13. 謎の女
受付があるロビーから離れた端の方にて。
椅子と机が置いてあり、ミリと向き合って座っていた。
「ザンツィルさんは何しに来たのですか? 詫び金を払いに来たのですよね?」
ミリの表情は物凄く怒っているように見える。さすがに目立ち過ぎてしまったようだ……急いで怒りを鎮めなければ大変な事になってしまうかもしれない。
「や、やだなぁ〜、ミリちゃん。オレはあの人達に優しく質問しただけだろ? 可愛いのに怒ると台無しだぞ」
ミリの目つきが益々鋭くなっていく……。
冷や汗が止まらなくなっていた。このままだと間違いなく"中央依頼店出入り禁止"になってしまうだろう。今更ながら大声を出したことを後悔していた。
出入り禁止になって依頼を受けられなくなれば、金も無くなり、旅もできなくなる……考えただけで恐怖だ。
「オレが悪かったよ、許してくれよ……」
「受付長に警備カメラの映像を観ていただいてから判断させてもらいます」
そう言うと、ミリは立ち上がり受付カウンターの奥へ行ってしまった。
「げぇ……面倒くさい事になっちまったなぁ〜、あーあ」
椅子に凭れ掛かりながらライトフォンの電源を入れた。ダラメットからの着信はまだない。
「ダラの奴が来る前に早く相談しないと」
ライトフォンの電源を切ろうとしていた。
「⁉︎」
持っていたライトフォンが急に浮き上がったので、驚いて振り向く。
「フフッ」
──金色の巻き髪のロングヘアーに、微笑む紅い唇、ミディアムの黒いカラードレスを着た女性がいつの間にか背後に立っていた。
「……」
あまりにも綺麗な女性で、無言で見惚れてしまっていた。女性は微笑みながら自分のライトフォンを持っている。慌ててライトフォンを取り返した。
「ど、どなたですかぁああ⁉︎」
金色の髪の女性は微笑んだまま、ミリが座っていた席に座った。紫色の瞳はこちらをジッと見つめている。
「あなた、さっき世界財産の事を言っていたよね。気になってついてきちゃった」
正面で向き合っているだけでも見惚れてしまう。こんなに綺麗な女性も裏の依頼などを受けるのだろうか。世界財産の事を言っているが、もしかしたら彼女は何か情報を知っているのかもしれない。
「ふっ、世界財産の事は、確かに、この、オレが、言っていたさ」
わざと前髪をかきあげる。
「ねぇ、さっきも気になっていたんだけど、サングラス外さないの? あなたの顔を見てみたいわ」
「……」
外したくない……と言うべきだろうか。
外そうと試みるが、まるで錘でも付けているかのように手が動かない。
「オレの顔なんて見たら、きっと君は逃げ出す。やめておいた方がいい」




