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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
50/77

47ー48

47


 双風レムは-----

マンションの玄関へ。

 チャイムを鳴らした。

 カメラ越しに

声が。

 「双風さん。

 どうしてここが」

 ここは都内某マンション。

 すでに紋味課長は引き上げたらしい。

 「皆山君。

 入れてくれる」

 むこうで-----

誰かと話す声が。

 文科省の暁川ぎょうかわという男だろう。

 「いいよ。

 入って」

 レムは中へ。

 エレベーターで。

 部屋の前に立った。

 ドアが開き

中から皆山が。

 レムは中へ入った。









48


 「双風さん。どうしてここが。

 いや-----どうしてここに」

 私は開口一番。

 「私たちを甘く見ないでよ」

 「やっぱり手を引く気は

ないのか」私は。

 「いえ-----

他のみんなは手を引くそうよ。

 課長の命令じゃあね。

 これは-----

私個人の-----。

 そういう事よ」

 私はニヤリと。

 「仕方ないか。

 手を引いた方が

いいと思うけどね。

 まあ中へ入って」

 「手を引いた方がいいって

やっぱり虹口さんのように」

 私はレムをジロジロと。

 「双風さんは-----

大丈夫-----だと思うけどね。

 -----もう」

 「どうして」

 「いや-----それは。

 危ないのは

むしろ我々の方だしね。

 いや-----」

 私は-----

言い過ぎた。

 「どういう事

それ。

 それに“もう”って。

 まさか-----

当庭先生まで」レムは怒りに。

 「それは-----

我々は殺人なんてしないよ」

 「じゃあ。

 どういうことなのよ」

 皆山は答えられない。 

 まあ当庭先生には

ウチのものが張り付いているし

文科省にしろ

その事は承知しているはず。

 おかしなことはできないか。

 「言えないわけか」レム。

 全く話が見えない。

 「こちらは」

 「私の元-----

いや-----

現かな-----同僚の暁川君。

 こちらは捜査一課の双風さん。

 私の中学時代の同級生だ」

 「よろしく。

 暁川です」

 「こちらこそ」

 暁川は迷惑そうに。

 「どうします。

 皆山さん」

 「仕方ないだろう」

 「それはそうですが」

 部屋の中にはパソコンが-----一台。

 それを目ざとく見つけ

レムが。

 「例の校長のメル友宛のメール

解読できたの。

 それでパスワードは」レム。

 「それは-----まだだよ。

 それに警察がやってもダメだったのに

どうして我々が-----」私は-----。

 すでにデーターも

パソコンからロードした映像のコピーも

別の場所へ移してある。

 「だけど双風さん。

 ヒドイなあ。

 例の喫茶店や

バーでの会話の事。

 ずっと私を張っていたとは」

 「それは-----

こっちも仕事だし。

 それで本当のところは

どうなの」

 レムは急に真顔になり。

 私は苦笑した。

 「君のところの課長も

言っていただろう。

 私はシロだよ。

 文科省も」タメ息を。

 「二課の資料も一応-----読んだけど。

 ザッとだけどね。

 汚職の件はシロ-----のようだけど

どうしても納得できないのよ」

 まだ疑惑は残るが。

「いくら聞かれても

 知らないモノはね」

 レムは暁川にも。

 「本当に文科省はシロなの」

 「本当-----ですよ。

 我々はシロです」暁川。

 「だったらどうして

皆山君が中学に教師として-----。

 またイジメの実態調査なんて事

言うんじゃあ。

 そんな事信じないわよ。

 それに喫茶店やバーで話していた事

チャンと説明できるの」

 「だから-----

本当にそうだよ」

 「だったらこのパソコンは」

 「それは-----

パソコンくらいどこにでも」

 「本当に。

 そう言えば暁川さん。

 確か-----

校長のメル友に

そんな名があったような-----」

 レムは暁川を。

 文科省関係者は二人。

 その名くらいチャンと。

 レムは動揺する暁川を-----ジロリと。

 「パスワードは-----

わかったの」

 「それは-----」私は。

 レムはパソコンのまわりを

目ざとく-----。

 「これは」

 例の-----

ある筋から手に入れた

校長のメル友のリストだ。

 レムはニヤリと。

 アドレスもハンドルネームも

住所、氏名

全てのっている。

 「予想はしてたけど-----

これをどこから手に入れたの。

 やはりウチの“上”から」

 「それは-----言えないだろう」

 「まあいいわ」

 レムはパソコンを。

 メールを-----開いた。

 「やはりこれは暁川さんのパソコンね。

 校長のメールは」

 メールの内容を見ればそのくらい。

