55ー04
しかし
親以外は-----
私を認めない。
私のことを分かろうともしない。
そのせいで
どんな思いを強いられてことか。
どうしてなんだ。
そう思い悩んだ時もあった。
そういう思いで教師生活を-----。
それが
映画の○○教師を見てね。
思い当たることが
山ほどあったんだよ。
こうすれば。
そうだったのか。
まったく
目からウロコ
だよ」
校長は物思いにふけるように。
「まあいい。
とにかく
卒業アルバムを見るたびにね。
この子は今どうしているのだろうか。
あの子なら
今に
とね。
しかし
現実にはね。
いくら待ってもね。
中には尽川君のようにね。
その子供がね。
また教え子としてね。
帰って来てくれる時もあった。
私は喜んだものだモノだよ。
コレで私は-----
天の助けだ。
親子二代にわたって
教育してあげれば
きっと-----。
この子を使って
親を指導して
この子の親を私の家来にせよと言う
天の-----。
この者が家来になってしてくれれば
どんなにいいか。
命令するだけで
あれもこれもしてくれる
とね。
そうなって欲しいんだよ。
私は。
君たちもそうなって欲しいだろう。
金持ちや社長や力のあるものたちに。
子供心にそう思ったことはないかね。
私はね。
子供の頃からね。
今にきっとそうなる。
今に金持ちや社長、力のある者が
現れてね。
私の気持ちをわかってくれると
信じて
今まで生きてきたんだよ。
私の親も言っていたよ。
ウチの子は今にきっと。
あの金持ちさえ、社長さえ
ウチの子の為にしてさえくれれば。
今にきっとそうなる。
あきらめるな
思いしらせてやれ。
そうすれば必ず
とね。
しかしね。
現実にはね。
親にしてもね。
アレほど教育してあげたのにね。
懲らしめてもあげた。
いかに愚かな存在かもわからせてあげた。
私の指導に従わなければ
荒れる子はどうなるか。
困った者たちはどうなるか。
世の中は
どうなるか。
それも教えてあげたのに。
“これからは
先生の指導に従います”
とアレほど硬く約束してくれたのにね。
あの時の
優しい気持ちはどこへ行ったんだ。
成長しその子がね。
大人になった、親になったその姿をね。
その子の子供時代とダブらせてね。
中学時代はこの子も
もっと素直ないい子だったのに。
キタナイ世の中の
垢にまみれて
キレイな心を失ってしまったのか。
あの時あんなに約束したのに。
それで生かして
卒業させてあげたのに。
あの時なら
イジメ殺せたのにね。
成敗できたのにね。
福村ならばどうするね。
懲らしめられても
言う事を聞かない
山賊の類を。
そうだろう。
その恩も忘れ。
あの時
アレだけ目をかけて
教育したあげたのにね。
私の家来としてね。
引き回してあげたのにね。
この子が私の家来になれば
どんなにいいか。
私はどんなに立派になれるか。
わからせてあげようとね。
ご主人様のいう事を聞かなければ
どういう目に合わされるかをね。
散々教育してあげたつもりなんだがね。
それを教育指導と言うんだろう。
学校ではね。
その恩も忘れてね。
先生の気持ちをわかろうとしない。
それでね。
自分の子がいじめられた
パシリにされた
などと-----。
全て私がね。
荒れる子をね。
クラスメートをね。
教育指導してね。
私の気持ちをわかって欲しくてね
教育してあげているのに
それをわかろうともしない。
そればかりか
私を盗っ人あつかいする始末。
自分の子供が
何故いじめられているのか
-----いや教育されているのかを-----
全くわかろうともしない。
自分の子がいじめられてもいいのか。
イジメ殺されてもいいのか。
教師の指導に従わないからだ。
先生お気持ちをわかって。
そう言われてもわからない。
そこまで言われても理解できない。
全ては私の気持ちをわからない。
親のせいなのに。
先生が甘いから
とか何とか。
ひどいのになると
この私を盗っ人あつかいする。
そのときの私の気持ちを
君たち
わかるかね。
それが心の傷になって
人は犯罪に走るんじゃないのかね。
自暴自棄になってね。
心傷学によって
コレは証明されていることなんだよ。
それをわからない。
そういう世の中を
“人で無し”の世の中と
言うんじゃないのかね。
学校で何を習ってきたんだ。
そう教えなかったかね
私は-----。
そういう輩を教育してあげてね。
世の中そういうものじゃあない。
金や欲のためだけに動くのは
そんな奴
人間といえるか。
仕事もいらない。
金もいらない。
生命もいらない。
ただただ私のためにね。
私を立派にするためだけにね。
そうなって欲しいんだよ。
私のその気持ちがわかるかね。
君たちはそのために
生まれてきたんだよ。
福村をよく見てみたまえ。
映画の○○教師もそうだ。
人の心を持った世の中では
必ずそうなっているだろう。
この者は
あの者は
村人は
