144. 特徴はサングラス
ウルフはこちらを睨んだまま、自分の首からゆっくりと腕を離した。
慌てて首を小さく左右に動かす。動かせるので、どうやら首の骨は折れてはいないようだ。何度も何度もウルフの攻撃を受けている自分の首が心配になってきていた……いつか折られてしまうのではないだろうかと。あんまり近くにはいたくないので、バレないように少しずつ少しずつウルフから距離をとろうと試みるが……。
「ヤング」
……何故かバレてしまい元の位置へと戻る。
〈もう勘弁してくれよぉ〜〉
緊張からくる疲れの所為か、大きなため息をついていた。
「そろそろ着くなの。あっ! ちょっと……!」
「よぅ、ウルフ! ちゃんと使える奴なんだよなぁ⁉︎ 使えないとボスに怒られるぞ」
ナノンの他にもう一人の仲間も来ているようだ。声からして男性のようだが、いったい何人ウルフの仲間が来るのだろうか。あまりにも人数が多いと最早、逃げる事など不可能だろう。
〈あぁあああ、何でまだいるんだよぉお⁉︎〉
心の中で大きく叫んでいた。
「多分、大丈夫だとは思う。ところでジェネレー、中央依頼店の受付長には電話したのか?」
多分とは失礼だ、と言わんばかりの目付きでウルフを睨む。どうやら、ナノンと一緒にいるもう一人の男性は"ジェネレー"という人物のようだ。
今、中央依頼店の受付長と言っていたようだが、ロキョウにも電話をしたのだろうか? きちんと聞いていなかった旧五野八トンネルの出口での通話で、ロキョウが伝えようとしていた内容は自分が狙われているという事だったのではないだろうか。
〈マルゲリータじゃなくてクラムダータ? って言ってたか〉
確かに、ロキョウが急にピザの話をしてくるのもおかしいとは思っていたが……。
〈何だか、名前がピザに似てるんだよなぁ〜。何だよ? クラムダータって〉
半目でウルフのライトフォンを見ていた。
「ああ、電話したんだけどよぉ、あのロキョウって奴、性格悪そうだなぁ〜! ザンツィルって野郎がまだ払えるかもしれないとか、無駄な喧嘩を買いますからぁ〜だってよ」
〈……ロキョウがそんな事を言っていたのか。結局、小切手はアネアが貰ったんだろうけど〉
どうやら、ロキョウは自分が依頼を達成出来ると思っていてくれたのだろう。
だけど……先にトンネルの奥には着けなかった。
もう、ダラメットを責めるつもりは無い。
依頼を失敗した原因は自分にもあるのだから。
「で、次のターゲットのザンツィルって奴は何処にいるのか分かっているのか?」
「あー、それが分かんねぇんだよ。何か特徴としてはサングラスがどうとか言ってたような〜」
目が点になっていた。




