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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
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 「課長。

 どういう事ですか」日堀が。

 他の刑事も。

 「アレでいいんだ。

 私を信用しろ。

 我々は文科省からは

いっさい手を引く。

 文科省を当たっている者も

そのつもりで」

 「そんな」

 「尽川社長、一本でやる。

 いいな」

 日堀たちは。

 「わけを言ってください。

 いったいどこから圧力が」

 「そんなもの。

 無視してやればいいんだ」

 「課長。

 今までも、

そうしてきたじゃないですか」

 「それをどうして」

 「虹口さんの死は

どうなるのですか」

 「虹口さんは

自殺なんかじゃ」

 「虹口さんが自殺などするわけが。

 虹口さんのかたきを」

 「虹口か」

 紋味も怒りをこらえきれず。

 怒りに身体が震えている。

 何かを言いたげな。

 しかし思いとどまった。

 「だったらどうして」

 「とにかく文科省からは手を引く。

 あの皆山-----先生からもだ。

 それと-----

尽川社長だが」

 紋味は-----

目に涙を-----

悔しさを隠すように-----。

 「釈放する事にした」

 全員-----。

 「課長。

 いいかげんにして下さい。

 いったい誰がそんな事をしろと」日堀。

 「そんな奴の言う事を

どうして聞くのですか」

 「これは-----。

 私の考えだ。

 “上”は関係ない。

 “上”は尽川を。

 そんなことできるか。

 いや-----。

 尽川はたたいても何も吐かないし

何も知らない。

 新しい証拠も-----

例のハンカチだけでは

 れ以上留めておけないだろう」紋味は-----。

 「それは-----」

 「逮捕したのに

釈放するんですか」

 「実行犯も特定できていないし

堆村も死んだ」

 「ですが虹口さんを殺ったのは

奴に-----。

 堆村に間違いないでしょう。

 それを」

 「いくら課長の命令でも」

 「課長は虹口さんのかたきを

取りたくはないんですか」

 「しかし-----

堆村が死んだのは-----

殺害されたのは

虹口が死ぬ-----

何日も前だ。

 校長の野里が殺害された

前日には、もう死んでいた。

 堆村が失踪した日の

夜にはな」

 「それは-----」

 「だから堆村が

犯人ではありえない。

 校長と虹口の件に関しては-----だ」

 紋味は-----つらそうに。

 「ですが他の件は」

 「それも-----

違う-----だろう」

 「どうしてそう言えるんですか」

 「課長。

 いったいどうしたんですか」

 「とにかく尽川は釈放だ」

 紋味は-----。

 「それと-----。

 例の校長の残したパソコンの件だが-----」

 「まだ-----

今解析中です」

 「パスワードさえ見つかれば」

 「文科省の事も」

 「だから-----

汚職の件はシロだ。

 あの中には

何も-----入っていない。

 だから-----

元の持ち主へ返そうと思う」

 紋味は言いにくそうに。

 「-----」

 「そんな」

 「全て回収して。

 そうだな。

 私が持ち主のところへ

持って行こうと思う。

 いいな」

 日堀たちは-----。


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