55ー15
福村のために
親や金持ち、社長を懲らしめて
金でも何でも出させる。
親が出さなければ
その子がね。
福村のために金でも何でも
親に出させるのが当然だろう。
それを親という者どもは
キタナイから
そうやって子供たちをダマしてね。
いるんだよ。
それで私の指導に従って
親や金持ち、社長を懲らしめてくれる子たちを
クズあつかいするんだ。
どこまで腐っているんだ。
これじゃあ子供たちキレて当然だろう。
意気どうりを感じない者は
それこそ“人で無し”だしね。
福村でもそうだろう。
“お父ちゃんはどうして
福村様のために
して差し上げないんだ。
お父ちゃんは金にキタナイからだ。
福村様の出世がねたましいのか”
-----とね。
私たちにまかせてくれれば
そのような子供に
教育してあげられるのにね。
そうなるのが
キレイな世の中じゃあないのかね。
そう思ってくれるのが-----ね。
しかし-----
“人で無し教育”を受けた子たちは
そんな事もわからずに
キレもせずにタダ-----。
子供たちがキレなければ
親も世の中も
私のためにしてくれないしね。
そればかりか
どうして私のためになど-----と
うそぶく始末。
そのせいで
いくら“心の教育”をしても
私のためにしてくれない。
そのせいで私はどんな思いを。
そんな子たちだしね。
尽川君にしろ
彼の息子にしろそうだった。。
パシリにして教育してあげても
心の底から福村のためにしない。
タダその場をつくろうためだけだ。
イジメられたくないから
懲らしめられたくないから
その場をゴマかせればいい。
そういう子だった。
しかし君たちは違った。
金も力も無い代わりに
金持ち、社長と見れば
私の-----福村のためにね。
そういう者どもを懲らしめてくれただろう。
私の家来にするためにね。
まあ君たちは
自分のためにやっている
つもりだったんだろうが
そんな事はどうでも良い。
結果的にね。
福村の手の平の上で
泳いでいたわけだし
甘いフリをしてかばってあげただろう。
こうすればわかってくれると
指導してあげただろう。
福村の家来にも
君たちのような子はいるだろう。
あれを見てね。
そのように。
その通りに
教育指導してあげたんだよ。
感謝しているよ。
しかし尽川君は。
人の気持ちをわかってもらおうとね。
いろいろやったんだがね。
私の中学時代にも
そういう子はいたよ。
パシリにしてね。
立場をわからせてあげようとしてね。
教育してあげたものだよ。
しかしこの子ならば
卒業してもきっと。
そう信じて
生かして卒業させてあげたのにね。
あの時ならイジメ殺せたのにね。
私が一声かければね。
尽川君の息子のようにね。
それを-----
慈悲をかけてね。
生かして卒業させてあげたのに。
それを-----
卒業すればそれまで。
恩を忘れてね。
パシリとして指導してあげた恩もね。
大変なんだよ。
そういう子を教育するのもね。
パシリにしてね。
今度は何をさせてあげようか。
コレをさせてあげれば
アレをさせてあげれば
きっと立場をわかって
私を支えてくれるようになるのでは。
イロイロ考えてね。
指導してあげるのも大変なんだよ。
その恩も忘れてね。
生かして卒業させてあげた恩もね。
尽川君にしろそうだ。
君たちのような子を
教育指導してあげてね。
尽川君のような子を
懲らしめてあげたのにね。
立場をわからない。
本当に困った子だよ
尽川君は。
あのような子はね。
きれいな心を持った子なら
そのように指導してあげればね。
福村様のおかげで。
福村様をお支えすることこそが。
それを私めにわからせるために。
そう言って
“恩”を感じるものなのにね。
そのために存在を許されているのにね。
実田福村を見たことがないのかね。
TVドラマの。
ああして懲らしめてあげれば
家来になってくれると信じているのに。
そうなれば金を持っている者は
“どうぞ福村様お使いください”。
そう言って
いくらでも金を用立ててくれる。
力のある者は力を貸してくれる。
君たちのような子は
