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第151話 偽り

前回までのライブ配信


アイリスは、貴族のウァレリウス家に潜入し謎の人物ウルフガーを調査する作戦を行うことになる。彼女は侍女見習いとして財政難のウァレリウス家に採用され、翌日から働き始めることになるのだった。

 今日からウァレリウス家で働くことになっている。

 住み込みなので、しばらく皇宮に来ることはなくなるはずだ。


「じゃ、マリカ。皇帝のことよろしく。なるべく早く戻ってくるつもりだけどね」


「気をつけてね」


 マリカに見送られて皇宮をあとにする。

 ウァレリウス家はそこまで遠くないので、ゆっくりと歩いていった。

 昼までに行けば大丈夫らしい。


 坂を歩き、エクなんとかの丘の上にあるウァレリウス家の邸宅に向かう。

 少し緊張してきた。

 さすがに自己紹介はすることになるんだろうな。


 護衛の人に今日から働くことと名前を告げ、玄関から入る。

 ウルフガーさんに出迎えられた。


「ウルフガー様。本日からお世話になります。フィリッパです。よろしくお願いします。ウルフガー様とお呼びすれば良いでしょうか?」


「貴女は解放奴隷なのですから、私に敬称は不要です」


「ではせめて、「さん」は付けさせて貰えませんか? あと、私には他の侍女と同じように接してください。その方が助かります。至らぬ点があれば、遠慮なく指摘してください」


「――分かった。では、これから皆へ紹介していく」


「はい。よろしくお願いします。ウルフガーさん」


 紹介していくってことは、こちらから挨拶に行くってことなんだろうな。


 まず私は台所に連れていかれた。

 そこには2人の女性が居た。

 洗い物をしている。


「2人とも、手を休めてくれ」


 私は2人に紹介されて、「ご指導よろしくお願いします」と頭を下げた。

 2人もウルフガーさんと同じく奴隷階級らしい。


「フィリッパ様は今、お(いく)つでしょうか?」


 1人の女性が聞いてきた。


「19歳です。あと、私に敬語も敬称も必要ないですので、下っ端としてご指導をお願いします。その方が私も働きやすいです」


「そう? じゃ、お言葉に甘えさせて貰うわね。それにしてもその歳で解放されるなんて珍しい」


「そうみたいですね。運が良かったのかも知れません」


「え? 貴女は丁寧な言葉なの?」


「これはもう故郷の癖みたいなものなので、ご容赦ください」


 ≫日本しぐさだ!≫

 ≫儒教(じゅきょう)の影響か≫

 ≫さすがに10以上離れてそうだしな≫


 最後にもう1度だけよろしくお願いしますと話して、その台所を離れた。

 続けて、三男のエミリウス様の元へと向かう。

 14歳の末っ子らしい。


「エミリウス様、入ります。本日より働くことになったフィリッパを紹介をさせていただきます」


「う、うん」


 外からでも緊張している様子が伝わってきた。

 入ると、14歳というには幼く感じる少年が居た。


「始めてまして。本日よりこちらでお世話になるフィリッパです。よろしくお願いしますね、エミリウス様」


「う、うん」


 上目遣いで私をチラッと見ると、顔を真っ赤にした。

 人見知りなのかも知れない。


 ≫ショタくんキター≫

 ≫おねしょたの可能性が、今、生まれた!≫


 コメントは相変わらず(ごう)が深い。


 エミリウス様はそのまま黙ってしまったので、私はよろしくお願いしますとだけ言って、部屋をあとにした。


 続けて次男のクラウス様の部屋に向かう。

 彼は22歳らしい。

 三男のエミリウス様が14歳だから、かなり歳が離れてるな。


 長男や3人の姉妹はすでにこの家には居ないらしいので、紹介は彼で最後となる。


「クラウス様。本日よりこちらで侍女を勤めるフィリッパ様をお連れしました」


「いいぞ。入れ」


 入っていくと、背を向けたまま座っている男性が見えた。


「クラウス様」


 呼ばれると彼は座ったまま身体を向けた。

 そのまま、私と目が合うと彼は固まる。

 目を見開いている。


 会ったことはないはずなんだけど……。

 まさか闘技会?

