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やるじゃねえか

「ぐあぁぁぁぁぁ!!」


羽を真っ二つに切られたバルバラは悲鳴を上げた。

いける!戦える!孝雄は確かな自信を手に入れた。

気付いたら手に持っていた剣が青く光っていた。


「くそぉ!なんで人族の剣ごときで俺の羽が切られるんだ!魔王様の力を分けて頂いたこの俺がぁ!」


怒り狂ったバルバラがもう片方の羽をでたらめに振り回してきたので孝雄とコリスが距離を置いて

体制を整えたが、その勢いのまま孝雄に切りかかってくる。

孝雄が応戦して剣を出し防御しようとするも、あまりの激しさに間に合わず羽が身体に迫る。

その瞬間後ろからエイルハルトが槍を出して攻撃をいなし、槍を振ってバルバラをそのまま吹き飛ばす。


エイルハルトが孝雄の肩を叩いて、

「すまねえな。ちょっと気絶が長すぎたな」

「このまま戦って大丈夫ですか?」

と、少し生意気に返す。

「そんな冗談言えるならまだ行けそうだな」

「当然、そのつもりです」


「くたばれぇぇ!」

孝雄に向かって再度突進を仕掛けるバルバラ。

「いい加減諦めろ!」

孝雄とエイルハルトが同時に攻撃し、バルバラの胴体を貫く。

「くそっ、なんで人族に・・・」

そう言い残すとバルバラの体は消滅していった。


「なんとか勝った・・・」

孝雄はふぅ、とため息をこぼす。

エイルハルトはニヤリと孝雄に笑みを浮かべた。

「お前やるじゃねえか。気に入ったぜ」

「それはどうも」

辛くも勝利した孝雄たちは村へ帰るのだった。


帰りの道中、シェインがキャルルに質問する。

「キャルルさん。孝雄君といいましたか、彼は何者ですか?」

「何者って何が?」

「彼の持っている剣、あれは市販の【軽い剣】ですよね?あの剣に青く光る効果などないはずですが?」

シェインは不思議だといった顔を浮かべて

「あの魔族の羽根、調べましたがかなり硬い。軽い剣でああも簡単に切れるとは思えません」

「しかも彼が防御に回った時は剣が光っていなかった。その時は全く切れる様子が無かったですし」

「もしかしたら何か知っているのではないかと思いまして」

キャルルは、うーんと首をかしげる。

「彼は私と同じ、異世界から来たからもしかしたら何かあるのかも?」

「以前聞いた話ですか。にわかには信じられませんが、そういうことならあり得るかもですね」

シェインの顔は全く納得していなかったが、何とかごまかせた。


<あの能力が本物なら魔王軍とも戦えるかも・・・>

キャルルは安堵した。


村へ帰る村人が一斉にこちらに話しかけてきた。

「お前ら、魔王軍と戦ったって聞いたぞ?」

「全員無事だったのかい?」

「いったいどんな奴だったんだ?」

質問攻めにあう中、エイルハルトとキャルルが声をあげる。

「ああもう、分かったから!この通り全員無事!それでいいだろ?」

「そうよ!私たちが負けるわけないって皆知ってるでしょ?」

胸を張った2人に、村人は納得して質問攻めは落ち着いた。


村人の間から出てきたアメイアが深々と頭を下げる。

「魔族の存在に気付けず申し訳ありませんでした」

孝雄が両手を振って否定する。

「いやいや、アメイアさんが悪いわけじゃないですよ!」

「いえ、本来なら魔族討伐は難しいのでそれなりに経験を積んだ方に依頼をしなければいけません」

「調査隊は事前に派遣していたのですが、魔族の気配に気付けなかったようです」

コリスとキャルルがうーんと首を傾げる。

「あははー、確かに近くに来ないとわかんなかったよねー?」

「サイズは他のよりデカかったから遠目でも分かったけど」

そうなんです、とアメイアは首を振る。

「昔の情報では魔族は有り余る力を使っていたので見つけることは割と簡単だったのですが

今では気配をあまり見せずに出現しているケースが他の地方でも見られています」

「ですから、事前に安全を確認していないといけなかったのですが・・・」

重い空気の中、孝雄が叫んだ。

「全員無事で帰ってきました!」

周囲があっけにとられる中、アメイアはこらえ切れず高笑いした。

「そうですね、全員無事!ですね」

一通り報告を済ませた後、疲労がピークだったので宿屋へ向かうのだった。



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