図書館で不思議な本に引っ張られ、気がついたら異世界だった。召喚スキルはSSS級なのでのんびり過ごします。
図書館で不思議な本に引っ張られ、気がついたら異世界だった。召喚スキルはSSS級なのでのんびり過ごします。(旧タイトル:異世界転生したけど、召喚しか使えない!最強めざせるのか?)
それは、いつもと同じ土曜日の朝だった。
僕、出雲暢気は、春の日中学校2年生だ。最近はラノベ発のTVアニメや図書館にあるラノベを読んで楽しく過ごしている。
今日は学校が休みだったので、休みの日には必ず行っている近所の雨森図書館に、朝から向かっていた。自宅から雨森図書館までは10分くらいで行けるので、天気が悪かったけれど、傘を準備して出かけた。
図書館に到着して、いつものラノベコーナーに向かった、傘はなくしてはいけないので、手に持ったままだった。
「こないだ、異世界転生騒動記を読み終わったから、次は何にしようかな。」
「何か、新刊はないかな?」
新刊の棚の上に、汚れた本が裏返しに置いてあったので、それを手に取ってみた。
「新刊コーナーにあるには、汚れてるな。なんの本だろう?」
「・・・召喚術(達人編)・・・?」
ラノベにしては、短い題名だな、でも召喚術で、しかも、達人編って何か面白そうだな、ちょっと読んでみようっと。
読書席に座り、『召喚術(達人編)』の本の一ページ目を開いてみた。
「ようこそ!達人の世界へ」と書かれていた。
1ページ目の一文を読み終わった瞬間、目の前が真っ暗になってしまった。
しばらく、何も見えなくなり、なんだかふんわりと浮かんでいるような感じがした。数分後、周りの景色がゆっくりと見えるようになり、周りを見回してみた。
「えっ、今雨森図書館にいたのに、なんで?、ここはどこなの!」
樹木でできた、テーブルとイスがあり、周りはログハウスのような作りの部屋にいた。手には、『召喚術(達人編)』があり、椅子の横には傘が置いてあった。
「えっ、どうなってるの、雨森図書館はどこにあるの?」
かなり混乱してしまったが、この本を開いた後、こうなったんだから、何かこの本に書いてあるかもしれないと一ページ目を開いた。
雨森図書館で開いたときに書いてあった一文「ようこそ!達人の世界へ」という文言はなくなっていた。その代わりに書いてあったのは、
あなたはどこにいても「召喚術(達人編)」と呼べば、この本を手に持つことができる、そして、ページを開いて、召喚者、召喚物の名前を呼べば際限なく呼ぶことができる。
と書いてあり、さらにページをめくると、Ⅰ召喚(攻撃)Ⅱ召喚(情報)Ⅲ召喚と書いてあった。本の横を見ると、赤色、青色、白色と3色に色分けしてあり、それぞれがⅠ召喚(攻撃)Ⅱ召喚(情報)Ⅲ召喚のページになっていた。
まずは今どうなっているのかを確認するため、Ⅱ召喚(情報):森の精霊のページを開いてみた。悪魔やモンスターよりも、精霊のほうが何かと教えてくれそうだったからだ。
「森の精霊」
そう呼ぶと、まばゆい光の中から、半透明の美少女がそこに立っていた。服は着てなく、体は大きな葉と蔓で体を覆っていた。そして、背中にはキラキラとした羽が生えていた。
「聞いてもいいかな?」
「私のわかることでしたら。」
「僕は出雲暢気、暢気と呼んでほしい、それで、ここはどこなの、そして、僕はどうして、ここにいるの?」
ドライアドはにっこりとほほ笑んで答えてくれた。
「わかりました、暢気さん、お答えします。ここはシャイニアンの森です。あなたは・・・・、すみません、分かりません」
「えっ」
「あの、突然で申し訳ないのですが、今このシャイニアンの森ではヒュージデスウルフが暴れているのです。暢気さま何とかしてもらえないでしょうか?」
悲しげな眼をして、悲痛な訴えをしてきたので、いや、それ無理だろ、と思いながらも
「・・・僕にできるでしょうか?」とドライアドにたずねるようにに答えた。
「うーん、何とかなるのでは・・・、えへ!」ツンデレか?とおもったが口には出さなかった。
まあ、できるなら何とかしてみるか、召喚術の達人だしと思って、ドライアドに連れられて、案内にしたがってヒュージデスウルフのいる場所まで行った。
到着して驚いた、周りの動物たちがものすごい勢いで逃げ回っているのだ。そして、ヒュージデスウルフをみて、さらに驚いた。体の大きさが20m位ある、超巨大な狼だった。
「いや、むり、むり、むり、むり、むり、あんなのと戦って勝てるわけないでしょ。」
「ドラゴンでも召喚されてはどうですか?」とドライアドは平然とした顔で答えた。
「えぅ、ドラゴンなんて召喚したら、僕が食べられない?」
「・・・大丈夫・・ですかね!えへ」ツンデレも慣れてきて少しかわいいと思った。
「どうなるかわからないけど、召喚してみますね?」
「ええ、お願いします。シャイニアンの森の危機ですので」