生命を投げ出してくれる。
そうなって欲しいだろう。
そうなってくれれば
どんなに良いか。
あの金持ちが
社長が
力のある者が
家来になってしてくれれば
どんなに良いか。
そう思った事はないかね。
そういう事を言うとね。
“他人の物をすぐに欲しがる。
そればかりか
家来になってしてくれれば
などと言い出す。
しつけのなっていない子供と同じだ”
などと。
そのような子供たちと同じように
私の事を考えている者もいたがね。
私は違うんだ。
特別なのにね。
ウチの親はね。
いつも言っていたよ。
グチをね。
“あの時もっとうまく
教育してやっていれば
アイツがそうなってくれていれば
今頃-----。
あの時こうしていれば
きっと今頃-----
この私が大会社の社長に。
あんな奴ら
逆にアゴでこき使ってやれていたのに
それを-----。
こうやって教育してやればよかったのか”
-----とね。
“オマエはそういう後悔を
するような事はするな。
私の言う事を聞いていればいいんだ。
きっとわかってくれる。
わからせてやれる。
親の言う事を聞いていればいいんだ
-----とね。
そうしないと
一生後悔する事になる。
この私のように”
-----とね。
“学校でならやれる。
思い知らせてやれ。
どちらが“上”かわからせてやれ。
二度と手むかいできなくなるまで
懲らしめてやれ。
いくら逆らってもムダだとわかるまで
懲らしめてやれ。
そうすればきっと
家来になって-----。
何。
イジメ殺されれば
おしまいのクセに
骨の髄まで
それをわからせてやればいいんだ。
福村のように
いくら逆らってもムダだと
わからせてやればいいんだ。
それが偉いんだ。
それをわからせてやれば
そうすれば立場をわかって
何でも言う事を聞くようになる。
そうなればこっちのものだ。
そうなれば良いぞ”
-----とね。
“そうやって金持ち社長どもを
懲らしめてやって
立派になる。
そういう者こそ
本当に偉いんだ”
ウチの親はいつも
そう言っていた。
ウチの親は愚かだから
本当にそれで
家来になってしてくれると
信じていたようだがね。
キタナイ世の中では
そんな事で家来になって
してくれないんだよ。
それもわからずにね。
とにかく-----
それが人の気持ちなんだよ。
しかしいくら言っても
それをわからない。
いやわかっていてもしてくれない。
福村様のために。
テレビドラマの中では。
“福村様のためになぜしない。
成敗されて当然のところを
助けていただいたのも関わらず
その恩も忘れて”と
わかってくれるんだが。
見ている者もね。
しかし自分がするとなると
やはり-----
素直でキレイな心の持ち主でないとね。
やれ面倒だ。
金がおしい。
生命がおしい。
どうして福村のためになど
ヒガミだよ。
そういう
ネジ曲がったね。
根性のためにね。
してくれないんだろう
実田福村と現実を比べてね。
比較して
どうしてこうも違うのかとね。
つくづく思ったものだよ。
子供心にね。
キレイな世の中と
キタナイ世の中の違いをね。
そうしてくれない者どもを
“人で無し”と言うんだろう。
映画の“熱血教師”も言っている。
心のキタナイ奴らは
福村に懲らしめられても
そうしてくれない。
心の底から家来になって
福村の天下取りのためにしてくれない。
それどころか仕返しをしようとするは
てむかいするとは
ブタ箱へ入れようなどと。
そういう人間を
“人で無し”と言うんじゃないのかね。
そうだろう。
君たちはそんな風になってはダメだよ。
成敗されたくなければね。
信じているよ。
人の心を持たない者たちには
やはり教育が必要なんだよ。
あれを
福村を見ればわかるだろう。
やはり“教育”とは
強請り《ゆすり》だよ。
脅しだよ。
ダマシだよ。
暴力だよ。。
殺人なんだよ。
そうしないと
金持ちも山賊も家来になって
助けてくれないしね。
ウチの親父もね。
それに気づいていればね。
まあそれがあの親・父・の限界かね。
助けてくれるという事は
もちろん
私の家来になって
