もどるかのこるか1
さて、どうしたものか。
江戸時代と一口にいっても300年近くあったはずだ。
瓦版には徳川家斉が将軍の座についたと書かれてあった。ということはつまり西暦でいうと今は・・・
・・・。
わからん。
徳川家なんとかシリーズが多いのはさることながら、俺の歴史的知識は徳川家康と徳川慶喜しか認知していないのだ。
なぜもっと分かりやすい時代に飛んでくれなかったのだろう。せめて天下分け目の戦いが始まったり、大政奉還、明治維新が始まるような時代に飛んでくれれば激動の時代を楽しめたかもしれないというのに残念だ。
俺は未来に帰ることができるのだろうか?
どうやったら帰れるのか、それを探すだけでも一苦労だろう。
多くの場合、タイムスリップしてしまう直前までいた座標上に行くことで解決する。
もしくは、タイムスリップ直前に雷雨に巻き込まれたとするならば、それと同等の雷雨が発生したところに居合わせることで戻れるということもある。
手っ取り早いのは未来に俺の家がある場所に行って、戻れるかどうかを試すことだ。
そのためにはまずこの場所を知ること、そしてどの方向に向かうかを確定させることだ。
こういうときはあの大家さんを頼ろう。困ったときの大家さんだ。
俺は土間に置いてあった下駄を履いて、大家さんを探しに外に出た。