罰当たり
忙しい時間帯の朝、昼を越えて(お年寄りが参拝する)アイドルタイムである。昼下がりの午後3時。ティータイムとしゃれこんでいる私だった。午後の紅茶を口につけながら、KitKatを頬張る。うん、頭脳労働には、糖分が1番である。全然、頭使ってないけど。
「はぁ~何はなくとも一服、一服。この時間が1番落ち着くわ~」
お年寄りの願いを軽くいなして、今日も今日とてダラダラごろごろするのである。目の前の姿見の鏡に映る下界の様子を見てケラケラ笑うのである。縁があったとはいえ、良い職についたもんだ。
ピンロ~ン♪
おっと、神社の前にお客さんが来たようだ。鏡が音を鳴らして知らせてくれる。無視したいなー。けど、まだ神様として、そこまで腐ってないので一応画面を切り替えて、イヤホンを耳にする。
小太りの壮年の男性だ。ガラン、ガランと鈴を鳴らし手を合わせて祈る。余り真剣味は感じられない。ちょっと半笑いである。
(いや~神様。私別にロリコンじゃないんだけどwww噂に乗っかって来てみましたwww)
なんだコイツ、舐めくさったオッサンだ。歳の割りに軽い。嫌味とケレン味を感じる。聞くのも馬鹿くさい。バチの一つでも当ててやろうか。
しかし男の顔から笑顔が消えて、落ち込んだ表情になる。イヤホンを外そうとした手を止める。
(私ね。こんな事でも無いと神頼みしないんですけどね。でも、せっかくだし聞いて下さい。私ね。家族も持ったし、子供も出来た。仕事もチーフになって順風満帆です)
なんだコイツの言う事が嫌味に聞こえる。こちとら幼女だけど神様張ってるんだぞ!
(でもね神様。私、友達いないんですよ)
知らんがな!犬でも飼おとけよ!と、思ったけど、その言葉を飲み込んで。.......まあ、敵だらけの世の中生きてたら、そらそうやわなと思う。その歳で......とも思ったが、私も幼女で神様やってるし、世の中歳は余り関係ないのかも知れない。
なんか嫌なオッサンだけど、ちょっと可哀相に思った私は、気が進まないにしろノートを広げてみた。
(財布を逆さまに)
と書かれてある。なんのこっちゃと思ったけど、この手製の神様ノートに間違いはない。運命が書かれてあるのだから従って、財布を逆さまに振ってみる。
いや、でも今月お賽銭少ないんだよな~と思ったけど、1枚の硬貨が、男の頭に落ちた。コツン。
「おっ!なんか頭に落ちたぞ!噂に乗ってみるもんだな!人生、面白い事には乗っからないとな!」
頭に乗ったものを手に取って見る男。瞬間、男は爆笑する。
「ちょwww神様www5円玉ってwwwご縁がありますようにってか?アッハッハッ!!」
男の笑い声を聞いて、私は顔を赤くし恥ずかしかった。と、同時に頭に来て叫んだ!
「バチ被るがいい!!」
「うぉ!?幼女の声?イテテテテ!なんだ!頭を何かが叩いて!」
溜飲が下がる私。しかし、男は頭の上を見て再度爆笑した。
「アッハッハッハッ!イテテテテ!ククク!」
え?なに?と、私も男の頭の上をよく見る。
太鼓のバチが、男の頭を叩いていた。
男は笑いながら、神社を逃げていく。
私は手で顔をおおい、ただただ恥ずかしがった。
「神様、もうやだ......」
後日の、安定のロリコン達に、開き直って太鼓のバチを当てる私だった。ロリコンは喜んでバチを受けていた──
続く