55ー05
そのために尽川君のような子をね。
パシリにして
立場をね。
あれは教育なんだよ。
本当の意味でのね
真の教育なんだ。
あれこそが-----。
福村でもそうだろう。
そうやって
君たちのような子を指導してね。
尽川君のような子を
こらしめさせてあげる。
そういう者こそ
真にふさわしいんだよ。
偉いんだよ。
“実田福村”でも
困った村人がいれば
金持ちや山賊を懲らしめ
指導して
何とかさせてあげる。
荒くれどもがいれば
金持ちや力のある者を懲らしめ
指導してね
何とかさせてあげる。
荒くれどもを立ち直らせてあげる。
そうすれば
いくら愚かな世の中でも
わかってくれるわけだよ。
この方、何かある
-----とね。
この方があの者どもを
指導してくだされば。
金持ち社長どもを
指導してくだされば
世の中
どんなに良くなるか。
いや-----このお方こそ
社長金持ちにふさわしい。
それに気づいてくれるんじゃあないのかね。
福村でもそうだろう。
そういう人間こそが
偉いんだ。
天下を取るべきだとなっているだろう。
金持ちや社長が偉いんじゃないんだ。
出来るからといって偉いんじゃないんだ。
それじゃあ
出来ない者や
社長や金持ちでない者は
どうなる。
一生そんな奴らに顎で
こき使われることになる。
そんな事許せるか。
そんなもの偉くも
なんともないんだよ。
真に偉いのは
やはりね。
福村のようにね。
街の荒くれ共を立ち直らせてね。
金持ちや商人を懲らしめさせる。
困った村人をね
けしかけて
強欲な商人の屋敷に
徒党を組んで押し寄せさせる。
そして思い知らせてやる。
それが偉いんだよ。。
それを教育の場でやっているんだよ。
それが教育なんだよ。
それができる私こそが偉いんだよ。
私はアレを見てね。
こうすれば
いかに愚かな世の中でも
わかってくれるのか。
そう思ったものだよ。
君たちもわかってくれただろう。
私こそふさわしい事をね。
信じているよ。
だから
ダマされたなんて取っちゃダメだよ。
それこそが教育なんだよ。
人の気持ちなんだよ。
わかってほしいんだよ。
そう取らせるのが教育なんだよ。
そう取らないと
どういう目に遭わされるか。
それを教えるのが
教育なんだよ。
そうでもしないと
このキ・タ・ナ・イ・世・の・中・
人の気持ちなど
わかってくれないしね。
君たちにも常々言っているだろう。
人には“立場”というものがある。
それさえ分からせることができれば
いいぞ。
命令するだけで
あれもこれもしてもらえる。
逆らう者は
強制収容所送りだ。
そんな者は
学校では
社会に順応できない者
となっているんだしな。
それを教えるのも教育なんだよ。
クラスメートみんなに
無視されて当然なんだ。
イジメられても当然なんだ。
イジメられてくなければ
先生の指導に従えばいいんだ。
そうすれば
受け入れてもらえる。
イジメられずに済む。
そうやって教育してあげる。
それが学校の役割なんだよ。
学校の使命なんだよ。
勉強なんてどうでも-----。
そうだろう。
人の心なんだ。
大事なのは。
物理や数学や英語など。
そうでもしないとしてくれないだろう。
あんな子達は。
金持ちや社長
力のある者たちは
私のために
私の将来のために。
この私を立ち直らせたくはないのかね。
この私をこのまま終わらせて
いいわけないだろう。
そんな世の中。
間違っている。
そうだろう。
そんな世の中。
だからね。
世の中が子供たちを
見捨てたんじゃないんだよ。
子供たちの方が世の中を
見捨てたんだよ。
それをいくら言っても世の中の○○どもは
わからない。
わかろうともしない。
あの子達が。
あの子達の親が
してくれさえすれば
どんなにいいか。
命令するだけで
お金でもなんでも。
いや決してお金が欲しいわけではないんだよ。
お金じゃあないんだよ。
