アネアは右手の人差し指を上に向けながら、クルクルと円を描いていた。
「でも、ザンツィルを殺さないとは思うよ。詫び金を払ってもらわないと困るだろうから」
「そ、それならいいんすけど……」
確かに、アネアの言う通りだ。




