136. ロウシティへ
「ク、奪略商⁉︎」
アネアは驚いた表情でロキョウを見ていた。
自分も一度だけテレビのニュースで名前を聞いた事がある。大金を手に入れる為なら何でもする非情な者達が集まった組織……だった筈だ。そんな危険な組織に任せる程、ザンツィルが早く詫び金を払わない事に依頼主は腹を立てているのだろうか。
だが、本当に奪略商が狙っているのならば早くザンツィルに知らせないとまずいだろう。
「あいつ殺されちゃうんじゃない? 奪略商に狙われるって……さっさと依頼主に詫び金を払えばいいじゃない」
「無理っすよ……確か2000万ゴルドとか言ってたっす。そんな大金を一気に払えるわけないじゃないっすか」
今回の中央依頼店からの依頼を自分達が達成出来ていれば、ザンツィルも詫び金を払える額を貰えていた。だが、先にトンネルの奥で見つけた袋を持って来てしまったのはアネアで、小切手はもうスールイティ団の物だ。
怒ったザンツィルに言われた言葉が頭に浮かぶ。
── 「んじゃあ、今度からはオレの命なんかより金を優先しろ。絶対にな」
ザンツィルを放っておいて小切手を優先するべきだったのだろうか。
小切手を手に入れていたら、奪略商という組織にザンツィルが狙われる事も無かったのでは……。
「……」
ロキョウはこちらをジッと見ていた。今、自分が考えていた事も分かったのだろう。
ザンツィルは何処にいるのだろうか。
「ロキョウさん、どうすればいいんすか? ザン兄貴は電話に出ないし、中央依頼店にも来てないっす。まさか、ここに来る途中に……⁉︎」
「奪略商のアジトは西地方の都市"ロウシティ"にある。もし、このままザンツィルが来なければ一度行ってみた方がいいかもしれないね」
ロウシティ……とても歩いて行ける距離ではない。だが、車の運転も出来ないので電車を使うしかなさそうだ。
「俺は電車で行くっす!」
「分かりました。私も本当は行きたいのですが、本部にいる相談者や皆を放っておくわけにはいきません。私のライトフォンの電話番号を教えますので、何かあればすぐに連絡して下さい」
「分かりましたっす!」
ロキョウの電話番号をライトフォンの連絡先に登録した。
「待って、ダラメット。一度、アジトに戻ったら私がロウシティに送ってあげる」
「えっ、ほ、本当すか⁉︎ でも、アネアも危険な目に遭うかもしれないっす! やっぱり一人で……」
「私は大丈夫よ。リーダーにも……挨拶してほしいし」
確かに、ライメゼの右腕の状態も気になる。
一度、スールイティ団のアジトに寄ってからロウシティに向かった方がよさそうだ。