 アイリスってバレてないよね?


「――お、お前、名前はなんだ?」


 数秒後に身を乗り出すように聞いてきた。


「フィリッパと申します」


「奴隷なのか?」


 言いながら目線が私の身体を値踏みする。

 スルーしておこう。


「いえ、解放奴隷です。本日より、ウァレリウス家で働くことになりました。よろしくお願いします」


 笑顔を保ったまま言えた。


「そうか。――考えておこう」


 何を考えるんだろう……。

 私こそ考えても仕方ないか。

 ウルフガーさんが私をみた。


「それでは失礼いたします」


 私も一礼して「失礼します」と言って部屋を出る。


 ≫美人って大変だな……≫

 ≫舐め回す視線ってこういうのを言うのか≫

 ≫貴重な体験をしてしまった≫

 ≫視線ってバレるんだな≫

 ≫気を付けよう≫

 ≫なんで奴隷かどうか聞いてきたんでしょうね≫

 ≫大変だな(他人事)≫


 ウルフガーさんの後を歩きながらコメントを読んでいると何か疲れてくる。


 最後はウァレリウスご夫妻だ。

 人が良さそうな2人なので安心する。

 簡単な挨拶を一通りすると、ウァレリウス婦人――リウィアさんが「これから養育院の視察に向かうのだけれど、付き添いって貰える?」と聞いてきた。


 私は「もちろんです」と笑顔で応える。

 婦人の性格を知るチャンスだ。


 それからしばらく私の故郷について話していると、馬車が来たので2人で乗り込んだ。


 リウィアさんは話好きのようで、私が養育院のことを「知らない」と応えるとかなりいろいろなことを教えてくれた。


 彼女の話によると、孤児や片親、貧しい家庭の子どもの教育機関のようだった。

 住居も兼ねているけど、孤児院というよりは小学校に近いと思う。


 午前は読み書きや計算、午後からは職業訓練を行うらしい。

 年齢的には14歳までだそうだ。


 聞きたいこともあったけど、貴族に対して質問するのは失礼なので我慢した。

 丁寧語さんもコメントしてくれたけど、さすがにこの辺りの知識はないらしい。


 話をしながら馬車に揺られていると到着する。

 リウィアさんの話によると、『ドムス・カリタティス養育院』という施設らしい。

 慈愛の家という意味だそうだ。


 馬車を降りると出迎えられて応接室に通された。

 私もリウィアさんの後ろに立つ。

 すると5人の子どもたちが入ってきた。

 そうして一列に並んだ。


「ウァレリウス様、ありがとうございます!」


「どういたしまして」


 子どもたちに笑顔で応えるリウィアさん。

 ただ、私は別のことに気を取られていた。

 子どもたちの顔色が明らかに悪い。

 気になって赤血球を把握してみると、私の身体よりかなり少なく見える。


 これは普通のことなのだろうか?

