137. 失敗した理由
小さく頷いた。
「分かったす。ライメゼに小切手も渡さないといけないっすもんね。迷惑をかけてしまうかもしれないけど、頼むっす」
「良かった……。運転なら任せて! 私も奪略商の連中のやり方は好きじゃないし、暴れるなら手伝うよ」
アネアが協力をしてくれるのはとても有難い。もし、電車でロウシティに向かう事になっていたら、移動に一日掛かっていただろう。自分も車を運転出来ていれば、と悔やむ……ザンツィルと仲直り出来たら、車の運転をそろそろしっかりと学ぶべきだろう。
ロキョウは一枚の紙を手に持ちジッと見ていた。
「ザンツィルが今まで受けてきた依頼の達成率はとても良かった。きちんと裏依頼を受けれる程の実力もあったからこそ、受ける事を承認したんだけど……ザンツィルはどうして失敗したのか理由は分かるかい?」
ザンツィルは"マーク国王の全財産を盗る"という内容で高額な報酬金が貰える裏依頼を受けていた。
簡単に盗めただろうと思いながら、ザンツィルのライトフォンに電話をかけて言われた言葉は……。
──『あー……実はだなぁ……失敗しましたぁぁああ! えへ! んで、詫び金も払わないといけませーん! てへ!』
自分もザンツィルが盗みを失敗してしまった事には驚いていた。失敗した理由も教えてはくれず、何度聞いても返って来る返事は同じだった。
──『そういえば、失敗した裏依頼すけど城の中で何かあったんすか?』
……無言のままザンツィルは車を運転していた。
今回の依頼を失敗してしまったら、高額な詫び金が発生する事は分かっていた筈だ。払える額なのだろうか……と不安が押し寄せる。これで失敗した理由を聞くのは二回目なのだが、自分はどうしても聞いておきたかった。
次の依頼を受ける時には注意しておきたいからだ。
裏依頼を何度も達成出来ずにいると、詫び金は更に積み上がりとんでもない金額になっていく。払えず放っておけば保安雇人を呼ばれて捕まえるか、奪略商のような組織に依頼して強制的に払わせる依頼主も出てくるだろう。何が何でも聞いておかなければ……。
──『ザン兄貴、理由は教えてほしいっす! 本来は裏依頼を失敗するなんてやばいんすよ⁉︎』
──『んー……』
ザンツィルはしかめっ面をしながら運転をしている。大体、悩んでいる時は嘘をつこうとして考えている時である。やはり、言わないつもりなのだろう。
──『んー、じゃないっす。嘘はやめるっすよ! 兄貴の嘘なんてすぐに分かるっすからね〜』




