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私は都内のマンションにいた。
ここはまだ知られていないはず。
チャイムが鳴った。
同僚の暁川だった。
ドアを開く。
中へ。
「つけられなかったか」
「充分注意したつもりですが」
私は
カーテンを引いた部屋の窓から
カーテン越しに外を。
大丈夫なようだ。
「ブツは」
「これですが」
暁川はノートパソコンをカバンの中から。
「イヤ。偶然でした。
私があの中学の校長の
メル友だったなんて」
「だが-----
それで君も
警察から調べられるかも知れん」
「それは-----そうですか。
でも大丈夫ですよ。
しゃべりませんから」
「当たり前だ。
もう少しだ。
頼むよ」
しかし-----大丈夫か。
“上”の方はうまくやってくれるのか。
それにこの暁川にしろ。
「わかってます」
「校長のハンドルネームはこれだ」
「よく手に入りましたね。
やはり-----」
「そうだ」
私はあるところから手に入れた
手帳のコピーを。
そこからの情報によると
私もマークされているらしい。
パソコンを起動させ
ホームページを。
「パスワードはわかりますか。
一応解読ソフトは持って来ましたが」
「もし映像か何かなら
文章でもだ。
それ自体が暗号化されていれば
やっかいだが-----」
「まあそれでも-----
映像の暗号化のソフトが
わかっていれば
何とか」
「そうだな」
「それよりも
何桁のパスワードですか」
「順番に当たるしかないか」
「そうですね」
私は-----
校長の手帳のコピーを。
「この中にはパスワードは
書かれてなかったですか」
「そのようだ。
それで警察は今-----
暗号解読ソフトを使って
片っ端から」私は。
「では我々も-----。
しかしそれでは
むこうの方が-----早く解読を。
これは-----
本省へ持ち帰って」
「それよりウィルスを使って
全部消せないのか」私は。
「それは今やっていますが
すでに押収されたパソコンも
ありますので-----」
「そのパソコンのデーターは消せないか。
校長もやっかいな事を」
「それは」
「そうだな。
今できることをやるしかないか」
「ではさっそく。
どこまで校長が
つかんでいたのか」
「とにかくやってみるか」
暁川がパソコンにソフトを。
私は画面を。
私はハッと-----
思いついた事が。
「ちょっと待て」
パソコンのキーボードを。
「これは」暁川。
「そうだ。
もしかして」
パソコンを-----
その画面が変わった。
「校長の奴」私は。
「これは-----。
殺られて当然か」暁川。
私たちは画面に見入った。




