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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
66/77

55ー10


 福村様のために

生命を投げ出して-----というわけだ。

 全くありがたい限りだったよ。

 事ある毎にね。

 それを持ち出せばいいんだしね。

 自分でやるのがイヤならば

尽川君のような子をね。

 懲らしめてやってね

万引きでも何でも

やらせてやればいいものをね。

 尽川君でダメなら

他にもパシリはいるだろう。

 そうすれば後はどうとでもなるしね。

 それで自殺した子もいるけどね。

 その時にはね。

 全くうまくやったと心の中でね

ホメてあげたものだよ。

 自殺した子にはね。

 かわいそうだったがね。

 何て私はやさしいんだ。

 君たちもそう思うだろう。

 あのような子はね

死んで

私の役に立つ以外にね

どうしようもない子だったのにね。

 それをこんなに気にしてあげている。

 この人のためならと

思ってくれるだろう。

 福村の家来のように。

 それで人は動くんだよ。

 君たちのような

 “立場の子はね。

 金や力や権力じゃない。

 仕事をもらいたいから

出世がしたいから

それで動くんじゃない。

 そんな事でしか動かないのは

“人で無し”だからだろう。

 そう教えなかったかね。

 人の心を持っていればね 。

 自らの置かれた立場というモノが

分かってさえいれば。

 それで動くんだよ。

 福村を見てね。

 こうすれば家来になって

してくれるのかとね。

 子供心に思ったものだよ。

 人の心を持った世の中になれば。

 そういう世の中にできれば。

 そうしてあげれば家来になって

してくれるのか。

 これだ-----と思ったんだよ。

 そういう世の中でもなければ

金も力もない。

 社長の子供でもない。

 出来ない者は他にどうやって

出世を。

 社長金持ちどもを

アゴでコキ使ってやれるんだね。

 そうだろう。

 ウチの親もそう言っていたよ。

 教えなかったかね。

 君たちには

とにかくそうすれば何とでもなる。

 甘い世の中なんぞはとね」

 「確かに」当庭。

 「甘いから-----。

 それで、そうしていたんじゃあ」虹口。

 「まさか。

 それ以外でどうして

君たちをかばう必要があるね。

 下手にかばえば

私が強請ゆすられかねないだろう。

 だから君たちのような子をかばうのはね。

 尽川君のような子が

いる時だけなんだよ。

 君たちも

先生をユスルより

尽川君を教育した方が得だろう。

 そのくらいはわかるようだしね。

 まあたいていは

毎年一人や二人はいるがね。

 尽川君のような子はね。

 それを君たちときた日にはね。

 私がいないと

どうなった事か。

 あそこで妙な事を言われてはね。

 君たちは世間知らずなんだ。

 本音を吐けばエライ事になるのをわからない。

 わかってもらえると思っている。

 世の中そんなに甘くはないんだよ。

 キタナイ大人ばかりなんだよ。

 それをわからない。

 世間知らずなんだよ。

 世の中に、。

 尽川君のような子に

わからせるには。

 立場というモノを

徹底的に叩き込むしかないんだよ。

 支えさせるには

教育しかないんだよ。

 強請り《ゆすり》教育しか。

 それをわからない。

 いくら教えてあげてもね。

 それでエライ目に会って萎縮してね。

 -----涙を-----飲んだことか。

 それを制してね。

 この子はこういうつもりでいるんだ。

 人の気持ちをわかって欲しくて。

 他にもいろいろ言ったね。

 そう言ってゴマ化すのに

苦労させられたよ。

 “教育”とはね。

 盗人をしようが

ユスリたかり

ペテン

暴行障害

何をしようが。

 人殺しをしようが-----。

 人の気持ちだ。

 何だといってね。

 ゴマ化すことなんだよ。

 そうでもしないとね。

 とても尽川君のような子をね

教育してあげられないだろう。

 パシリとしての。

 家来としてのか

自覚を持たせてあげられないだろう。

 それを

どうして世の中も

わかってくれないのかね。

 私にまかせておいてくれればね。

 あんな奴らうまく

ゴマ化せるのにね。

 すぐに本音が出る。

 そんなことをすればおしまいなんだよ。

 キタナイ世の中では。

 一生後悔する事になるのにね。

 “どうして先生の指導に従って

そう言っておかなかったんだ”

