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双風レムは-----
マンションの玄関へ。
チャイムを鳴らした。
カメラ越しに
声が。
「双風さん。
どうしてここが」
ここは都内某マンション。
すでに紋味課長は引き上げたらしい。
「皆山君。
入れてくれる」
むこうで-----
誰かと話す声が。
文科省の暁川という男だろう。
「いいよ。
入って」
レムは中へ。
エレベーターで。
部屋の前に立った。
ドアが開き
中から皆山が。
レムは中へ入った。
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「双風さん。どうしてここが。
いや-----どうしてここに」
私は開口一番。
「私たちを甘く見ないでよ」
「やっぱり手を引く気は
ないのか」私は。
「いえ-----
他のみんなは手を引くそうよ。
課長の命令じゃあね。
これは-----
私個人の-----。
そういう事よ」
私はニヤリと。
「仕方ないか。
手を引いた方が
いいと思うけどね。
まあ中へ入って」
「手を引いた方がいいって
やっぱり虹口さんのように」
私はレムをジロジロと。
「双風さんは-----
大丈夫-----だと思うけどね。
-----もう」
「どうして」
「いや-----それは。
危ないのは
むしろ我々の方だしね。
いや-----」
私は-----
言い過ぎた。
「どういう事
それ。
それに“もう”って。
まさか-----
当庭先生まで」レムは怒りに。
「それは-----
我々は殺人なんてしないよ」
「じゃあ。
どういうことなのよ」
皆山は答えられない。
まあ当庭先生には
ウチのものが張り付いているし
文科省にしろ
その事は承知しているはず。
おかしなことはできないか。
「言えないわけか」レム。
全く話が見えない。
「こちらは」
「私の元-----
いや-----
現かな-----同僚の暁川君。
こちらは捜査一課の双風さん。
私の中学時代の同級生だ」
「よろしく。
暁川です」
「こちらこそ」
暁川は迷惑そうに。
「どうします。
皆山さん」
「仕方ないだろう」
「それはそうですが」
部屋の中にはパソコンが-----一台。
それを目ざとく見つけ
レムが。
「例の校長のメル友宛のメール
解読できたの。
それでパスワードは」レム。
「それは-----まだだよ。
それに警察がやってもダメだったのに
どうして我々が-----」私は-----。
すでにデーターも
パソコンからロードした映像のコピーも
別の場所へ移してある。
「だけど双風さん。
ヒドイなあ。
例の喫茶店や
バーでの会話の事。
ずっと私を張っていたとは」
「それは-----
こっちも仕事だし。
それで本当のところは
どうなの」
レムは急に真顔になり。
私は苦笑した。
「君のところの課長も
言っていただろう。
私はシロだよ。
文科省も」タメ息を。
「二課の資料も一応-----読んだけど。
ザッとだけどね。
汚職の件はシロ-----のようだけど
どうしても納得できないのよ」
まだ疑惑は残るが。
「いくら聞かれても
知らないモノはね」
レムは暁川にも。
「本当に文科省はシロなの」
「本当-----ですよ。
我々はシロです」暁川。
「だったらどうして
皆山君が中学に教師として-----。
またイジメの実態調査なんて事
言うんじゃあ。
そんな事信じないわよ。
それに喫茶店やバーで話していた事
チャンと説明できるの」
「だから-----
本当にそうだよ」
「だったらこのパソコンは」
「それは-----
パソコンくらいどこにでも」
「本当に。
そう言えば暁川さん。
確か-----
校長のメル友に
そんな名があったような-----」
レムは暁川を。
文科省関係者は二人。
その名くらいチャンと。
レムは動揺する暁川を-----ジロリと。
「パスワードは-----
わかったの」
「それは-----」私は。
レムはパソコンのまわりを
目ざとく-----。
「これは」
例の-----
ある筋から手に入れた
校長のメル友のリストだ。
レムはニヤリと。
アドレスもハンドルネームも
住所、氏名
全てのっている。
「予想はしてたけど-----
これをどこから手に入れたの。
やはりウチの“上”から」
「それは-----言えないだろう」
「まあいいわ」
レムはパソコンを。
メールを-----開いた。
「やはりこれは暁川さんのパソコンね。
校長のメールは」
メールの内容を見ればそのくらい。
