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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
67/77

55ー11

   


 「それは-----」二人とも-----

真っ赤になりながら。

 「だからそう取ってはダメだよ。

 まだわからないのかね。

 私は特別なんだよ。

 君たちは-----わかるね。

 “立場”をね。

 人をクズあつかい

盗人あつかいなんて

それは“人で無し”のする事だ。

 何度言えばわかるんだね。

 君たちに人の心を取り戻してもらうために

教育してあげたんだよ。

 福村の家来としての人の心をね。

 決してダマしたわけじゃない。

 どうしてそれに対して

感謝してくれないんだね。

 いつも言っているだろう。

 ゆすられようがイジメられようが

盗人されようが----- 

例え殺されようが

ダマされようがね。

 そう取ってはダメだってね。

 それが“教育”なんだよ。

 本当の教育なんだよ。

 学校とはそういうところなんだよ。

 人の気持ちなんだよ

これは。

 そうでもしないと

してくれないだろう。

 この私のために。

 それをわからないから

らしめられただけなんだよ。

 ダマしでもしないとしてくれないだろう。

 懲らしめられて当然なんだよ。

 ダマされて当然なんだよ。

 そんな子たちはね。

 わかってくれるね。

 君たちのような“心のキレイな”子なら。

 “人で無し”ではないよね

 君たちは。

 もし君たちがそのような事もわからない

“人で無し”ならば

私としても考えなければならなくなるしね。

 わかるね。

 DVDを。

 学校ではね。

 “人の顔をした”教育のもとではね

そう教えただろう。

 そのような子供はね

懲らしめられてね

当然なんだ。

 イジメられたくなければ

イジメ殺されたくなければ

そう取るしかないんだ。

 それが教育なんだ。

 そう取らせるのが教育なんだよ。

 立場の本当の意味を

わからない子たちにはね

そのようにするしかないだろう。

 本当に教育とは

脅しだよ

ダマしだよ

暴力だよ

殺人だよ

ゆすりたかりだよ。

 もって生まれた立場ということもわからない-----

人の心をわからない

愚かな子たちばかりだからね。

 そうでもしなければ

私のためにしてくれないからね。

 福村の家来のようにね。

 キレイな心の者がいないから

悪いんだよ。

 心の底から福村のために

してくれないからね。

 そうするしかないだろう。

 人の気持ちをわからせるには」

 校長はここで一息ついた。

 「君たちも考えた事はないかね。

 アイツが。

 あの金持ちが家来になって

してくれさえすれば-----と。

 そうなればどんなにいいか。

 アレもコレもしてもらえる。

 もうアゴでこき使われることもない。

 こちらが命令するだけで-----

そうなればどんなにいいか。

 そう考えた事はないかね。

 キレイな世の中になれば

そうしてもらえる。

 あんな奴ら

こうしてやれば

このように教育してやれば

きっと人の気持ちを分かってね。

 学校でそう教わらなかったかね。

 私はいつもそういうつもりで

教育に当たっていたんだがね。

 教育とは

本来

そうあるべきなんだよ」

 校長は当庭たちをいつもの温かい目でやさしく見つめた。

 ものわかりの悪い教え子を。

 何とかわからせようと言う慈愛に充ちた目で。

 「そうなればいいだろう。

 もうオモチャを買ってくれなくて

犯罪に走る事もない。

 こちらが命令するだけで

オモチャでも何でも。

 それどころか社長にでも何でも

人の気持ちをわかってくれてね

してもらえる。

 人が犯罪に走るのは

なぜだかわかるかね。

 人の気持ちを判らないからなんだよ。

 心傷学でもそれは証明されているだろう。

 オモチャを買って来れればいいのに

社長にでも何にでもしてくれればいいのに

してくれない。

 やればできるのに

してくれない。

 出来るのにゴマ化そうとする。

 世の中そんなキタナイ大人ばかりなんだよ。

 それで私もね。

 中学生の頃はよくゴマ化されてモノだよ。

 あの時ならわからせてやれたものをね。

 それでもわからない-----人の心を持たない輩は

徹底的にに懲らしめてやってね。

 そんな人でなし

生きていても仕方ないしね。

 死にたくなければ

人の気持ちを分かればいいんだしね。

 それをね。

 これ以上やれば警察に捕まる

だとか

なんとか言ってゴマ化されてきたんだよ。

 権力をかさに着てね。

 それで尽川君のような子をね。

 教育しきれなかったんだよ。

 大人のキタナイごまかしによってね。

 子供たちはそれが許せないんだ。

 そのせいでどんな思いをしてきたか。

 あの時もっと-----そう思ってね。

 それが心の傷になって

犯罪にでも走ればどうしてくれるんだ。

 そうだろう。

 幸いにも私はね。

 希望があったからね。

 そう言ってもね

なかなか世の中

わかってくれないしね。 

 しかし

 大人になって

よくよく世の中を見渡してみれば

あんな事をしても大丈夫なのか

こんな事をしても-----。

 先生たちがその気になりさえすれば

いくらでもゴマ化せるんだよ。

 世の中なんぞはね。

 いくらでも教育してやれるんだよ。

 イジメようが

金をゆすろうが

イジメ殺そうがね。

 家庭に問題があったから

子供たちの和の中に入れないから

成績の不振に悩んで。

 理由はいくらでも付けられる。

 またそれで通るのが

学校というところなんだよ。

 学校とはそういうところなんだよ。

 まあいわば

一種の治外法権だ。

 あの時それが分かっていれば

もっと徹底的にね。

 そうすれば今頃-----

私は社長にでも何にでも。

 それを子供だから

わからななったんだよ。

 そのせいで

一生教師のまま

人生を終わるのかと思うと

その悔しい気持ちがわかるかね。

 いや君たちならわかってくれるね。

 世の中何もわかっちゃいないんだよ。

 そんなゴマ化し

いつまで通用すると思っているのかね。

 子供だからゴマ化せばいい。

 その時だけ。

 そんなつもりでいるのだろうが。

 大人になりその事に。

 そんなキタナイ大人の

ゴマ化しに気づけばどうなるね。

 だまされた。

 あの時もっと教育してやっていれば。

 やればできるのに

アイツなら。

 子供たちのために。

 そうなればどんなにいいか。

 アレもコレもしてもらえたのに。

 一生後悔する事になるしね。

 親たちもそれで

あの時

もっと教育しておいてやれば

今頃は。

 そう言ってグチをこぼしているんだろう。

 私の親はそうだったよ。

 事あるごとに

そう言ってネグチをこぼしていたよ。

 私のクラスメートに

社長や金持ちの子供がいるとわかった時には。

 私よりできるクラスメートが

話題になった時にはね

特にね。

 それが心の傷になってね

人は犯罪に走るんだよ。

 犯罪にでも走らなければ

どうしようもないしね。

 人の気持ちなどわかってくれないしね。

 これはもうね

君たちのような無知蒙昧むちもうまいの輩には

触れる事も

仰ぎ見る事さえ恐れ多い

高尚な学問たる

“心傷学”

によって証明されている事なんだよ」

 校長は

“どうだ

恐れ入ったか”

