表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
聖夜のイタズラ  作者: 結愛
3/8

躍動と出動


 通常のサンタクロースと違い、ブラックサンタクロースは、いってしまえば聖夜の死神だ。死神は死神でも、悪い子を捕まえ存在を消し連れ去るという、なかなかにシビアな死神である。


 サンタクロースはプレゼントを配る役目が目立つが、それはそれで部署がある。


 一年間子どもを監視する部署。トナカイを育てる部署。プレゼントを作る部署。プレゼントを運ぶ部署。そのどれもが幸せなものばかりだが、そこには彼らが配属されている厳罰の部署も存在する。


 聖夜の夜に悪さをするとは、聖夜への冒涜(ぼうとく)。それを許すほど、サンタクロースというのも優しくない。少々過激に感じるが、クリスマスという祭りに参加する以上、礼節とルールを弁えなければ大変失礼にあたるので、致し方ない。


 しかし、この部署はサンタクロース界でも邪険に思う人が大半だ。彼らはこの日こそ活躍するものの、一年の大部分は蔑まれていることが多い。


 その上、彼らは純血――サンタクロースの中から配属されるのではなく、生まれつき任務を与えられた存在だ。想像を絶するほどの軽蔑を受けてきたことだろう。


 けれど、彼らはそんなことを気にしないほどに、先天性の精神が強かった。


 現に、この仕事をさほど嫌ってはいない。


「純血、ねぇ。俺らは別に悪いことしてねぇのにな」


 シロは遠い日を見るように目を細める。眼下に広がる星のような夜景を映しているが、彼の頭の中にあるのはまた別の出来事だ。


「·········そろそろだな。クリスマスが来る」


 シロの発言を理解しているものの、クロはさして触れない。シロがこのように感傷に浸るのは、これが初めてではないし、そんな深く思っていないからだ。


 山の向こう、二十四日の太陽が地平線に沈む。既に東は紺碧に染め上げられており、天頂は見事なグラデーションがされていた。


 じきに()()()()。夜が来るということは、彼らの勤務時間が来るということだ。


 二十四日の日没から、二十五日の日没まで。クリスマスの時間帯が彼らの唯一活躍する時間帯。


 存在はサンタクロースで(かす)むものの、それでも一年に一回騒げる日だ。彼らにとって、この日のために一年間虐げられたといっても過言ではない。


「日没だ。行くぞ、クロ」

「あぁ。ブラックサンタのお出ましだな」


 陽が完全に姿を消し、夜が完全に訪れる。


 ニヤリと笑みを深め、二人は同時にその場から消えた。







 ✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