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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
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     5


 旧校舎。

 少子化の影響により今は使われていない。

 近く取り壊されるという話もチラホラ。

 ここへの立ち入りは禁止されてはいるのだが

問題のある生徒たちにとり格好の-----

たまり場?-----と化しているようだ。

 「しかし季末の奴が

 血相変えて飛び込んで来たしな。

 やっぱり何かあったのかな」

 「まさか-----二年前の-----。

 また誰かが」

 「よせよ-----そんな事。

 そう何回もあってたまるか」

 「だったらどうして-----季末の奴が。

 それに他のクラスも全部自習だぞ」 

 「本当か」

 他のクラスもか。

 この三人。

 三年二組の生徒。

 季末はその担任だ。

 自習になったのをいいことに-----

教室を抜け出し。

 「でもな、お前。

 二年前の自殺した奴」

 よそのクラスの生徒の名など。

 「尽川じんかわか」

 「そいつと同じクラスだったんだろう」

 「どうしてそいつ-----死んだんだ」

 一人の生徒の表情が強張った。

 「いや-----。

 勉強に-----悩んでたみたいだし-----。

 友人関係にも-----」

 モゴモゴと。

 あんな奴、

助けて何の得がある。

 世の中の有難みをわからせてやろうと

クラス全員でからかったり

無視したり-----。

 そんな事言えるわけも。

 「なるほどな」

 当時の学校側の説明そのままか。

 「それより

この旧校舎の中を探検しないか。

 一度やってみたかったんだ」

 「一組の何とかいう奴が自慢してたが-----。

 何もないっていう話だぞ」

 「だいじょうぶか-----。

 ここへ入ると夢見が悪くなるって話だぞ」

 直角に折れ曲がった校舎。

 三階建てだ。

 各階教室が三つずつ。階段は二ヵ所。

 一ヵ所は端に、

もう一ヵ所は折れ曲がったところにある。

 現在使用している新校舎-----。

 とはいえ

できてからだいぶ年数が経っている-----

からは離れている。

 その中には

以前、理科室として使われていた教室もある。

 いまはどうなっているのやら。

 三人は中へと入った。

 簡単なバリケードのようなものはあるが

無理をすれば中へ入れる。

 内部は不気味な暗さだ。

 人がいないだけで-----

机も椅子も残っている。

 掃除用具をいれるロッカーもそのまま。

 一階から二階へ。

 あまりいい気は。

 「なにもないな」

 「まあ-----そんなもんだろう」

 三人は理科室へ。

 扉を開け-----中へ。

 実験用の薬品類は-----全くない。

 ホコリが積んでいるかとも思ったが

キレイなものだ。

 その時-----ロッカーの扉が開いているのに

 目をとめた。

 中から何かがころげおちている。

 だいぶ大きい。

 一人が叫んだ。

 「椰田-----どうして」

 一二年次に同級生だったらしい。

 頭から血を-----黒っぽいものを流している。

 “死んでいる”

 三人とも咄嗟にそう思った。

 顔面蒼白。

 三人とも逃げ出した。

  

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