表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
77/77

58

     58


 数日後

某料亭。

 警察幹部と文科省幹部が

複数-----。

 顔は-----わからない。

 「いや-----

大変な事になりましたなあ」文科省。

 「前代未聞の不祥事だし-----」警察幹部。

 「まあ虹口刑事が自殺した事で

彼も被害者の一人だという事で

落ち着きそうでね」別の警察幹部。

 「アレで当庭も

自殺でもしてくれれば

ありがたかったんだがね」別の文科省幹部。

 「アレは-----

自殺などは-----」警察。

 「しないか」文科省。

 「取調べの様子を見たが

とてもとても-----」警察。

 「そう見えても

案外何かの-----」文科省。

 「ん-----。

 しかし-----

一生後悔する。

 私に指導に従わなければ----- 

などとわけのわからん事を

繰り返しているし」警察。

 「まだそんな事を」文科省。

 「あんな奴に指導してもらわなくても-----。

 いや-----

何でもない」文科省。

 「まあおかしな事を言えばね。

 当庭の奴。

 虹口と同じで-----」警察。

 「彼は-----自殺だよ

 君。

 あくまでね。

 裁判では

殺された事になるし-----。

 当庭にね。

 下手にかんぐらないでよ」警察。

 「しかし助かったよ」

 「ことが公になる前に

手を回せてね」

 「君の方は大丈夫かね」警察幹部。

 「当庭か。

 頭が痛いよ。

 しかしまあ-----

何とかなりそうだ。

 これは奴個人の事で。

 教師は-----

他の教師たちは

みな一生懸命子供たちのために。

 それで何とか

落ち着きそうだ。

 これでケチでもついて

教育がゆがめられる事にでもなれば」文科省。

 「ゆすり《強請》教育か」警察。

 「マア、ウチの子も荒れていてね。

 ああいう先生がいなければ

大変な事に。

 そう思っていたんだが。

 あの先生は-----さすがに-----

ゴメンだね」

 「君のところもか。

 ハーーー。

 映画の○○教師の言うように

育てたつもりなんだがね」

 「金を持っているから

社長だからといって

そういう奴らが

イバリ散らすから-----

か」

 「そうだ。

 それで荒れるんだろう。

 そんな奴許すな。

 そんな奴らが心を入れ替えて-----

人の気持ちをわかってくれれば。

 そんな奴らを指導して 

何が正しいかを教えてやる。 

 そういう者が偉いんだ。

 偉くなればいいぞ。

 あれもこれもしてもらえる。

 そうなりたいだろう。

 そうなりたければ偉くなれ。

 あんなわけのわからない

あいつら。

 こんな事もわからないのか

そんな事でよくもまあ-----

社長だ金持ちだと。

 世の中そんな事ばかりだ。

 理不尽なんだ。

 そんなことを許しておくから

世の中荒れるんだ。

 世の中の心有る者たちが

しいたげられて

日の目を見れない。

 そんな世の中

間違っている。

 世の中も世の中だ。

 それを受け入れている。

 出世がしたい

金が欲しい

逆らえば大変な事になる

などと言って

媚びへつらってね。

 そんな者は今に-----。

 お前はそうはなるな。

 そんなやつは許すな。

 そういう人間になれ。

 世の中の媚びへつらう者たちを

指導してやってね。

 何が正しいか分からせてやれ。

 そういう者こそが

本当に偉いんだ。 

 そう言って

育てたつもりなんだがね」

 心ある官僚の一人が。

 「そういう心の声は

届かないわけか」官僚。

 「まあ-----

そういうことだ。

 いくら教えてやってもね。

 我々の言うことを聞いておけば

間違いないのにね」心ある官僚。

 「優秀な者が人々を指導する

-----か」警察。

 「今にそんな世の中が来る。

 金持ちどもや社長、力のある者どもを

指導してね。

 心ある者がね」

 「そうだよ。

 そうしなければ

今の日本の現状を見てみろ。