 すでに都合の-----

ところは消去してある。

 「パスワードは」

 「だからまだ」

 「本当に。

 文科省なら知っているかと」

 「わかるわけないだろう。

 校長がやったんだし」

 「それはそうか。

 でも-----

ウチの課長がここへ来たでしょう」

 「エッ?」私は-----。

 「例のパソコンを持って」

 私は-----黙ったまま。

 「それで課長。

 パソコンをここに運び入れて

しばらくしてまた

出て行ったでしょう。

 運び入れたパソコンを持って」

 「見ていたの」

 「エエ。まあ」

 閏部たちからの連絡を受け

レムも応援に。

 あの後-----

課長自らもとの持ち主に

パソコンを返したという事だ。

 「マサカ-----

パソコンをイジッて

データーを消去したんじゃあ

ないでしょうね」

 「マサカ-----」

 レムは疑わしげに。

 「どうして文科省は。

 ウチの“上”もだけど

そこまでして今回の事件を

隠そうとするの。

 もうすでに八人も死んでいるのよ。

 その中には虹口さんや校長先生も。

 我々警察にしろ

大量殺人なんだし。

 それに私たちが同僚を殺されて

黙っているわけないでしょう。

 それをどうして

課長までも-----。

 知っているなら教えてよ」レムは。

 “こんな事

黙っていろと言うのだろうか

“上”の方は。

 どうして。

 それに本当に

私たちが黙っていると

思っているのだろうか”

 私は-----。

 「暁川さんも

あなたも文科省でしょ。

 中学生が五人も死んでいて

何とも思わないの。

 皆山君も-----。

 あなたもあなたよ。

 それに今度は

当庭先生が危ないんでしょう。

 どうするつもり。

 当庭先生に何かあれば」

 私も暁川も。

 私は暁川に-----目で-----。

 「だからこうやって

調べているんじゃないか」私は。

 「そんなの信じられないわよ。

 汚職じゃないなら

いったいどういう理由で

尽川社長を釈放させて

何をさせるつもりなの。

 あれはあなたたちとウチの“上”が

圧力をかけて

そうさせたんでしょ。

 それとも汚職の件も

“上”が圧力をかけて

モミ消したとかは」

 「だから汚職の件はシロですよ。

 良く調べてもらえれば」暁川も。

 「大物政治家が関わっているとかは

そういう話もチラホラあったけど

当時のニュースでは。

 それならば-----

課長の豹変も。

 ウチの“上”の関与も

説明がつくんだけれど」

 レムは我々の表情を。

 「汚職の件がシロならば-----

大物政治家の件も全くの-----

そうなるだろう。

 チャンとそのあたりを調べれば

わかることだろう」私は。

 「まあ-----

それは-----そうね」

 そういう話は-----

漏れて来るものだが

全く-----。

 当時、二課からもどこからも。

 特に“上”から圧力などがかかれば

放って置いても漏れてくるモノなのだが。

 行き着けの飲み屋にでも誘えば

イヤと言うほどグチが帰ってくる。

 しかし-----

今回の件に関しては-----

にがりきった表情で

あれはマチガイだの一点張り。

 “その話はよしてくれ

ガセネタをつかまされた

あの野郎”

とグチばかり。

 異様なほど口がかたい。

 どういう事なのか。

 「だったら尽川社長が

 勝手にやったって事。

 でもそれならばどうして-----

圧力までかけて

尽川社長を釈放しなければならないの」

 「それは-----

尽川社長の場合

証拠もないのに

あれ以上留めて置けないからだろう。

 それにあれは

お宅の課長が勝手に釈放したんだし

我々としてはもう少し-----」

 片がつくまでは-----。

 “上”がもう少し早く手を打っていれば-----。

 「だったら-----

あなたたちがシロだとしたら

やはり尽川社長が。

 あなたたちはそう見ているわけ。

 それにウチの課長が

勝手にとはどういう事」

 「それは-----」私は。

 「我々にわかるわけも」暁川も。

 レムは私たちを-----。

 「それに課長の

あの態度の急変。

 おかしいでしょ」

 「だから-----

我々がシロだとわかったからだろう」

 「どうやって」レム。

 「それは-----」

 「それなら私にもわからせてよ」

 「それは-----

二課からの捜査資料を見てだろう」私は。

 「それだけで-----

マサカ」

 「それでも信じられないのなら 

二課の刑事さんに

直接聞けばいいじゃないか」

 「だから-----それは-----。

 彼らも アレは間違い-----だと-----しか」

 歯切れが悪い。

 言ってから“しまった”と。

 「そうだろう。

 だから彼らも

そうとしか言えないわけさ」

 レムとの押し問答は

しばらく続いた



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