すでに都合の-----
ところは消去してある。
「パスワードは」
「だからまだ」
「本当に。
文科省なら知っているかと」
「わかるわけないだろう。
校長がやったんだし」
「それはそうか。
でも-----
ウチの課長がここへ来たでしょう」
「エッ?」私は-----。
「例のパソコンを持って」
私は-----黙ったまま。
「それで課長。
パソコンをここに運び入れて
しばらくしてまた
出て行ったでしょう。
運び入れたパソコンを持って」
「見ていたの」
「エエ。まあ」
閏部たちからの連絡を受け
レムも応援に。
あの後-----
課長自らもとの持ち主に
パソコンを返したという事だ。
「マサカ-----
パソコンをイジッて
データーを消去したんじゃあ
ないでしょうね」
「マサカ-----」
レムは疑わしげに。
「どうして文科省は。
ウチの“上”もだけど
そこまでして今回の事件を
隠そうとするの。
もうすでに八人も死んでいるのよ。
その中には虹口さんや校長先生も。
我々警察にしろ
大量殺人なんだし。
それに私たちが同僚を殺されて
黙っているわけないでしょう。
それをどうして
課長までも-----。
知っているなら教えてよ」レムは。
“こんな事
黙っていろと言うのだろうか
“上”の方は。
どうして。
それに本当に
私たちが黙っていると
思っているのだろうか”
私は-----。
「暁川さんも
あなたも文科省でしょ。
中学生が五人も死んでいて
何とも思わないの。
皆山君も-----。
あなたもあなたよ。
それに今度は
当庭先生が危ないんでしょう。
どうするつもり。
当庭先生に何かあれば」
私も暁川も。
私は暁川に-----目で-----。
「だからこうやって
調べているんじゃないか」私は。
「そんなの信じられないわよ。
汚職じゃないなら
いったいどういう理由で
尽川社長を釈放させて
何をさせるつもりなの。
あれはあなたたちとウチの“上”が
圧力をかけて
そうさせたんでしょ。
それとも汚職の件も
“上”が圧力をかけて
モミ消したとかは」
「だから汚職の件はシロですよ。
良く調べてもらえれば」暁川も。
「大物政治家が関わっているとかは
そういう話もチラホラあったけど
当時のニュースでは。
それならば-----
課長の豹変も。
ウチの“上”の関与も
説明がつくんだけれど」
レムは我々の表情を。
「汚職の件がシロならば-----
大物政治家の件も全くの-----
そうなるだろう。
チャンとそのあたりを調べれば
わかることだろう」私は。
「まあ-----
それは-----そうね」
そういう話は-----
漏れて来るものだが
全く-----。
当時、二課からもどこからも。
特に“上”から圧力などがかかれば
放って置いても漏れてくるモノなのだが。
行き着けの飲み屋にでも誘えば
イヤと言うほどグチが帰ってくる。
しかし-----
今回の件に関しては-----
苦りきった表情で
あれはマチガイだの一点張り。
“その話はよしてくれ
ガセネタをつかまされた
あの野郎”
とグチばかり。
異様なほど口がかたい。
どういう事なのか。
「だったら尽川社長が
勝手にやったって事。
でもそれならばどうして-----
圧力までかけて
尽川社長を釈放しなければならないの」
「それは-----
尽川社長の場合
証拠もないのに
あれ以上留めて置けないからだろう。
それにあれは
お宅の課長が勝手に釈放したんだし
我々としてはもう少し-----」
片がつくまでは-----。
“上”がもう少し早く手を打っていれば-----。
「だったら-----
あなたたちがシロだとしたら
やはり尽川社長が。
あなたたちはそう見ているわけ。
それにウチの課長が
勝手にとはどういう事」
「それは-----」私は。
「我々にわかるわけも」暁川も。
レムは私たちを-----。
「それに課長の
あの態度の急変。
おかしいでしょ」
「だから-----
我々がシロだとわかったからだろう」
「どうやって」レム。
「それは-----」
「それなら私にもわからせてよ」
「それは-----
二課からの捜査資料を見てだろう」私は。
「それだけで-----
マサカ」
「それでも信じられないのなら
二課の刑事さんに
直接聞けばいいじゃないか」
「だから-----それは-----。
彼らも アレは間違い-----だと-----しか」
歯切れが悪い。
言ってから“しまった”と。
「そうだろう。
だから彼らも
そうとしか言えないわけさ」
レムとの押し問答は
しばらく続いた