と言うような表情で

当庭と虹口を見た。

 「しかしね。

 世の中オロカなんだよ。

 その事に気づかない。

 そればかりか

学校でなら人の気持ちを

わからせてやれたものを。

 大人になればもう

人の気持ちをわからせてやろうとして

-----教育なのにね-----

懲らしめてやれば

それこそ人を犯罪者あつかいする。

 凶悪犯という輩の中にはは

そのような考え方をする者も多い。

 その様な事を言う者までいる始末。

 心傷学で証明されているのにね。

 人の気持ちを分からない方が悪いのだ

とね。

 それで人は犯罪に走るんだろう。

 悪いのは犯罪に走った方じゃあないんだよ。

 走らせた方が

人の気持ちが分からなかった方が悪いんだよ。

 心傷学は

それを証明するためにあるんだしね。

 そのために心傷学者という者は

いるんだしね。

 映画の○○教師もそう言っているだろう。

 映画の○○教師も

その気持ちを分かって欲しくて

映画の中で

駆け回っているんだろう。

 そうじゃあないのかね。

 人の気持ちをわからない

“人で無しども”の方が悪いのにね。

 そのような事

許せるかね。

 そのせいでどのような思いを強いられてきたか

君たちならわかってくれるだろう。

 それでよく犯罪に走らずに済んだものだよ。

 もしこの私が犯罪にでも走っていれば

世の中

どう責任を取ってくれるんだろうね。

 世の中

犯罪に走った方が悪いんじゃあないんだよ。

 走らせた方が悪いんだよ。

 しかし

世の中キタナイ。

 マスコミにしろ

口先ではそう言っておきながら。

 世の中が悪いのに

犯罪に走れば

人を凶悪犯扱い

人生を台無しにされてしまう。

 世の中もそうだ。

 全くキタナイ世の中だ。

 まあ君たちが 

尽川君がいたから

まだ望みがある。

 そういう思いで 

犯罪に走らなかったわけだし

そういう意味では

君たちに感謝しなければね。

 尽川君にもね。

 私は何てやさしいんだろうね。

 君たちや尽川君のような子にまでね。

 この心使い。

 そう思ってくれるね」

 そういう校長の眼には涙が-----

自らの優しさに感動のあまり。

 「アイツさえしてくれれば

どんなにいいか。

 それをどうしてアンナ奴らだけが

社長なんだ

金持ちなんだ。

 君たちならわかってくれるだろう。

 先生信じている

 それが心の傷になってね

人は犯罪に走るんだよ。

 心傷学でもそれは証明されているんだよ。

 それをオロカな世の中にわからせるために

心傷学はあるんだしね。

 心傷学で証明できれば

世の中もわかってくれるしね。

 “人の気持ち”をわからない方が悪いんだとね。

 やればできるのにね。

 しかし世の中キタナイ。

 キタナイんだよ。

 何度も言う

キタナすぎるんだよ。

 大人になればもうね。

 わからそうにもね

もうどうする事もできない。

 教師になってね。

 子供たちを見るたびにね

思うことはね。

 あの時なら

あの金持ちの子供をね。

 今からこのように教育してやれば

きっと人の気持ちをわかってくれてね

きっと将来-----。

 そうなればどんなにいいか。

 アレもコレもしてもらえる。

 命令するだけで」

 校長は何かにとり付かれたかのように

天を仰ぎ見た。

 「そうなればもう犯罪に走る必要も無いしね。

 私はバカじゃない。

 ブタ箱なんてごめんだしね。

 社長や金持ちがね

自ら進んでしてくれるようになれば。

 金でも何でもね。

 社長、○○になりたいと言えば

二つ返事でしてくれる。

 そうなればもう犯罪に走る事もないしね。

 そうなってくれるように

