12. ミリの怒り
「んっ? 待てよ、これは……今、まさにオレは注目されている⁉︎」
ふと、良い事を思い付き自分の頭の良さに思わず照れ笑いしてしまった。審判のコインを番号が刻まれている方に表返し、こちらを見ている盗賊らしき人物達を睨みつけた。
辺りを指差しながら話し始める。
「ちゅうもーーく‼︎ この場にいる全員、裏の依頼を受けれるぐらいの実力があるんだよな⁉︎」
そう言うと、自分を不思議そうに見ていた人達が顔を俯かせ始めた。変な人を見てしまったと思っているに違いない。
微かに二人の男性の話し声が聞こえてきた。
──「おい、あのサングラス……審判のコイン持ってるぞ。36……やばくないか⁉︎」
──「番号の奴らって変な奴ばっかだよな。無視しよ、無視」
険しい表情で、話している男性達を指差す。
「そこぉおおお、聞こえてるんだよぉお‼︎ てめぇらどこの盗賊団だぁ⁉︎ わざとオレに聞こえるように話してんじゃねぇよぉお‼︎」
「ひぃいい‼︎」
二人の男性は怯えた表情をしながら、慌てて入り口から出て行ってしまった。
「ケッ、へなちょこめ」
両手を二回叩いた。辺りの人達の視線が再び自分の方へと向く。よく見ると、ミリも呆れた表情でこちらを見ていた。
「さーて、この中で世界財産の情報を持っている奴、今すぐ手を挙げろ。"今すぐ"にだ」
……沈黙が続く。
「ザンツィルさん」
ミリは怒った表情でこちらを見ていた。このままだと、もしかしたら追い出されてしまうかもしれない。だが、今ここにいる腕がいい盗賊らしき人物達が、世界財産の情報を知っているかもしれないと思うと諦めきれなかった。
……少し待ったが、誰も手を挙げない。
「はーん、なるほど。あんたら大した事ないって事なんだな。世界財産の情報を知っているかもしれないって期待してたんだけどなぁ〜」
一人の白髪の男性が立ち上がり、こちらに向かって歩きだした。表情はかなり怒っているように見える。自分の発言にムカついたのか、指を鳴らしながら近付いて来る。ガタイがいい為、直接の殴り合いになれば自分が負ける可能性が高いので番力を使う準備をしておく。
白髪の男性は自分の前で止まった。
「番号の野郎に会うとはな」
サングラス越しから睨みつける。
「なんだ? やんの……」
──バッシーン!
「いってぇえええ‼︎」
後頭部に物凄い衝撃がきたので、慌てて振り返る。
ミリが怒った表情で自分の背後に立っていた。持っていた分厚いノートで後頭部を叩かれたようだ。僅かに頭がクラクラとしていた。
「いい加減にして下さい。ザンツィルさん、ちょっと来ていただきますよ。ガーラオさん、申し訳ございません。受付の方、もう少々お待ちください」




