満月
父 首童 戈六 くびわらべ がろく
違うサイトで簡単に作ったものが発展して出来上がった作品です
鬼の親子のお話です
設定はちゃんとあるのですが、もっとちゃんと作りこみたいです
仄明る光が蠢く
黄色く艶めく浮世の月が、丸く浮かんでいる
その下、ゆらりゆらりと何処行く風に当たりながら話す
「娘よ、あれを見て見よ」
「どうしたの?おじいちゃん」
「あんなに丸い月を見たのは久しぶりだ、な?
我々は血生臭い生き方をしていたからな、こんな悠長月を眺める事など…一族も変わったものだな、娘もそう思わんか?」
あの時の事が過る…
気付くと私は言葉を漏らしていた、が娘はまだ幼く理解には少し及ばないようだ
「うん…?そうだね…?」
「ははは!!まだ歳若の子供には分からなかったな、まぁ一生分かり得ぬとも良いが」
私の後に、続けて返してくる
「私にはまだ分からないの?」
まだ少し早い、こんな子供に掛ける言葉でもなかったか
理解できなくて当然だ、むしろこの子には分からないまま居て欲しい
私は少なくともそう感じている
「ああ、まだ少し早い」
「…そうなんだ!!まだ早いんだ!!」
元気良く返事をする娘
その顔、その声が、脳裏にあの情景を映し出す
自我が失われるような、そんな記憶の一部が…
畳の上に供え物のせんべいがあるのに気付いた
確か前に、街に出た時に買ってきたものだ
折角の満月だ、月見をしながら菓子でも食べるか、と言葉を掛けると満面の笑みを浮かべせんべえを持って走ってくる
「上手いか?」
「おいしい!!」
ガツガツと口の中に詰め込む娘に、笑みが零れる
やたら美味しそうに、せんべいを噛みしめる娘
「ふふふ、満足そうで何よりだ」
「…おじいちゃん」
「何だ?」
口を開くと同時に、こちらに視線を向けられた
「明日、街に行ってみたい!!」
「街か…」
「ふふ、仕方ない、明日は街に行くとしよう」
「やったー!!楽しみ!!どんなとこなんだろ、人とか建物とかいっぱいあるのかな~!!
私は、軽くお願い受け
明日、街に出向く事になった
まぁ少しでも色んな物に触れるのも経験になる
そんな事も考えながら、私達は床に向かう事にした