 -----とね。

 そう言っておけば。

 人の気持ちとね。

 また-----クラスメートをね。

 尽川君のような子をね

教育してあげれるのにね。

 そうして教育してあげてね。

 尽川君のような子にね

そう取らせれば勝ちなんだよ。

 人の気持ちだ。

 ユスリたかりじゃない-----とね。

 そうなれば後はね。

 金でも何でも

あれもこれもしてもらえるしね。

 そうなっただろう。

 パシリの立場を。

 福村様を支える家来の立場をわかってね。

 それこそまさしく

“人間教育”なんだよ。

 そうしておけば

今頃、先生は社長に。

 それもわからずに

わからなかったせいで-----

と後悔する事になる。

 君たちもそう思ってくれるよね。

 そうならないためには

どうすればいいか

わかってくれているよね。

 尽川君のような子をね

教育してあげればいい事だろう。

 私のためにね 。

 君たちならできる。

 そうだろう。

 もし尽川君のような子がね

 人の気持ち-----

パシリとしての立場を。 

 私は尽川君にそうなって欲しいんだよ-----

そういう人の気持ちをわからなければね。

 イジメ続けられるしね。

 いやイジメ殺されるかも。

 だからわからざるを得ないわけだ。

 全く“教育”とはすばらしい。

 だから本音など

吐いちゃダメだよ。

 一生後悔する。

 これからもね。

 人の気持ちだ。

 心の傷だ。

 教育だ

と言っておけば手も足もでないわけだよ。

 そんな事もわからずにね。

 それでこちらも必死になってね。

 そうじゃない。

 この子は

動揺して思わず-----と。

 そうでも言わないと

君たち-----言ってしまうだろう。

 本音を。

 全く困った子供たちだったよ。

 君たちは-----そのおかげで。

 この私のおかげで-----

今の君たちがあるという事を

忘れちゃだめだよ。

 私の教育指導に従っていればいいんだ。

 わかったね。

 君たちがいかに愚かかを

わからせてあげればね

わかってくれるんだるう。

 私こそがふさわしい事を。

 特別だとね。

 福村でもそうだろう。

 とても君たちのかなう相手ではないわけだ。

 私は。

 わかったね。

 私の家来としてね。

 私のためにするしかないわけだ。

 わかるね。

 まあ-----

私の教育指導が優れていたためかね。

 それで-----大人になって

君たちも少しは利口になり

私のマネをして甘いフリを。

 同じように

“人の心の教育”をだろう。

 全て私が教育してあげたんだよ。

 君たちは私の手の平の上で

泳いでいたにすぎないんだ。

 全てね。

 わかったかね。

 君たちとは違うんだよ。

 私は。

 私がやれば立派だが

君たちがやれば凶悪犯なんだよ。

 それにうまくいくはずもないしね。

 今度の事も-----

君たちだけでは危なっかしくて

見てられないしね。

 それでね

やんわりとね

教育指導してあげたんだよ。

 実にうまく君たち二人は

私の手の平の上で泳いでくれたがね。

 見ていて気持ちが良かったよ。

 今後も私のいう事を聞いていればいいんだ。

 その方がいいんだ。

 そうだろう。

 それがね。

 君たちのもって生まれた立場なんだよ。

 やはりそうだったんだよ。

 私の目に狂いはなかったわけだ。

 それは君たちにもわかるね。

 今が大事な時なんだよ。

 ここでもう一押しね。

 そのために君たちに

本心を明かしたんだしね。

 それにしても

学校とは実にいいところだよ。

 国家権力がね

強制的にね

金持ちや社長の子供たちをね

クラスというオリの中に入れてくれてね。

 こちらはね

思う存分“教育”をね

させてもらえるんだからね。

 人の気持ちをわかるまでね。

 わからなければイジメ殺されるんだから

わからざるを得ないだろう。

 ウチの親も良くそう言っていたよ。

 “今ならやれる。

 トコトンやってやれ。

 そうしないと一生後悔する”-----とね。

 あの時教育しておいてやれば今頃。

 それを-----とね。

 今ならやれるのに

やらないのは愚か者のする事だとね。

 しかし-----まさか

君たち。

 この私を君たちまで

盗人あつかい、

クズあつかいしているんじゃあ

ないだろうね。

 それじゃあ

キタナイ

“人で無し”の世の中と同じじゃないか。

 本音を吐けばね。

 ひとをクズあつかい。

 気○○あつかいする。

 私は特別なのに

それをわからない。

 いくら言ってもわからない。

 立場が分かってないんだよ。

 そういう連中はね。

 福村を見てみたまえ。

 他の者がやれば盗人殺人だが

福村がやれば相手の方が悪くなるんだろう。

 成敗されて当然に。

 それを教えるのが“教育”なんだよ。

 そう取らせるのが“教育”なんだよ。

 そう取るまで“教育”してあげればいいんだよ。

 そこまで教育してあげられれば

盗っ人にはならないんだよ。

 学校でならやれるんだよ。

 そう取るまで“教育”してあげられるのが

“学校”という所なんだよ。

 大人の世の中と言うのが

なぜキタナイか。

 その一因として挙げられる事は

それはそう取るまで

“教育”させてくれない。

 その点だろうね。

 その理由はわかっているんだがね。

 自分さえよければ

人などどうなろうが。

 金が惜しい。

 したくはない。

 どうして福村が。

 そういうネタミや欲、自分勝手。 

 そういう事だよ。

 それでゴマ化そうとする。

