流
百合でロリな疑惑がついた流だったけど、その後お茶をしてカラオケして、気のおけない楽しい時間を過ごしてバイバイした。
「あ~、あっしも歌いたかったな~」
「あんたは駄目よ。私ほっぽって逃げたんだから、ヘイリシ?家着をもってきなさい」
「ヘイヘイ。まったくいたち使いが荒いんたがら、うちの神様は」
「口ごたえしない」
友達というより、パシりだな。成る程、使役するってこういう事かと、納得。むしろ、流との時間の方が友達という感じなのだろうな、と至る。
百合でロリコンだけど.......。私に、その気は無いが。
「さて、店仕舞いの時間かしら?鏡に布を被せて、早い眠りにつ.......って、きたわ、ラストオーダーで」
「プクク。日頃の行いですよ、神様」
「うっさい。あれ?」
なんか、小学生ぐらいの男の子なんだけど、夕方の神社は危ないよ、と思ったら、あらま。手にはわら人形を持っている。もっと深夜なら分かるけど、そこは小学生。夜出れないか。
まあ、なんにせよ、そっちの依頼かしら?
とりあえず聞いてみよう。イヤホンをはめる。
男の子の願いを聞いてみる。
「......友達がいじめられてるんだけど、僕には、助ける勇気もないんだ。情けないんだけど、いじめっ子を呪おうと思って.......お願い、神様!」
嫌な世の中だなあ、と思い、
私は嘆息して言う。マイクを持って。
「呪いは、簡単よ。でも、呪った相手を思うと、どんなに嫌な奴でも、後味が悪いわ。自分にも良い事無いしね。代償も大きい」
「お、女の子の、声がした!」
男の子は、キョロキョロする。
夕方の、シンとした神社の雰囲気も相まって、不気味さを感じているようだ。
だけど、その雰囲気に負けまいと男の子は、歯を食い縛っていた。
「ふむ。情けない事を自覚してるだけ、マシか。
腐っても、男の子じゃない」
私は、助ける事にした。呪いはダメだ。
神様ノートを見る。「鈴」と書かれている。毎度の事ながら、よくわからない。
「リシ?」
「ああ.......鈴ですか。魔除けになるといいますなあ」
なるへそ。私、神様なりたてだしなあ、幼女だし。
自分への言い訳も、そこそこに、
チリン。
と、鈴を男の子の頭にあげる。
落ちてきた鈴を手にした男の子は、びっくりしながらも、
「鈴?神様!相手は人間だよ?熊じゃないんだよ?」
友達助ける勇気ないのに、言うなあ.......。
「魔除けの鈴よ。もってなさい。悪い事にはならないわ」
「.......でも、鈴じゃなあ」
「神様の言う事信じられない?駄目だったらまた来なさい。その時にまた考えましょ」
「うん!一応分かった。ありがとう神様!」
男の子は、晴れた顔で帰っていった。ヤレヤレだぜ。
ん?って、ちょっと。わら人形を忘れて帰ってるし!どーすんの、コレ?一応預かるけどさ。
「置いといたら、なんかに使えるんじゃないですか?ダイジョブ、ダイジョブ!イケル!イケル!」
「リシ?いっぺん死んでみる?」
呪いのわら人形預りかあ......。
持ってたくないなあ。流に渡そうかな?あれで陰陽師だし。とりあえず、リシに持たせよう。
私は気の乗らない預り物を見つつ、今度こそ、神社の店仕舞いをするのだった──
続く