Ⅰ召喚(攻撃):ドラゴンのページを開いた。
「レッドドラゴン」
ドライアドの時とは違って、黒いもやの中から、体長50m位のレッドドラゴンが現れた。ヒュージデスウルフの2倍以上のドラゴンが現れた。
「何を望む、召喚者よ」
「僕は出雲暢気、暢気とよんでほしい、それで、あのヒュージデスウルフを倒してほしいんだけど・・・」
「あの程度の物など簡単なことよ」と飛び立っていき、右の鉤爪1撃で倒してきた。
僕は唖然として、戻ってきて僕も殺したりしないよなと心配しながら、こちらに飛んでくるレッドドラゴンを見上げていた。
「暢気よ、用は済んだな?さらば」
そう言って、また、黒いもやの中に消えていった。
その後、ドライアドのほうを見ると、涙を流して、大喜びしていた。
「本当にありがとうございます」
「これは、お礼です。受け取ってください。完全回復薬です。」
そう言って、布の袋に10粒の種のようなものが入っている袋を渡された。
ドライアドはまばゆく光の中に帰って行った。
はっと気づいたときには、一人で森の中に立っていた。
「結局、どうなってるの?」
「でも、おなかすいたので何か食べ物を食べないといないな。」
そう思ったが、今持っているのは傘と本だけ、使えないなっ!
まあ、こんなけ異常事態になってれば、もはや、僕が異世界転生したと考えるべきだね。
モンスターのいる異世界なら、冒険者の町があるかもしれない。
「だけど、お金はどうしよう・・・、あっ、あのヒュージデスウルフをギルドに持って行ったら換金できるかも!」
「あんなにでかいモンスターをどうやって持って行ったらいいのかな。」
「そうだ、Ⅲ召喚:マジックバック」
この本便利だな。そう思いながら、ヒュージデスウルフをマジックバックに入れようと触ったところ、吸い込まれるように入って行った。
「このカバンのどこに入ってるんだろう、不思議だ」
「あとは、地図と馬車かな?」
「Ⅲ召喚:マジックマップ」
「Ⅲ召喚:ホースカーゴ」
おお、出てきた。マップはスマホのように、近くの町はと訊ねると「スプリングタウン」と表示された、現在地からやじるしまであって非常に便利だった。不思議なのは、ホースカーゴは馬付きで、御者台に座っても空気の椅子みたいになっていて、お尻が痛くないのだ。心配した馬車の操作も、スプリングタウンまで行きたいなと考えると自動で動き出した。町は思ったより近く、昼前には到着した。
到着した町は何か大騒ぎになっていた。
町の囲いの中に入ってすぐにある露店のおばさんにギルドの場所と状況を訊ねてみた。
「すみません、この町の冒険者ギルドの場所を教えてほしいのですが?」
言葉が通じるかなと心配していたがまったく問題なかった。しかし、文字は全く見たことがないので、言葉は何か特別なことなんだと思った。
「なんだい、あんた、みょうちくりんな恰好して、そんななりで冒険者かい?」
「まあ、いいよ、冒険者ギルドはね、ここから、まっすぐ行ったところで、騒がしくしているところがあるだろ、そこだよ。」
「でも、なんでこんなに大騒ぎしているのですか?」
「なんだい、あんた知らないのかい?」
「すぐそこのシャイニアンの森に、ヒュージデスウルフが暴れまわってるんだよ。しかも、それだけじゃなく、なんか巨大なドラゴンまで現れたって噂だよ。」
「こんな町の近くにそんなドラゴンが出たなんて話はこの町ができて、300年聞いたことがないよ。」
「ドラゴンがでたんですか?」きっとあのレッドドラゴンのことだなと思い、ドラゴンのことは秘密だなと思った。
「まあ、いまだかってないくらいの大騒ぎだから、おまえさんみたいな新米がいっても、今は相手にもされないかもね。」
「はぁ、そうですか、いろいろ教えていただきありがとうごさいます。」
「まあ、冒険者なのに丁寧だね、気を付けなよ。」
「はい」と一礼して冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルド「シャイン」と書いてあると思う場所に着いた。中には、大きな武器を持った戦士風の男や、深いローブを被った魔法使い、装飾の入った弓を持った人や、大きな盾を持った人がうろうろしたり、側にある、酒場のようなところで大騒ぎをしていた。
正面には女性がすわっていて、受付のようだった。とてもきれいな女性で耳がキリッとなっていたのであっもしかしてエルフかな!とおもいながらも声をかけた。
「すみません、すみません、すみませーーーーーーーん!」なんども声をかけても、受け受けの女性はこちらを見向きもしてくれなくて、カウンターをドンドンとたたいて声をかけた。すると、受付の女性はこちらをみて、すこし、いやそうな目をして、
「どうしたの、僕、迷子かな」忙しくしていた男たちもドッと笑い出した。まあ、露店のおばちゃんも言っていたし、気にせずに声をかけた。
