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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
64/77

55ー08

 そうならざるを得なくね。

 そうなるようにね。

 うまくね。

 全て私の指導のおかげだよ。

 感謝したまえ。

 尽川君もそうなってくれるしね。

 例の汚職の件さえね

何とかなればね。

 やはりそうなるのが

尽川君の持って生まれた

“立場”だったわけだ。

 先生

信用して良かったわけだ。

 きっとそうなってくれると

信じていてよかったわけだ。

 わかるだろう。

 生かして卒業させてあげた

甲斐があったというものだよ。

 君たちも似たようなものだろう。

 人生台無しになるところをね。

 私によって救われてわけだしね。

 福村の家来のようにね。

 そうだろう。

 君たちならわかってくれる。

 そう信じているよ。

 もし悪心でも起こして

支えてくれないとなれば-----

わかっているね。

 このDVDの事を。

 “人”というモノは

支えあうものなんだよ。

 君たち。

 それがわからない輩には-----。

 そんな“人で無し”どもにはね。

 君たちはそうじゃない

と信じているがね。

 こういうモノを使わざるを得なくなる。

 私はしたくはないんだよ。 

 そんな事はね。

 反発する子もいるしね。

 だから自らすすんでね。

私のためにね。

 しかしそうでもしないと

人の気持ちをわかってくれなければ

せざるを得ないしね。

 教師の信頼を裏切れば-----だよ。

 そういうことをさせないためには

教育しかないわけだしね。

 それには

強請り《ゆすり》と

暴力と

脅しと

ペテン、ダマシと

殺し

-----イヤ教師としてこんな言葉は-----

成敗か。

 それしかないわけだ。

 福村もそうやって教育して

家来にしているだろう。

 そうやって教育してあげれば

ああなるんだろう。

 まずね。

 パシリにしてね。

 教育してあげる。

 立場をわからせてあげる。

 だがそれだけじゃあ

ダメなんだよ。

 すぐにキタナイ世の中にまみれてしまう。

 卒業すればそれまで

となってしまうしね。

 だから

そうならないようにね。

 そういうモノが必要なんだよ。

 このDVDのようなね

 世の中そういうモノなんだよ。

 このDVDを手に入れたときには。

 わたしはね。

 大喜びしたんだよ。

 これで分かってもらえる。

 もう何も心配する必要もない。

 これからは君たちを思う存分

教育指導してあげてね。

 そうなれば私はどんなに立派に。

 そう思ってね。

 喜んだんだよ。

 福村でもそうだろう。

 なかなか言うことをきかない-----

君たちは別だよ。

 反発でもされれば。

 いや-----

者たちをね。

 言うことをきかせるにはね。

 やはりそういうことも必要なわけだしね。

 これでどうだ。

 手も足も出まい。

 とね。

 そういうものだよ。

 そうなれば

君たちもせざるをえないだろう。

 私のために

支えざるを得ないだろう。

 この私を。

 尽川君もね。

 きっとわかってくれるよ。

 だからね。

 君たちも

サルのように家来になって 

何でもしてくれるように

なってくれるんだろう。

 福村の将来のためにね。

 これはね

教師になって

つくづく思った事なんだよ。

 そうでもしないとね。

 人の気持ちなどね

わかってくれないんだよ。

 私は暴力はキライだしね。

 全く強請り《ゆすり》教育とは

よく言ったものだ。

 そうでもしないとね。

 人の気持ちを分からない

君たちが悪いんだしね。

 この私を立派にしてくれないしね。

 私を立派にしたくはないのかね。

 全く

なんてキタナイ世の中なんだろうね。

 しかし君たちなら大丈夫だ。

 わかってくれるだろう。

 信じているよ。

 私は。

 きっと私はね

君たちに支えられてね。

 社長になってみせる。

 信じてくれ。

 君たちのおかげだよ。

 感謝している」

 校長は二人をやさしく見つめた。

 福村にらしめられて

家来になった者たちを見つめるように。

 「君たちは中学の時からいい子だった。

 尽川君をなじってやれば

イジメてくれるし。

 金持ちの息子だとわからせてやればね

パシリにして尽川君や

尽川君の親から金でも何でもね。

 実にいい生徒だった。

 そうやってね。

 君たちを教育指導してね。

 尽川君にね。

 パシリとしてのね

“立場”を骨の髄まで教育してあげればね

きっと私の気持ちをわかるようになる。

 そう信じていたんだよ。

 そのようにして

福村の家来としての自覚を持たせてあげる。

 福村様さえ良ければ。

 それに喜びを感じさせてあげる。

 教育とは

そこまでしなければ

意味がないんだよ。

 心傷学でもそうなっているんだろう。

 そのために三年間があるんだよ。

 俗にマトモと言われる生徒なら

こうはいかない。

 “先生、それ盗人じゃあ”

