表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖夜のイタズラ  作者: 結愛
4/8

お出まし

 

 東京のクリスマスは、イブであっても壮大なものだった。賑やかさはいつもの倍、特にカップルをよく見かける。ハロウィンと違って、それが集中していたのはイルミネーションの多い街路であった。




 ――そういう場所こそ、悪事は陰で行われている。




「きゃっ、やめっ·······!」

「おいおい、お姉ちゃんよォ。一緒に遊ぼうやァ」


 街路の路地裏。夜になれば特に暗くなるそこは、街路が光り輝くことで、より闇を深めていた。犯罪が起きるには、もってこいの場所である。しかも、月が雲に隠れ、光は差さない。


 今まさに、女性が一人、連れ込まれようとしていた。


(なっ、なんで·······! 友達待ってるのに!)


 彼女は佐藤美咲。今年、二十歳を迎え、来年には成人式を控えている。丁度今、気持ちが浮かれているところだった。大学でできた友達と、今日はクリスマスを過ごす予定であった。


 女の細い力では、男二人に到底かなわない。抵抗も虚しく、軽々と路地裏の奥へと入り込んでしまった。


 不運にも、この路地裏は行き止まりで、逃げ道は男二人に塞がれてしまっている。逃げる余地など、ない。


 脳は危機を訴え、嫌な程にこれから起こりうる全てのことが、脳内で描かれる。そのどれもが最悪だ。


 瞳は潤み始めたものの、あまりの恐怖にその雫が落ちることは無い。


 迫り来る男。その目は欲情に駆られた獣そのものだ。唇を舌で舐め回す音。ジリジリと近づく足音。口から漏れ出る嗤い声。


 視界が、聴覚が、逃げろと訴える。いつのまにか体内から早鐘が聞こえ、掠れた声が口から出たのを聞いた。


「た、助け·······」

「だぁめだよ。そんなことしちゃあ」


 突如、男達の背中越しに声が聞こえる。男達と同じような、(なま)めかしく、恐怖を引き出されるものだったが、本質は違った。彼女を襲うようなものではない。故に、なぜだか心は落ち着いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