 知識がなくて判断できない。


「皆さん元気そうでなによりだわ」


「これもウァレリウス様のお陰です」


 子どもたちが去った後、リウィアさんが院長に話しかけていた。

 彼は40歳くらいの男性で、おでこから頭頂まで髪がない。


 チラチラと私の顔と胸、太股辺りを見てくるけど特に気になるほどじゃなかった。


 空間把握で、養育院を見渡す。

 それほど広くはないので全体を確認できる。

 子どもの数は80人くらいだろうか。

 大人は5人くらい。


 今は午後なので職業訓練をしているところだろうか。

 剣を持って素振りしている子どもも9人居た。

 ローマ軍団に入る子も居るんだろうな。

 ちゃんと確認した訳じゃないけど、全体的に男児が多そうだ。


「それではまた(うかが)わせて貰いますわ」


「子どもたちもウァレリウス様に会えるのを楽しみしているんですよ。それと、相談がございまして……」


「あら、どのようなお話かしら?」


「はい。大変心苦しいのですが……」


「私に出来ることならおっしゃって欲しいわ」


「そう言っていただける我が院は幸福でございます。このようなこと、ウァレリウス様にしかお話できません。実は生徒が増えることになっていまして……」


「分かりました。寄付の増額ですね?」


「は、はい。ご慧眼(けいがん)恐れ入ります」


「具体的にいかほど必要なのかしら?」


「はい。10人ほど増える予定なため、ローマ市からの支給を差し引き、月5金貨(ソリドゥス)ほど必要になります」


「まぁ。分かりましたわ」


「ありがとうございます。これで、子どもたちも救われます。ウァレリウス様の優しさこそがローマの宝でございます」


 確か親衛隊員の年収も5金貨(ソリドゥス)だったはずだ。


 ウァレリウス家は給料をあまり出せないと言っていた割に無理しすぎではないだろうか。

 私の月給は1金貨(ソリドゥス)に満たないくらいとの話だ。


 改めて考えると、親衛隊の給料って少ないな。

 衣食住が保障されてるから良いのか?

 お金の話は考えても仕方ないか。


 どちらにしても、この養育院については不信感がある。

 何か不正があるかも知れない。

 作戦とは無関係だけど、調べて貰った方が良いかもしれない。


 この手の不正を取り締まるのがどこの管轄(かんかつ)か分からない。

 ビブルス長官に聞いてみるのが良いかな?