お金だ・け・じ・ゃ・あ・ないんだよ。
私にはもっと大きな夢がある。
社長に。
いやさらには。
その夢を叶えるには
ほかにどうやって。
それをいくら言ってもわからない。
世の中
愚かなんだよ。
いや
分かっていても
わからないふり。
そのせいで今まで
どんなに悔しい思いを。
クラスメートがね。
私のだよ。
あいつが社長になった。
コイツは部長だ。
金持ちだ。
そういう情報はね
耳に入ってくるものなんだよ。
それを聞くたびにね。
あのパシリだった者が。
あの時もっと教育しておけば
今頃
私はどんなに立派に。
心の底から私のためにね。
私さえ良ければ。
そうなってくれてね。
そういういい人間
心のキレイな子になってくれる
そう信じてね。
生きたまま
卒業させてあげたのに。
これでこの子は大丈夫だ。
そう信じていたのに。
人の信頼を裏切る。
人の信頼を裏切るとは
そういうことじゃあないのかね。
信じていたのに。
こいつならば。
と。
それが心の傷になって。
そういう子ばかりだった。
そんな子をどうして
世の中も
天も
生かしておくんだ。
バツを与えないんだ。
そう思った時期もあった。
これじゃあ犯罪に
走らない方がおかしいだろう。
しかし私はなんとか踏みとどまったんだ。
学校があったから。
今にこの子達が
そう信じてね。
踏みとどまれたんだよ。
この子達が。
君たちもだよ。
いなければ
今頃
私はどうなっていたことか。
それで毎年毎年
この子に分かってもらえれば
あの子なら
そう考えてね。
教育をしてあげたんだが。
ゆすり教育ではね
それしか考えてはいけないんだよ。
そうしないとね。
教育がなおざりになるしね。
それじゃあ教育の成果も
望めないだろう。
それが。
その教育の成果がやっと
報われようとしているんだよ。
“立場”とは何か。
人にはそれぞれに
生まれてきた役割というモノがあるんだよ。
目的がね。
福村ではそうなっているだろう。
福村は天下を取る。
そうしてね。
素晴らしい世の中をつくる。
私がそうなんだよ。
それが私の“立場”なんだよ。
そして君たちだ。
君たちの“立場”とはわかるね。
福村を見てごらん。
福村を支えてね。
福村のために
それこそ命がけで
全財産なげうってね。
福村を立派にする。
それが君たちの“立場”なんだよ。
それが君たちの存在理由なんだよ。
それがわかれば。
それを教えてあげれば
福村の荒くれどもも気づくわけだ。
私はそのためにこの世に生をと。
それで立ち直ってね。
それが立・ち・直・る・ということなんだよ。
わかるね。
福村の荒くれどもは
自分が何をすべきか。
それがわからずに荒れているんだしね。
それを分からせるとは
そういうことなんだろう。
君たちと同じじゃあないのかね。
君たちならばきっとわかってくれている。
先生。
信じているからね。
それが人を信じるということなんだよ。
福村でもそうだろう。
この者が
-----金持ち、力のある者が、あいつが-----
家来になって。
福村を。
福村に天下を。
福村は信じているわけだ。
その信頼に答えてね。
金持ちが、力あるものが、あいつが。
山賊や荒くれどもまでもが。
福村を支えてね。
福村のために金持ちどもを懲らしめてね」
校長は意味ありげに当庭たちを。
「支えざるを得ないわけだ。
それを“立場”というんだよ。
それこそ“教育”の目指す
究極の目的なんだよ。
その事を教える事こそがね。
物理だ数学だ英語だなどと
うでもいいんだよ。
そんなもの。
そんなもの下手に覚えると
この子はもう大丈夫だと言って
大人たちは、先生は支えてくれないしね。
やればできるのにね。
私のために。
すぐにサボろうとする。
それどころか
金持ちや社長にコビを売ってね。
自分が出世しようなどと
そういう輩も出て来る。
自分は勉強ができるから