 そういうゴマ化し

いつまで通用すると思っているのかね。

 もう子供たちにはバレてしまっているのにね。

 今に大変な事になるよ。

 まあいい。

 殺されたくなければ福村の家来になって

してくれればいいんだよ。

 福村の命令通りにね。

 そうしない方が悪いんだ。 

 パシリにしてね

立場をわからせてあげたのもね。

 それをわからせてあげるためなんだよ。

 してくれれば感謝してあげる。

 温かい笑顔でね。

 もししてくれなければ

懲らしめられる。

 教育なんだ。

 椰田君や当庭君、虹口君のような子を

指導してあげてね。

 この私が-----

尽川君のような子を

教育させてあげたんだ。

 あれは教育の一環なんだよ。

 それを警察ときた日には

邪魔をする。

 理由もわからずにね。

 やはり司直が教育の場に介入するという事はね

教育に対する冒涜ぼうとく以外の

何ものでもない。

 そんな事は私が許さないがね。

 まあ今回のようにね。

 ああいう連中もね

使い方によっては役に立つがね。

 尽川君をね。

 懲らしめてくれているだろう。

 それでね

尽川君が私に泣きついてくればね

尽川君も私の指導にね

従わざるを得なくなるわけだよ。

 まあ何でも人は使いよう

という事だよ。 

 君たちとはここが違う。

 わかるね。

 君たちとは違うんだよ。

 ここも」校長は頭を指差し。

 「わかってくれるね。

 これも私の“教育指導”の賜物たまもの

と言ったところかね。

 とにかく

それさえ世の中の者どもに

わからせる事さえできれば

あの金持ちどもも社長も権力者も

みんな福村のためにしてくれるんだろう。

 そんな世の中になって欲しいだろう。

 キレイな心を持った者たちの世の中なら

 それをわかって

 私のためにしてくれるんじゃないのか。

 そう信じて-----教育に。

 そうなってくれる。

 教育をすれば

そう信じていたんだよ。

 心の底からね。

 しかし現実にはね。

 世の中キタナイ。

 いくら懲らしめられても

卒業すればそれまでなんだよ。

 いくら立場を分からせてあげてもね。

 これだけパシリにして

教育してあげたんだ。

 もう大丈夫だろう。

 そう思って生かして卒業させてあげたのにね。

 卒業した途端。

 陰で何を言っているか。

 私にわからないと思っているのかね。

 私の事まで。

 聞くに堪えないことをね。

 やはり弱みでも握ってね。

 一生それでね。

 強請り《ゆすり》教育しかなかった

という事なのかね。

 イヤな世の中だよ。

 みんな言っているだろう。

 犯罪に走るのは嫌だってね。

 しかし仕方がないのかね。

 ここまで世の中スサンでいるんだしね。

 私がこのような事をするのはね

人の気持ちを-----

人の気持ちとはもちろん

パシリの気持ちだよ-----

わかって欲しいからだよ。

 ゆすり教育などしたくはないんだよ。

 本当はね。

 危なくてね。

 私に危害でも及べば

どうしてくれるのかね。

 しかしね。

 やらざるを得ない。

 そうでもしないとわかってくれない

世の中のせいだよ。

 学校でそう教えただろう。

 私にこういう事をやめさせたければ

人の気持ちをわかってくれればいいのにね。

 そんなこともわからない。

 真に子供たちを立ち直らせたければ

犯罪に走らせたくなければ

人の気持ちをわかるしかないのにね。

 親のときもそうだった。

 世の中愚かだ。

 そんなこともわからない。

 それで人の気持ちをわからない方が

悪いのにね。

 それもわからずに一方的に

子供たちを犯罪者あつかいクズあつかい。

 犯罪者的性格だとか

何だとか言う者まで。

 キレて当然だろう。

 幸い私は教師になってね

希望があったから。

 尽川君のような子をね

君たちのような子を指導して

教育してあげれば

という“希望”がね。

 それで犯罪に走らずにすんだんだがね。

 そうすれば

人の気持ちさえわからせてあがれれば

犯罪をなくせるのにね

全く愚かだよ。

 世の中は。

 立場というモノが分かっていないんだよ。

 家来やパシリは一方的にね。

 福村様のために。

 そうだろう。

 福村のためにそれこそ命がけで、

全財産なげうってね。

 一方的に尽くす。

 見返りなど求める者はいないしね。

 それが君たちの立場というモノあろう。

 そうだろう。

 それを

この私をないがしろにする。

 そういう自分勝手な輩ばかりだしね。

 そういう世の中を

“人で無しの世の中”というんだろう。

 自分たちの置かれた

立場というモノが分かっていないんだよ。

 その立場を教えるのが教育なんだけれどね。

 福村を立派にする。

 それこそ命がけでね。

 全財産なげうってね。

 それに喜びを感じる。

 そういう立場の子たちの気持ちなんだよ。

 それを分からせるために教育はあるんだよ。

 君たちならわかるね。

 これじゃあ子供たち-----。

 福村だって荒れるだろう。

 荒れでもしないとわかってくれないしね。

 まあ荒れても無駄だがね。

 やはり-----強請り《ゆすり》教育でしか。

 君たちにしろ

そうなのかね。

 そうでもしないと

私の気持ちをわかってくれないしね。

 みんな。

 だから君たちが悪いんだよ。

 そうでもしないとね-----。

 わかってくれるね。

 君たちならば。

 信じているよ」

  



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