とすぐに反発してね。

 教師の教育指導になど従おうとしない。

 どうしてそう取るんだ。

 そういう風に取られれば

“教育”にならないだろう。

 どうやって尽川君に

彼が生まれてきた

“真の意味”を

“真の目的”を

“立場”を

わからせてあげられるんだ。

 そうだろう。

 それでね。

 そうじゃない。

 人の気持ちだ。

 心の傷だ。

 人が困っても。

 何でもいいんだが

そう取らなくできればね。

 教育なんだ-----

と教えてあげても

そう取らない。

 全く困ったものだ。

 いったいどういう教育を

受けて来たんだ。

 心傷学にたてつくつもりかね。

 偉い先生方が考えた

心傷学に楯突たてついて

勝てると思っているのかね。

 全く。

 どこまで愚かなんだろうね。

 それこそ

みんなに吊るし上げられてね。

 大変なことになるのが

関の山だろう。

 みんなそうなっているしね。

 そういう子はね。

 学校では

イジメ殺されても当然なのにね。

 尽川君のような子と

同じようにイジメられたいのかね。

 教師が一声かければ

どういう目に会わされるか

わからないのかね。

 そういう子をね。

 金持ちや権力者にびてね。

 自分さえ良ければいい

そういうクズというんだよ。

 福村でもそうなっているだろう。

 学校で

そう教わらなかったかね。

 それに金持ちなどカバっても

損だしね。

 そういう金にキタナイ子はね。

 尽川君のような子にね

媚びて自分さえ出世すれば-----

自分さえ良ければ

そういう子なんだよ。

 私などどうなってもいい。

 一生、先生のままでいい。

 このまま朽ち果てれば良い。

 そういう子なんだよ。

 そういう金にキタナイ、

権力に固執するような子はね。

 尽川君のような子についても

損だ。

 私に。

 教師の指導に従った方が得だ。

 それを教えてあげればね。

 一緒に懲らしめてくれるように

なるんだがね。

 福村ふくむらもそうしているしね。

 福村に着いて行けば

金持ちを懲らしめてね

金でも何でも

山分けだしね。

 その方が得だろう。

 金持ちにこびを売っているよりも

いいだろう。

 中には捕まってブタ箱に、

仕事が貰えなくなれば

などと言う者もいるが

 だいじょうぶだっただろう。

 学校ではね。

 教育なんだからね。

 学校とはそういうところなんだよ。

 それを教えてあげればいいわけだしね。

 それも教育なんだよ。

 それを盗っ人と取る

愚か者はいないしね。

 もしいれば

そんな者は

成敗されて当然だしね。

 しかし中にはそれでもね。

 全く-----。

 私の言う事に

耳を貸さない者も-----。

 良民は良兵にならずだよ。

 それに比べて君たちはね

おもしろいほど私の教育指導にね

従ってくれるいい子だった。

 しかしね。

 君たちだけでやればね 

それは犯罪なんだよ。

 それはいくら君たちが

わかってもらいたくとも

犯罪にしかならないんだよ。

 福村でもそうだろう。 

 荒くれどもが勝手にやれば

犯罪にしかならないだろう。

 村人にも白い目で見られてね。

 役人に追い回されてね。

 それで人生おしまいになる。

 そうだろう。

 しかし福村に教育されてね。

 福村の家来になり、

福村のために

金持ちどもを懲らしめてやれば

どうなるね。

 それは犯罪ではないだろう。

 立派なことなんだよ。

 その意味が分かるね。

 それが

持って生まれた

“立場”

