表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36  作者: 川之一
36
11/738

11. 本部へ


 慌てて車内から飛び出し、車体を入念に調べる。


 どこを見ても現在地を知らせるような機器は見当たらない。だとしたら、ダラメットはどうやって自分の居場所が分かったのだろう。

「何なんだ、あいつ……」

急いで車に乗りエンジンをかけた。ダラメットが来る前に、中央依頼店(オーダーセンター)での用事を終わらせて、すぐに車を走らせれば追いかけてこれない筈だ。

「ヘヘヘ……さすがについて来れねぇだろ。今度こそお別れだなぁああ‼︎ ダラメットぉおお‼︎ 行くぜぇえ‼︎」

ミュージックプレーヤーの再生ボタンを人差し指で強く押した。


 〈プレイリスト6.スカイブルーを再生します〉


 大音量で鳴らしながら車を再び走らせる。



 ─────



 アスグ平地、フォー森林を抜けて、再び車を走らせてから二時間が経った頃、前方に二階建て程の高さの建物が見えてくる。開けた場所に、全面ガラス張りで円形型の大きな建物が建っていた。


 ──中央依頼店(オーダーセンター)の本部である。


 広い駐車場もあり、多くの車が駐めてあった。いつも混んではいるが、今日は普段よりも混んでいるような気がする。

「げー……何だよ、今日は混んでるのか? お前ら、全員裏依頼受けれんのかよ。全く」

いつも駐車していた場所にも、別の車が駐められている。ぶつぶつ言いながら空いていた駐車スペースに車を駐めようとしていた。


 ──ガッ


 「あっ」


 外で何かにぶつかったような音が聞こえた……嫌な予感がする。


 「ア、アハハハ! 気の所為だよな! このオレが、まさか他の車にぶつけたなんて……ないない! バッーーク!」


 ──ガリッ、ガリッ


 ……血の気が引いていくと同時に、視線をゆっくりとサイドミラーに向けた。


 灰色の車にぶつかっていたようだ……。無理に駐車スペースに入ろうとした為、キズがかなり付いていた。そしてこの車は……。

〈まさかの高級車……し、知らねー〉


 慌ててハンドルを切って別の空き駐車スペースへ向かった。空きスペースを見つけると、今度はゆっくりと動かしながら車を駐めた。

「オレは何も見ていない。そうだ、何もなかった。あの場所に駐めた誰かが悪い」

自分の中では解決したのだった。


 急いで自動ドアの入り口から本部の中へと入る。受付は全部で六番まであるが、全て"相談中"と表示されていた。

〈おいおいおいうぉい! お前ら、そんな相談する事があんのか⁉︎ なんでよりによって今日なんだよ!〉

心の中で怒鳴り続ける。


 よく見ると三番受付にミリが座っていた。相談を受けているのは男性のようだ。

〈早くそこをどけぇぇぇえ‼︎〉

サングラス越しに鋭い目つきで睨みつける。

「ん?」

ふと、辺りを見回すと相談待ちで座っている人達が自分を見ている。建物内でサングラスをかけているのが気になっているのだろうか。


 〈チッ、何見てんだよ……たっく〉


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