荒くれどもは
金持ちは
他にもいるだろう。
みんな
福村の天下取りのために
何かしらの役割をになっている。
君たちもそうなんだよ。
その事をわかって欲しくて
君たちを教育してあげていたわけだ。
そのために“教育”はあるんだよ。
そういう人間を造るためにね。
自分さえ良ければそれで良いのか。
人の気持ちをわかった
人の心を持った
人の顔をした
本当の意味での人間になる。
福村でもそうだろう。
本当の意味での
人間にさえなってくれれば
どんなにいいか。
村人も
金持ちも
力のある者も。
そして君たちのような
荒くれ者どももね。
私を立派にするためにね。
それをわからせるのが
教育というモノじゃあないのかね。
教育とは全くありがたいものだよ。
尽川君より
私の方がふさわしい事を
わかるまでね
教育してあげるつもりだ。
何、
。尽川君ならばきっとわかってくれる。
私はそう信じている。
きっと“私の家来”になってね。
そう信じている。
それが“教師の信頼”というモノだよ。
このようにして懲らしめてあげれば-----
君たちを教育指導してあげてね。
きっと尽川君ならわかってくれる。
この子なら-----とね。
そのかいがあったわけだよ。
教師の信頼を裏切ればどうなるかは-----
彼も中学時代、
骨の髄まで教え込まれているだろうしね。
大丈夫だよ。
君たちが教育してくれたおかげだよ。
私の教育指導に従ってね。
君たちは気付かなかっただろうがね。
君たちのような子は
“君たちこそふさわしい。”
とでも言わなければなかなか私の-----
教師の教育指導に従って
尽川君のような子を
教育してくれないしね。
いろいろ苦労もあるんだよ。
そのような苦労もわからずに
いろいろと言う
愚か者もいるがね。
福村を見てみたまえ。
福村のそのような苦労もわからずに
そのような事を言う者は
愚か者か
キタナイ心の持ち主と決まっている。
そのような者たちこそ-----
者たちも-----かね-----
教育してあげればいいんだが-----
そこまで手がまわらなくてね。
それでオタメごかしに
世の中のため
心の傷だ
人の気持ちだと言ってね。
うまく教育指導してあげているんだ。
そうい言っておけばね。
映画の熱血教師のこともあってね。
納得してくれるんだろう。
全く-----ありがたい世の中だよ。
まあ中には
そのくらいわかっているクラスメートも
その親もいるがね。
それでイジメ殺してもね。
口をつぐんでいてくれているようだしね。
まあ全員ではないがね。
一部にはね
甘いフリをしてね。
そうしていればね。
そう言えば
私が中学生の時にもね。
そんなクラスメートもね。
親もいたよ。
“あんなモノ○○に決まっている。
ざまあみろ。
何が金持ちだ。
社長だ。
出来るからだ。
イジメられも手も足も出ないくせに。
あんな奴ら
ざまあみろだ。
立場をわからせてやれ。
何様だと思っていやがる。
助けて何になる。
助けて欲しければ-----。
助ける事はないぞ。
いい薬だ。
コレに懲りたら
アレもコレもしろ。
立場をわかって。
ざまあみろ”
とね。
陰でみんなそう言っていたしね。
中にはね
“今から懲らしめて
教育してやれば
家来になって。
そうなればどんなにいいか。
何をさせてやろうか”。
笑いながらそう言っていた
クラスメートもいたよ。
いじめられるのを見ながらね。
その子たちの親も言っていたしね。
“思いしらせてやれ。
今から教育してやれば
どちらが上か
今から叩き込んでやれ。
そうしないきっとと後悔する。
あの時
あいつをもっと懲らしめて
教育しておいてやれば
今頃-----。
どうしてあんな奴らだけが。
社長のガキだから
金持ちのガキだから
といって。
そんな事許せるか。
思い知れせてやれ。
今ならやれる。
いじめられれても
手も足も出ないくせに。
イジメ殺されれば
おしまいのクセに。
学校とは
そういうありがたいところだ”
とね。
全くそのとおりだよ。
君たちもそう思うだろう。
そう思っているんだろう。
君たちの親も
そう言っていただろう。
私の耳には
その事も入っているんだよ。
そしてね。
君たちの時にも
そういう子はいただろう。
尽川君のお子さんの時も。
たくさんいたね。
陰であの子達が
何を言っていたか
私の耳に入らないと思っているのかね。
君たちにしてもそうだろう。
入っていただろう。
虹口君、当庭君。
君たちの同僚にも
そのあたりの事を
よくわかっている者はいるようだしね。
私が見ればそのあたりの事は
だいたいわかるんだよ。
まあ、違っている時も
あるにはあるがね。
それを見極めるのも教育だよ。
今後のためにね。
教育指導の材料になるしね。
とにかく
“ふさわしい者”こそ
そうなるべきなんだろう。
学校でそう教わらなかったかね。
君たちにそれを教えるのも
教育なんだよ。