というモノなんだよ。

 君たちと私の立場の差

というモノなんだよ。

 私のために

私の指導に従ってやれば

それは立派な事なんだよ。

 警察も世の中も手も足も出ない。

 君たちが中学の時はそうだっただろう。

 どうとでもなっただろう。

 私の指導に従っている限りは

大丈夫だっただろう。

 教育と認めていただろう。

 福村でもそうだろう。

 しかし良民ではね

教育には従わないんだよ。

 君たちのような子でなくてはね。

 だから強請り《ゆすり》教育でね。

 君たちのような考えの子をね

造ってきたんだよ。

 どうやって教育してあげれば

君たちのような考えの子を

育てられるか。

 それを考えて

教育してきたわけだよ。

 全く

映画の○○教師様様だよ。

 あれのおかげでね。

 思う存分

教育できるようになったんだからね。

 それまではね

人でなしのような輩がね。

 教師としては

認められないような輩がね。

 幅を聞かしてね。

 ことあるごとにね。

 教育の邪魔をしてきたんだがね。

 あの○○教師以降はね。

 そんな教師のクズは

ナリを潜めたしね。

 まあいい。

 その成果がね。

 やっと現れてきたわけだ。

 それを犯罪者的性格と言う者もいるがね。

 しかしそれはあくまで君たちだけで

君たちのために

身勝手にやった場合の事だしね。

 そうなれば犯罪になるわけだ。

 “教育”とは

認めてもらえないわけだ。

 世の中にも

警察にもね。

 しかし私のために

私の指導に従ってやればね

それは“立派な人間”となるわけだ。

 映画の○○教師の中の

子供たちや

大人たちのようにね。

 世の中にも警察にも

教育だと認めてもらえるわけだ。

 今までもそうだっただろう。

 何度も言うが

荒れる子が“立ち直る”とは

そういう事だろう。

 福村を立派にするためにね。

 金持ちどもを懲らしめてくれる事が

“立ち直る”という事だろう。

 TVの実田福村さねだふくむらを見れば

そこの所はよくわかるだろう。

 教師になればね。

 残念な事にね。

 直接教育するわけにはいかないんだよ。

 懲らしめてあげるわけにはね。

 すぐに体罰だなどと

マスゴミが書き立てるしね。

 まあマスコミの中にも協力的な者もいるがね。

 福村の良き理解者というところかね。

 そこで君たちのような立場の子が

必要になってくる。

 わかるね。

 私の教育指導に従ってね。

 尽川君のような子をだ。

 教育してくれる子がだよ。

 私を支えてね。

 それも一方的にね。

 何の報いも無しにだ。

 ただ福村さえよければ。

 福村様のためだけに。

 一方的にね

支えている。

 そうなって欲しいんだよ。

 私はね。

 そうなればどんなにいいか。

 それがね

“人の気持ち”なんだよ。

 その人の気持ちをわからせるには

君たちのような子を指導して

尽川君のような子を

懲らしめさせるしかなかったわけだ。

 全くモドカシイ限りだったよ。

 私が直接

懲らしめてあげられればね

もっと早く-----。

 それで-----

教師生活を三十有余年もね。

 このまま朽ち果てるのかとね。

 あの子ならば必ずやってくれる。

 この子ならとね。

 しかし-----

どの子もね。

 少し困難に

壁に突き当たるともを

ブルッてね。

 教師の教育指導に従わなくなる。

 やればできるのにね。

 私のためにね。

 懲らしめてくれればいいんだよ。

 それをね。

警察に少しやっかいになったと言っては

ブルってね。

 いいじゃないか。

 それで捕まってもね。

 少年院くらい

入ってもね。

 死刑になるくらいなんだ。

 仕事をもらえなくなるくらい

なんだと言うんだね。

 福村の家来を見てみたまえ。

 殺されようが、つかまろうが、

どうなろうが

福村の将来を信じて

途中で腰砕けになることなど

ないだろう。

 君たちにもそうなって欲しいわけだ。

 それが先生の気持ちなんだよ。

 全ては私を立派にするためだしね。

 それをね。

 そこで腰砕けになってしまう。

 全く-----

あそこでもう一押し。

 尽川君のような子をね

懲らしめてさえくれれば-----。

 ブタ箱に入ろうが

死のうが

私にためにね。

 笑っているんだよ。

 尽川君のような子はね。

 これで懲りてもういじめ等やめるに違いない。

 そう言ってね。

 それじゃあ私の気持ちはどうなるね。

 私は立派になれないだろう。

 それもわからずにね。

 それで私は口を酸っぱくして。

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