 そして優秀な者が人々の上に立ち

指導する」官僚。

 「その通りだよ。

 あんな

こんな事もわからない

あんな事もわからない。

 そういう者が

そういう連中を指導してね

 毎日毎日-----

全く}

 「少し話をすれば

いかに愚かか

すぐにわかる。

 その程度のやつらだよ」

 「確かにそうだ」

 笑いが-----座を充たした。

 「我々も同じだよ。

 世の愚かな者どもをね。

 指導してね。

 何せ世の中と来た日には

何も分かってはいないしね。

 我々が指導してあげなければね。

 どうなることか。

 イジメ問題にしてもそうだよ。

 あれほどね。

 人の気持ちを分かってやれと

言っているのにね

 そうしなければ

それが心の傷になって

とね。

 そのせいで教育の現場が

どうなっているのか。

 いくら教えてあげてもわからない。

 あれほど-----

毎日毎日

こうすればと暗に-----。

 そうだろう。

 それでもわからない。

 呆れ果てるよ。

 やはり優秀な指導者がね。

 人々を導かなければ

-----

世の中-----どうなるか。

 政治の中枢にも

そういう者はいるしね。

 これがどうしようもない。

 全く

何度インタビューしてね。

 暗に

こうすればと

教えてあげているのにね。

 そういうことだよ」

 マスコミ関係者もいるようだ。

 「それは我々も同じだよ」 

 しみじみと-----

他の者も-----。

 「まあ-----とにかく

今回の件に関して言えば

我々も天下り先は欲しいしね。

 尽川のところも

これに懲りてね。

 我々の天下りを

受け入れでもしてくれればね。

 それはそれでね。

 彼の息子が自殺するという事態も

防げたかもね。

 この事件を機にね。

 それに気づいてくれる会社が

増えてくれれば

もうけものだよ」文科省。

 「なるほどね」警察。

 「ころんでも

タダでは起きないわけか」警察。

 「ただ-----

尽川の息子の件は 

あくまでも自殺という事で」文科省。

 「エッ!

 あれはあくまで自殺だろう」警察。

 「教師が屋上から

突き落としたではね」文科省。

 「当庭くんにも-----」ため息混じりに。

 「しかしあの校長にも

困ったものだよ。

 その時の映像まで

携帯でね」警察。

 「幸い-----警察の方は

そのパソコンのデーターには

気がづかなかったようだけど」文科省。

 「それは-----その時は現職警官の不祥事に

気を取られて-----だろう」警察。

 「いくら何でも

そこまでやられれば

今後の教育に差しさわるかも」文科省。

 「まあどうとでもなるがね。

 こんなチンケな事件がもとで

日本の教育が

ゆがめられでもすればね」文科省。

 「教育とは

そちらの方の

“教育”か」警察。

 文科省は笑った。

 「我々もその点については

同じだよ。

 日本の将来をうれう者としては

軽々しくは報道できないしね。

 何もわからないような連中が

今回の事件を機に

また勢いづけば

大変なことになるしね。

 指導に従わなくなれば

それが心配だよ。

 慎重に扱わなくてはね」

 「よろしく頼むよ。

 あくまでも当庭くんの個人的な-----

ということで」官僚。



 

          -----完-----

 


 その後

尽川社長は多くを語らなかった。

 マスコミの取材に対しても

 「社長の同級生の。

 いえ友人の

当庭が犯人だったという事ですが

その事について一言」

 「殺された虹口刑事や

中学生六人。

 校長については」

 尽川は一言も発せず

自動車へ。

 当庭は-----

一月余りのち

自殺した。

 初公判直前だった。

 数ヵ月後

文科省の

枠沢局長は-----

尽川建設の専務となっていた。

 警察官僚の天下りも-----

何人か。

 そして他校へ行った

尽川社長の次男は-----

やはり自殺。

 尽川に跡継ぎはいなくなった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