福村様などどうでもいい。
そういう自分勝手なことを考えてね。
自分さえ良ければいい
他の者は、私は、福村はどうなってもいい。
そう思ってね。
人間弱いものだからね。
いや-----愚かだから。
それどころか金持ちや社長の
走狗となってね。
福村をつぶそうとするものまで。
私を犯罪者扱いするものまで。
全く。
恥ずかしくはないのかね。
どうしてすぐにそういうキタナイものに
染まってしまうのかね。
そういう人間を
そうなった人間を
“キタナイ人間”というんだよ。
教育では。
それを教える事こそがね
教育なんだよ。
人として信頼し合い。
福村ならば信頼に答えてくれるだろう。
荒くれ者や金持ち、力のある者が
それこそ命がけで、
全財産をなげうってね。
福村のために尽くす。
福村はそれに答えてね。
“お前たちのおかげで
天下を”
そうなればみんな口々に言うわけだ。
荒くれどもも金持ちも、力ある者もね。
“福村様を信頼してよかった。
福村様ならば必ずや天下を”
そう言って泣いて喜んでくれる。
それが人と人との
信頼というモノじゃないのかね。
この者さえ家来になってしてくれれば
どんなにいいか。
そう福村が言うわけだ。
忠臣が福村に助言する時もあるだろう。
“あの者が家来になれば必ずや
福村様は天下を”
福村が困窮してね。
どこかの山にでも隠棲している時などは
“あの金持ちさえ。
福村様の困窮を知りながら。
けしからん。
このように懲らしめてやれば。
そのように教え諭してやれば
必ずや福村様の家来となって”
そうなるんだろう。
それが人と人との信頼というモノなんだよ。
そのように教え諭してあげればね。
懲らしめてあげればね。
必ずやそれに答えてね。
福村のためにね。
それこそ命がけで全財産なげうってね。
それが人と人との信頼関係なんだ。
立場なんだ。
それを分からせるために
教育はあるんじゃあないのかね。
数学や物理や英語がなんだ。
真の心の教育とは
そういうモノなんだよ。
それを教えてあげる。
そして-----そうさせてあげる。
それを“教育指導”と言うんだよ。
学校ではね。
“人の心を持った”学校ではね。
教育。
その言葉を口にするたびにね。
私はそう思っていたんだよ
思いを新たにしてね
教育に邁進してきたんだよ
福村様を支えてね
家来たちが活躍する姿。
なんとすばらしい姿なんだ。
君たちもそう思わないかい。
そうなりたいだろう。
そうなって支えたくはないかい。
この私を
そう思わない者を
“教育の世界”では
“人で無し”と言うんだよ。
コレはいつも言っていたね。
君たちはどう取っていたか
知らないがね。
そのように
心の底から思えるように教育するのも-----
教育なんだよ。
わかってくれるね。
君たちならば。
実田福村を見てみたまえ。
キレイな心の者たちならば
懲らしめられて-----
懲らしめてあげれば
支えてくれるんだろう。
心の底からね。
決して
盗人だ
強請たかりだとは
取らないだろう。
そんな奴は
人間のクズ。
そういう者こそ
人間のクズ-----となっているだろう。
“心ある学校”ではね。
それを
キタナイ世の中では
自分たちこそが
そういうクズのクセに
それをゴマかそうとして
人をクズあつかいする。
私の為にするのがイヤだ。
私をどうして立派になど。
そう言ってね。
わがままなんだよ。
そういう輩を
人の出世をねたむク・ズ・と言うんだよ。
それで-----そう言ってゴマ化そうとするんだ。
いつも言っているだろう。
子供たちはそういう
大人のゴマ化しを許せないんだよ。
あの者さえ福村のためにしてくれれば
天下をとれるのに。
今の苦境から脱出できるのに。
福村に対する妬みや何やらで。
面倒だから。
金がおしいから
-----そういう者を
金にキタナイ奴というんだよ-----
助けない。