してくれるという意味だよ。
それを世の中の愚か者どもは
誤解しているようだがね。
まあそれでもいいんだがね。
一緒になって
金持ち、社長どもを
懲らしめてくれればね
吊るし上げてくれればね。
それと-----やさしさ-----もね。
教育とはそういうモノなんだよ。
そうすれば愚かな連中も
尻尾を振ってくる。
ムチばかりではね。
アメも-----
優しさ-----という
アメも必要なんだよ。
それが人の価値なんだよ。
実田福村もそうだろう。
そうすればわかってくれるんだよ。
映画のヒーロー教師にしてもそうだ。
椰田君のような子をね。。
立ち直らせるためだと言ってね
尽川君のような子を
指導してあげればね。
世の中みんな言うだろう。
金持ちはケシからん。
先生が金持ちどもを指導してくれれば。
いや-----先生こそ社長になれば
きっと世の中良くなる。
椰田君のような子も立ち直るに違いない
-----とね。
そうすれば世の中
私こそふさわしい事をわかってくれるのか。
人の気持ちをわかってくれろのか。
世の中が
尽川君のような子を懲らしめて
私を社長にしてくれるのか。
世の中が。
尽川君のような子が。
そうしてくれるまで
教育してやればいいのか。
荒れる子を立ち直らせてやればいいのか。
尽川君のような子を指導してやって。
そうすれば。
それこそが真の教育なんだ。
そう思って将来に希望をね。
持ったんだよ。
そして
そのようなつもりでね。
教育にまい進してきたんだよ。
もちろん人の気持ちとはね。
福村様-----だよ。
尽川君のような子をね。
懲らしめて立場をわからせてくれるのか。
そう信じていたのにね。
本当にそう信じていたんだよ
私は。
それで教師に。。
こうすればいいのか
こうすれば人の気持ちをわかってもらえる
わからせてやれるのか。
子供心にそう思ったんだよ。
親もそう言っていたしね。
わからせてやれ。
思い知らせてやれとね。
あの映画のヒーロー教師を見て
心の底から涙したものだよ。
子供心にね。
君たちもそうだろう。
子供とはそういうものだよ。
私とは違うがね。
大人たちも言っていただろう。
その子供たちの姿を-----。
○○教師を見てね。
涙する子供たちの姿を見て
マスゴミも
世の大人たちも言っていただろう。
“この子たちは
こんなに優しい心の持ち主なんだ。
映画の○○教師のように
接してやれば
素直になって
立ち直ってくれる。
いい子になって
人の気持ちさえわかってやれば
心を開いて。
やはり子供たちの気持ちを
分かってやらない大人が
世の中が悪いんだ”
そう言ってくれたんじゃあないのか。
分かってくれたんじゃあないのか。
そうかあの○○教師に出てくる
中学生のようにすれば
分かってもらえるのか。
そうなればどんなにいいか。
これで立ち直れるとね。
犯罪に走らずにすむ。
犯罪に走る必要もないしね。
そう思って喜んでいたのに。
これでわかってもらえる。
そう思って喜んでいたのに
しかし現実はね。
いくら教育してあげてもね。
いっこうにね。
いくら椰田君のような子をダシにね。
世の中に訴えてもね。
本当の意味で
荒れる子たちを立ち直らせたければ
どうすればいいかをね。
それをオロカな世の中に
分からせてあげようとね。
尽川君のような子をね。
私の家来にしてくれればね。
椰田君のような子が立ち直る。
福村もそうだろう。
金持ちが家来になれば
荒くれ者もね。
立ち直って家来にね。
なってね。
福村のために
金持ちどもを懲らしめてくれる。
心のキレイな世の中ならね。
どうしてそれがわからないのかね
世の中は。
そうしないと世の中
大変なことにと訴えてもね。
大変な事にならなければ
私が強請り《ゆすり》教育でね。
世の中大変な事にしてあげるがね。
なるべき者がならない世の中
大変な事にならない方が
おかしいんだしね。
しかしいっこうに世の中
私を社長にしてくれない。
どういう事なんだ。
話が違うじゃないか。
映画のヒーロー教師はウソだったのか。
先生になればわかってくれるんじゃあ。