「あの、お姉さん、たおしたモンスターの換金でしてもらえるの?」
「あの、うさぎやネズミの換金はやってないのよ、肉やにでも持って行ったほうがいいんじゃない」とあしらうように言われた。
「小さい動物じゃないよ、大きなモンスターだよ」
僕が持っているカバンがあまり大きくないので小動物だと思われているのが、はっきりと分かった。
「ほんとだよ、大きなモンスター、えっとヒュージデスウルフって言ってたよ」
「はいはい、いまは本当に忙しいんだからね、お姉さんとお話ししたいのなら、また今度来てね。」全く信じてない様子だった。
「ねえ、本当だって、本当にヒュージデスウルフなんだって」
「あのね、ぼく、ヒュージデスウルフって15m以上ある大型のモンスターなんだよ、そんな大きさのモンスターをきみが持てるはずないでしょう、わかった?」
「ヒュージデスウルフだけじゃなくて、レッドドラゴンまで現れて、今大変なんだから・・・もう、なんでこんな日に勤務なんて・・・。」
「あの、本当なんだから」
「はいはい、わかりました、換金だけなら、冒険者でなくてもいいので、裏の解体場の厳じいさんに見てもらいなよ。いい、わかったかな」
「裏の解体場の厳じいさんですね、ありがとうございます。」
冒険者ギルドの裏の解体場に行き、厳じいさんらしき人に声をかけた。
「すみません、厳じいさんですか?」
「ああ、わしだが、なんだい、お小遣いでも稼ぎに来たのかい。」
「いえ、ヒュージデスウルフの換金をお願いしたいのです。」
「えっ、なんじゃて、ヒュージデスウルフって言ったのかい、まあ、よいよい、大きな狼の子供でもとらえたのかな。そこに出しとくれよ」
「ここでいいですか?大きいですが・・・。」
「いいよ、いいよ」
僕はマジックバックから、厳じいさんの前に、ヒュージデスウルフを出した。
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
厳じいさんは目の前に出されたヒュージデスウルフをみて、声が出なかった。
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待っとくれ、これは、本当にヒュ、ヒュッ、ヒュージデスウルフじゃないか?」
「きみ、うごくなよ、いや、動かないでくれ、ギルマスをよんでくるので。」
厳じいさんは、大急ぎでギルマスを呼びに行った。
ギルマスと受付の女性が厳じいさんはの後から大急ぎでやってきた。3人が来た時には、すでにヒュージデスウルフの周りに冒険者が集まっていた。
ヒュージデスウルフの横たわっている姿をみて、ギルマスは目を見開き、しばらく、驚いていたが、身なりを整えて、
「ぼく、い、いや君がこのモンスター、いやヒュージデスウルフを倒したのか」
「いや、すまない、自己紹介が遅れたが、私はこの町「シャイン」のギルマスをしているジャングルという。」もと冒険者という感じの鋭い目つきに、両腕にはモンスターに噛みつかれたような多きが傷がついていた。
「いいえ」レッドドラゴンを召喚したことは内緒にしないといけないと思い、否定してみた。
「ではこのヒュージデスウルフはどうしたのだ、それに、ここまでどうやって運んだのだ、見たところ、大剣でたたき切られたような傷跡だが。」
「えっと、それは・・・、(なんて言おうかな)レッドドラゴンがこのヒュージデスウルフと戦っていて、レッドドラゴンがこのヒュージデスウルフを倒した後、山の向こうに飛んで行ったので、残ったヒュージデスウルフを、家宝のマジックバック、これ、一度きりの使い捨てなんですが・・・、に入れて持ってきたのです。」
「そうか、この町では今、このヒュージデスウルフ討伐で大騒ぎだったうえ、レッドドラゴンが目撃されたため、町を捨てて皆で非難するかどうか議論をしていたところだったのだ。」
「とにかく、今の最も緊急性のある問題は解決した・・、といっていいか。」
「ありがとう、町の皆の代わりに礼を言う。」
「そんな、僕は拾っただけで、換金できればいいです。」
「わかった、厳じいさん換金してやってくれ」ギルドマスターだけあって、決断が速い。
「うーん、サイズが大きいので解体やら、手配やらで3日ほどくれんかの」
「少年、それでいいか?」
「すみませんが、前金で少しいただくことはできませんか?今手持ちが全くなくて」
「それなら、サニア、ヒュージデスウルフの討伐報酬をこの少年にやってくれ」サニアは受付の女性の名前のようだ。
「わかりました。ところで君、名前は?あと冒険者登録はどうなってる?」
「はい、名前は出雲暢気です。暢気とよんでください。あと、できれば冒険者登録したいですが?」
「では、暢気さん、冒険者ギルド内で登録します。最初はランクHからとなりますね」
こうして、召喚だけは達人級の暢気少年の旅のはじまり、はじまり。