 こうして、私の付き添いは終わり、また馬車でウァレリウス邸宅へと帰った。


 帰ってからは、食事の用意を手伝いながら侍女の3人にいろいろな話を聞いた。

 3人とも奴隷階級らしい。

 言葉遣いは普通にして貰う。


「――ニホン? どこにある国?」


 目を輝かせて聞いてきたのは、30代前半くらいの女性だった。

 華奢な体型でよく動く表情と緑の瞳が印象的だ。


「東の果てにある国ですね。皆さんはローマ出身なんですか?」


「そうだよ。生まれも育ちもローマだ」


 言ったのは少しガッチリとした体型で黒髪の人だった。

 腕を組み、落ち着いた人だなと思った。

 年齢は微妙に分からない。

 30代だとは思うんだけど。


「私もそうねえ。この家で生まれ育ったから」


 褐色の肌で瞳は柔らかい女性だった。

 彼女が筆頭侍女のメリサさんだ。

 確かに3人の中ではリーダー格に見えるけど、見た目は30代前半だ。

 雰囲気だけ見ると40歳くらいかな。


「ありがとうございます。私はローマに来てそれほど時間が経ってないので、機会があれば教えてください」


「もちろん。買い物に行ったときにでも教えるよ」


 ガッチリした人が笑顔になる。


「お願いします」


「そういえば、養育院はどうだった? 奥様と行ったんでしょ?」


 華奢な人が目を輝かせて聞いてくる。

 好奇心旺盛そうだ。


「あのような施設があるとは知らなくて驚きました」


「ニホンにはなかったの?」


「学校という施設はありました。国の未成年全員が勉強するために通う施設ですね」


「ぜ、全員? 貴族も?」


「貴族という階級はなかったですね。奴隷も居ません」


「……どういうこと? 頭こんがらかってきたんだけど」


「言葉での説明はちょっと難しいですね。私もローマに来たとき、文化の違いに驚きましたし」


「そうなんだ。ちょっとずつでいいから教えてよ」


「はい。もちろんです」


「いい加減にしなさい。ごめんね。この子、すぐ余計なことまで知りたがるから」


「私なら大丈夫です。答えられないこともあるかも知れませんけど、いろいろ聞いてください」


「ほら」


「ほらじゃないよ、全く。手を動かして。フィリッパさんも気を遣わなくていいからね」


「あはは……」


 私は笑って誤魔化すしかなかった。

 仲は良さそうだな。

 少なくともギクシャクした雰囲気はない。

 そんなことを考えながら、食事の準備を続けるのだった。


 完全に日が落ちてしばらくの後、自由時間となった私は庭に出てきていた。


 パンチの練習をしたかったからだ。


 庭に誰かが居ることは確認済みだ。

 たぶん、ウルフガーさんだろう。

 ずっと素振りをしている。

 私が気づいてから10分以上は素振りをしている。


 興味深いのは、彼が剣を振ったときの空気の乱れが小さいことだ。

 長年続けていないと出来ない領域な気がする。

 丘の下から聞こえてくる音に紛れて、ヒュという小さな音だけが聞こえてくる。


 声を掛けるかどうか迷った。

 でも、向こうも私が音のする方向を見ていたことに気づいているかも知れない。

 話し掛けた方がいいか。

 私はすぐに彼の元に歩んでいった。


 月明かりに照らされた彼の肉体がほんのりきらめいている。

 上半身裸だ。

 青みがかった空間の中で、一心不乱に剣を降る様子は幻想的に見えた。


「――誰だ」


「本日よりお世話になってるフィリッパです」


「このような時間に何を?」


「お休みをいただく前に、夜風に当たろうとしたところ、物音がしたので……」


「そういうことか。しかし、無闇に近づかない方がいいだろう。危険があるかも知れない」


「そ、そうですね。気が付きませんでした」


「今後は、私か筆頭侍女のメリサに言うようにしなさい」


 メリサさんに『筆頭侍女』と付けてくれる辺り、気が回る人だと思った。


「はい、気を付けます。ありがとうございました」


「ああ」


「失礼します」


 ≫誰と話してたんだ?≫

 ≫ウルフガー?≫

 ≫何してたんだ?≫


 念のため、邸宅に入るまで黙っていた。

 万が一、ウルフガーさんに聞かれると厄介だ。

 広間に入り、誰も居ないことを確認する。


 天井が空いているので、静寂さはない。

 丘の下で馬車が走る音などが微かに聞こえたりもする。


「皆さん、反応できなくてすみません。外に居たのはウルフガーさんでした。剣で素振りをしていたようです」


 ≫夜中に素振り、だと?≫

 ≫真面目だな≫

 ≫本当に悪人なのか?≫


「ここに来てからの印象だと悪い人には見えません。出来た上司といった感じでしょうか」


 ≫確かに有能そうではあるな≫

 ≫んまっ! 嫉妬しちゃう!≫

 ≫言動だけだと悪い印象はないな≫


「彼については、侍女の方たちにそれとなく聞いてみる予定です。気づいたことがあれば、都度コメントして貰えると助かります」


 ≫OK≫

 ≫りょ≫


「あと、気になるのは――養育院ですね」


 ≫養育院って今日行ったとこか≫

 ≫気になるポイントあったか?≫

 ≫金ないのに寄付するの? とは思ったが≫


「私の考えすぎかも知れません。ただ、子どもたちの赤血球が少なかったんですよね。あとはエネルギーが有り余っているような元気さが感じられないと言うか。そこへ寄付の話だったので、不信感を持ちました」


