44
44
「課長。
どういう事ですか」日堀が。
他の刑事も。
「アレでいいんだ。
私を信用しろ。
我々は文科省からは
いっさい手を引く。
文科省を当たっている者も
そのつもりで」
「そんな」
「尽川社長、一本でやる。
いいな」
日堀たちは。
「わけを言ってください。
いったいどこから圧力が」
「そんなもの。
無視してやればいいんだ」
「課長。
今までも、
そうしてきたじゃないですか」
「それをどうして」
「虹口さんの死は
どうなるのですか」
「虹口さんは
自殺なんかじゃ」
「虹口さんが自殺などするわけが。
虹口さんのかたきを」
「虹口か」
紋味も怒りをこらえきれず。
怒りに身体が震えている。
何かを言いたげな。
しかし思いとどまった。
「だったらどうして」
「とにかく文科省からは手を引く。
あの皆山-----先生からもだ。
それと-----
尽川社長だが」
紋味は-----
目に涙を-----
悔しさを隠すように-----。
「釈放する事にした」
全員-----。
「課長。
いいかげんにして下さい。
いったい誰がそんな事をしろと」日堀。
「そんな奴の言う事を
どうして聞くのですか」
「これは-----。
私の考えだ。
“上”は関係ない。
“上”は尽川を。
そんなことできるか。
いや-----。
尽川はたたいても何も吐かないし
何も知らない。
新しい証拠も-----
例のハンカチだけでは
れ以上留めておけないだろう」紋味は-----。
「それは-----」
「逮捕したのに
釈放するんですか」
「実行犯も特定できていないし
堆村も死んだ」
「ですが虹口さんを殺ったのは
奴に-----。
堆村に間違いないでしょう。
それを」
「いくら課長の命令でも」
「課長は虹口さんのかたきを
取りたくはないんですか」
「しかし-----
堆村が死んだのは-----
殺害されたのは
虹口が死ぬ-----
何日も前だ。
校長の野里が殺害された
前日には、もう死んでいた。
堆村が失踪した日の
夜にはな」
「それは-----」
「だから堆村が
犯人ではありえない。
校長と虹口の件に関しては-----だ」
紋味は-----つらそうに。
「ですが他の件は」
「それも-----
違う-----だろう」
「どうしてそう言えるんですか」
「課長。
いったいどうしたんですか」
「とにかく尽川は釈放だ」
紋味は-----。
「それと-----。
例の校長の残したパソコンの件だが-----」
「まだ-----
今解析中です」
「パスワードさえ見つかれば」
「文科省の事も」
「だから-----
汚職の件はシロだ。
あの中には
何も-----入っていない。
だから-----
元の持ち主へ返そうと思う」
紋味は言いにくそうに。
「-----」
「そんな」
「全て回収して。
そうだな。
私が持ち主のところへ
持って行こうと思う。
いいな」
日堀たちは-----。