これでは先生になった意味が。
そうだろう。
同級生たちは
同窓会に行けば
今や社長だ重役だと。
あのパシリどもがね。
それにひきかえ
私は一介の教師。
この私がこのまま終わって
いいはずないしね。
あいつさえしてくれれば
子供心に君たち
そう思ったことないかね。
どうして世の中わかってくれないんだ。
キタナイからか
愚かだからか
自分勝手だからか。
世の中さえ協力してくれれば
学校の時のように
尽川君のような子を教育して
私こそふさわしい事を
わからせてやれるのにね。
映画のヒーロー教師をね。
その答えを見つけるために
何度も見直したものだよ。
それで気付いたんだ。
言葉は無力だ
とね。
やはり実田福村のように
懲らしめてやらなければとね。
あれが真の教育なんだよ。
山賊にしろ悪徳商人にしろね。
懲らしめてやってね。
「これはタマらん。
お許しを」
そうなるまでね
懲らしめてやる。
手も足も出ない事を
骨の髄までわからせてやるしかね。
てむかいしても無駄だという事を
骨の髄まで
分からせてやらなければ
ダメなんだよ。
そのために中学校の三年間はあるんだしね。
三年あれば
きっとそのことを分からせてあげられる。
私はね
常にそういうつもりでね。
この教師生活三十有余年を
送ってきたつもりなんだよ。
君たちのような子をケシかけてね。
ユスリたかりダマシ暴行傷害殺人
幇助教唆。
福村も商人金持ちどもを
そうやって懲らしめているだろう。
そうすればどんな強情な輩もね。
改心して家来にね。
それが教育なんだよ。
そしてそれは正しかったようだね。
もちろんそれだけではね
ウチの親父と同じになってしまう。
やはり人の心をつなぎとめておくためには
弱みを握るという
接着剤が必要なんだろうね。
人の心を持ったまま福村のもとに
家来たちをひきつけておくには
そんなものじゃあなく。。
弱みを握る等ということじゃあなく
福村のように
人と人との信頼関係で-----
とはならないものかね。
福村が
“私は必ずや天下を
その方が家来となってくれれば”
と言えばね。
世の中の者どもはね。
“福村様のために”
そう言ってね。
全てを投げ出してしてくれる。
弱味など握らなくてもね。
そうならないと危なくてね。
弱みを握っていてもね。
いつキレてね。
立場を分からずに
何をするかわからない者も
いるしね。
まあいいか。
イヤな世の中だ。
全く。
どうして福村の家来のように
一度懲らしめられて改心したなら
心の底から
私のためにしてくれないのかね。
君たちなら
そうしてくれるね。
そのために中学時代から
今までずっと
教育してあげたんだしね。
とにかく-----
これで-----
私は社長にね。
尽川君もこれに懲りてね。
きっとこれからはね。
自らの立場をわかってね。
私を支えてくれるだろう。
支えざるを得ないしね。
もし支えてくれなければ
例の汚職の件もあるし
支えざるを得ない。
それこそ本当の教育なんだ。
福村と家来のように
絶対に離れられないように。
離れたくても
離れられないようにね。
するのがね。
教育なんだよ。
そうすれば離れられないだろう。
支えるしかないわけだ。
どうだね。
見事な教育だろう。
君たちのおかげだよ。
そうでもなければ
誰が君たちを
かばうものかね。
そうだろう。
中学の時からね。
助けてあげただろう。
全てはこの時のためだったんだ。
感謝してるよ。
私もね。
つくづく思うんだよ。
私が教師になっていなければ-----とね。
自暴自棄になってね。
人生に希望を失ってね。
犯罪に走っていたかとね。
学校なら教育してあげれるが
尽川君のような子をね。
君たちのような子を指導してあげてね。
そういう希望があるから
犯罪に走らずにすむわけだ。
それをキタナイ大人の世の中でやればね。
あの金持ちさえ
社長さえ
してくれれば。
こうすれば
こうして懲らしめてやれば
説得すれば
必ずやわかってくれる。
そう思って信用していても
必ず裏切るわけだ。
その結果-----成敗。
当然だろう。
そんな奴。