 ≫赤血球!?≫

 ≫アイリスは赤血球見えるからな≫

 ≫栄養が足りてないのか?≫

 ≫空気感もその場に居ないと分からないからな≫

 ≫ビブルス長官に押しつけよう!w≫

 ≫過労死するんじゃないか? あの人……≫


「確かに長官に相談に行きたいところなんですけど、問題は休日がないことなんですよね。1週間に1度、公衆浴場に行ってもいいみたいですが」


 ≫公衆浴場には何時から何時まで行けるの?≫

 ≫午後の明るい内らしいぞ≫


「はい。時間で言うと午後1時から午後5時くらいでしょうか」


 ≫じゃ、その時間に相談に行くしかないか≫

 ≫風呂はどうするんだ?≫

 ≫ミカエルの家で入ればいいだろ≫


「――そうですね。公衆浴場の時間を利用する方向で少し考えてみます」


 ≫最初は公衆浴場に行くのが良いと思うけどな≫

 ≫侍女仲間に感想とか聞かれそう≫


「そうですね。その辺りも含めて、考えてみます」


 ≫無責任なことを言ってもいいか?≫


「はい。どうぞ」


 ≫いっそ、アイリスが解決するのはどうだ?≫


「私がですか?」


 ≫ああ。要素は揃ってるだろ?≫


「要素……。考えるのでちょっと待ってください」


 まず、調査。

 これは――私がすればいいのか。

 公衆浴場に行く時間を使うなり、深夜に行くなりして調査を行うことは出来るだろう。


 不正が見つかったとしてそれを正すには何らかの権力が必要になる。

 親衛隊は管轄(かんかつ)が違いそうな気がする。

 治安維持の名目ならいけるのだろうか?


 確実なのは議員か皇帝だ。

 本人がダメでも、管轄するところに指示できるだろう。


 議員の知り合いとなると、カトー議員かフィリップスさんなんだよな。

 協力して貰うとしても――。


 と、そこまで考えて気づいた。

 このウァレリウス家は貴族なんだから、当然ウァレリウスさんは議員だろう。

 要素が揃ってるってそういうことか。


 確かにいけるかも知れない。


「考えました。確かに協力なしでも行けるかも知れません」


 ≫マジか≫

 ≫ほう≫

 ≫どうやるんだ?≫


「はい。基本は私が証拠を集めて、ここの当主、ウァレリウス議員に対応して貰う方向です」


 ≫ウァレリウスって貴族だから議員な訳か≫

 ≫なるほど≫

 ≫可能なのか?≫


「可能だと思いますが、難しいです。まず、私が深夜に養育院に行って証拠を集める必要があります。その上で、ウァレリウス様に私を信じて行動して貰わないといけません」


 ≫難易度高いな≫


「そうですね。証拠集めには、光曲の魔術で影状態になることが必要になるかも知れません。あとは、この邸宅での信頼を得る必要があります」


 ≫そこまで考えたのか≫

 ≫影状態はともかく、信頼はどうするんだ?≫


「私の素の能力だと仕事そのもので評価されるのは難しいですね。なので、仕事で積極的に魔術を使っていき、有用だと認めて貰うところから始めます。あとは、可能なら皆さんの力をお借りしたいです」


 ≫具体的には?≫


「事務作業などのチェックですね」


 ≫視界に納めてくれれば出来なくはないか≫

 ≫俺が言い出したことだし協力するぞ≫


「ありがとうございます」


 ≫なんか思いついたらコメントするわ≫


「助かります」


 話していると誰かが広間に出てきたので、視聴者に感謝を伝えて2階へと向かうのだった。


 翌日。


 朝早くに起きて、まずは自分の準備をした。

 この邸宅は床暖房を止めているらしく、寒い。

 水も冷たい。

 お風呂はあるんだけど、お湯を沸かしてないので水で身体を拭くだけだ。


 これまでの環境って恵まれてたんだな、としみじみ思う。


「フィリッパさん。準備が終わったらお湯を沸かすのを手伝って」


 お湯は薪を使って沸かす。

 木炭もあるみたいだけど、料理用らしい。


「承知しました。メリサさん。昨日、お話した件ですけど……」


「魔術を使いたいんだっけ? もちろん、良いわよ。危なくないのよね?」


「はい、大丈夫だと思いますし気を付けます。ありがとうございます」


 さ、始めるぞ。

 私は気合いを入れて、侍女の仕事に取り組み始めるのだった。

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