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イル・シャンティ城の宝物庫

王の子らに龍の加護あれ

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イル・シャンティ城の宝物庫の鍵は3つ存在する。

１つはこの城の主人であるアルバス公爵が持つ。アルバス公爵は皇位継承権第一位を持つガリオン王国の王弟であり、イル・シャンティ城が立つオトラン地方の領主として統治している。

2つ目の鍵は、この城に保管されている宝物の持ち主、ガリオン王国の王レオナルドが持つ。イル・シャンティ城の主人であるアルバス公爵は、王弟としてこの城の管理を任されているにすぎない。

そして、3つ目の鍵は、領主補佐ユリシーズ侯爵から預けられた、宝物管理官ミオンの手にある。

宝物管理官とは、その名の通り、宝物の損傷や喪失を防ぐために常時宝物庫の管理を行う者である。イル・シャンティ城には8000を超える様々な工芸美術品が所有されているが、その全てを把握し保管する仕事を、ミオンは一人で任されていた。

いや、正しくは、宝物管理官という仕事を勝手に作り、鍵を我が物顔で奪いとったのが、ミオンという女だった。