するのが”教育”なんだよ。

 “強請ユスリ教育”とはそういうものなんだよ。

 それを世の中わからない。

 いや-----

わからないはずはない。

 私こそふさわしい事を

わかっていても

分からないフリをしている。

 ”わかってもらえればどんなにいいか”

そう思っている者も

あきらめている。

 “そんな事をすれば人生台無しになる”-----とね。

 全ては

世の中キタナイからだ。

 ”人で無し”の世の中だからなんだよ。

 そうだろう。

 福村を見てみたまえ。

 人の心を持った世の中ならば

懲らしめてやれば

教育してやれば

家来になって

命令するだけで

何でもしてくれる。

 福村こそふさわしい事を

世の中の愚か者どもにわからせてくれる。

 分かっているんだよ。

 福村がふさわしい事をね。

 世の中が福村様のために

して差し上げて当然なのに。

それをしない世の中が悪いとね

 マンガの中でも

懲らしめてやれば

そう言って反省しているだろう。

 そして素直な気持ちになってね。

 福村のために

なんでもしてくれるだろう。

 金でも何でも

命までなげうってね。

 そういう世の中になって欲しいだろう。

 そうなれば犯罪などなくなるしね。

 そんな世の中にしたくはないのかね。

 あの時ならできたんだよ。

 学校でならね。。

 それでね

教え子を見るたびにね。

 ゴマ化されるな。

 一生後悔する。

 今、尽川君のような子に

わかってもらえなければ。

 今、教育してやらなければ

大人になってからではもう遅い。

 口をすっぱくして言い続けてきたんだよ。

 君たちのような子にね。

 大人になって教育してあげようにもね。

 そんな事をすればね

それこそ

ブタ箱行きだしね。

 尽川君のような

人の気持ちをわからない子のせいで

人生台無しにされては

たまらないしね。

 君たちもそう思うだろう。

 そんな子は

殺されて当然なんだよ。

 ドツキまわされて当然なんだよ。

 ユスられて当然なんだよ。

 だまされて当然なんだよ。

 それをどうして。

 そんな奴ら

懲らしめてやっただけなのに

ブタ箱へなど。

 そんな事

許しておいていいわけないだろう。

 それでね

こうすれば

このように教育してあげれば

きっとわかってくれる。

 あきらめるな

一生後悔する。

 そう言ってね教育指導してあげただろう。

 教師になればね。

 もう自分自身では

直接教育してあげられないんだよ。

 尽川君のような子をね。

 だから君たちのような子を使ってね。

 暴力教師だとかなんとか言ってね

騒ぎ立てる輩までいる。

 まあ嫌がらせくらいなら

いくらでもできるがね。

 しかし-----

正直言って

全くもどかしい限りだよ。

 その苦労をキタナイ世の中はわかりもしない。

 子供たちを犯罪に走らせたくなければ

人の気持ちをわかってね

してくれればいいのにね。

 君たちならその気持ちをわかってくれるよね。

 先生信じているよ。

 そう信じてね

教育してあげたんだよ。

 例えば君たち

子供の頃にね

親にオモチャを買って欲しくても

買ってもらえない。

 せつなくてかなしくて-----

懲らしめてやろうにも

親にそんな事をすれば

親の権威をかさに着て

どういう目に会わされるか

 わがままあつかい

はては盗人あつかい

クズあつかいする。

 それが積りに積もればどうなるか

わからないんだ。

 親が悪いのに。

 しかし-----教育によって

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