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宝物庫の迷い子  作者: まほろ
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宝物管理官ミオン


宝物庫は、物言わぬ空間。

しんと静まりかえっている。


どんなに豪華絢爛な財宝も、披露目の席でなければ、ひっそりとたたずむだけだ。

時の流れの中で錨をおろし、穏やかに眠っている。


イル・シャンティ城の中で最も静かな空間が、宝物庫だといえるだろう。




人の気配のしない空間で、ひっそりと陰鬱に一日を過ごしているのが、ミオンという女中である。

と、いうのが、この城の大方の認識である。



が、はっきり、きっぱり言わせてもらいたい。



宝物管理官って、めっっっっちゃ仕事多い。

めっっっっっっっっっちゃくちゃ激務。


毎日の温度と湿度の管理から始まって、風通し、埃とりの掃除、害虫駆除、金属磨き、故障箇所の修繕だけでも手一杯。

それに加えて、ざっくばらんに蒐集されてきた8000もの宝物たちの目録作りを早急に進めなければならないのだ。

目録を作るには、一つ一つの宝物たちの、作られた場所、時代、作者を特定しつつ、誰が何のために作ったのか等の由来も出来るだけ調べて、名前を与える。その上で、宝物ちゃんたちの保管方法を決めて、付随する手紙などの資料等とまとめて、状態を詳細に記録していく作業がある。

調べ物の量が膨大で、目録に一つの宝物を追加するのに何日も時間がかかるのだ。

それをたった一人でやっている。


わかっていたけど、超ハードワーク。


この体力と知力を酷使するハードワークの中で、ひっそりのんびりと過ごす余裕なんてありません!!


なんなら毎日わーぎゃー叫びながら、必死に仕事をこなしています。



だから、数多の宝物と仕事に囲まれて滅私奉公、元気に働くアラサー女史(29)が、ミオンさんです!!


そりゃ、恋やら、オシャレやら、遊びやら、とは無縁な生活を送っていますけど。

日々カビと戦い、湿度が天敵の宝物管理官が、陰鬱な仕事だと思われるのは心外なのだ。



だけど、仕事内容が宝物管理という、とっぷしーくれっと、なモノなので、何をしているのか気軽に話せる相手もほとんどいないのが、現状で。



仕事の話が気軽に出来る、ほぼ唯一の人間が、王子サマっていう…






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