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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
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    4


 警視庁裏海うらうみ警察署。

 校長と当庭は

当庭のマイカーで乗りつけた。

 光対中学のある所轄署ではないため

初めての来訪だ。

 受付で。

 そして担当の部署へ。

 生徒の両親がいた。

 刑事にどうも事情を聞かれているようだ。

 当然か。

 この二人の親。

 当庭も校長も顔見知り。

 問題の多い生徒だったため

しょっちゅう顔を合わせていた。

 当庭たちの顔を見るなり。

 「先生、これはどういう事ですか。

 ウチの子は」母親が泣き崩れた。

 「母さんまだ-----自殺と決まったわけでは。

 事故の可能性も」父親が。

 「あの連中のせいに決まってます。

 もし事故だったにしても

危ないところを連れ回したに決まっています。

 だからあれほど頼んでおいたのに」

 当庭も校長もその顔には苦渋の色が。

 この生徒の両親は二人とも-----。

 “あの子たちが金目当てに

自分の子を連れ回した”と

思い込んでいる。

 しかしあの子たちはそんな事はしない。

 当庭は信じたかった。 

 子供たちとも何度も話し合った。

 あの子たちにかぎって。

 それより気がかりが。

 この両親の話を真に受けた警察が-----

あの子たちに疑いの目を。

 その事で壊れやすいあの子たちの心が

どうなるか。

 それが原因で-----。

 さらなる問題行動に走る事にでもなれば。

 「仏さんの中学の先生ですか」刑事が。

 「いろいろご両親にも

 話をお聞きしているのですが」別の刑事も。

 「はい、担任の当庭です」

 「校長の野里ともうします」

 「校長先生」

 まだ事件か事故か。

 自殺と決まったわけでもないし、

刑事にしろあまり乗り気ではないらしい。

 「それで遺体はごらんになられましたか」

 「いえ、まだ」校長。

 「ではこちらへどうぞ」

 遺体の安置室へ。

 死体は-----峰月護夫-----のようだ。

 水死体は身体がふやけて-----わかりづらい。

 今はやりのDNA鑑定とやらもするらし。

 「まだ死因ははっきりしませんが

これから司法解剖にまわしますので」

 「死亡推定時刻は」校長。

 「それもその時に」

 その時、

 校長の携帯が。

 「失礼します」

 校長が部屋の隅で携帯を。

 きっと学校からだ。

 マスコミへの対応やらなにやらで。

 「何だって」校長が思わず叫んだ。

 「それで警察に

連絡したものかどうかだって」

 校長は当庭の方を。

 「当庭君、どうしよう」

 その顔は真っ青。

 携帯を握ったまま。

 そばにいる刑事も。

 当庭が校長から携帯を。

 相手は教頭だった。

 「教頭先生。

 何か」

 「エッ?何?

 何ですって。

 旧校舎に死体が。

 頭から血が。

 椰田-----椰田ですって」

 むこうも相当あわてている。

 要領を得ないがだいたいの事は。

 当庭の表情からも血の気が。

 “どうしよう”。

 椰田輝雄。

 彼は峰月護夫-----ここにある死体の名だ-----

といつも-----。

 その六人の中の一人。

 その場にいた刑事も

びっくりした様に。

 「警察へは-----連絡は」当庭。

 “しっかりしなくては。

 ここで動揺しては。

 気をしっかり持て”

 当庭は自らに言い聞かせるように。

 「どうしていいのかわからない。

 それで校長先生に連絡を」

 当庭がオウム返しに。

 当庭は校長を-----。

 校長も少しおちついたよう-----。

 顔色は真っ青だ。

 「とにかく警察へ」校長。

 「どうしよう」

 当庭は刑事と目が合った。

 「ここは-----警察だった。

 刑事さん-----」

 校長も-----刑事を。

 刑事は。

 「ウチでは。

 所轄が違うので-----」

 どうしていいのか。

 「そちらで110番を」

 当庭が教頭へ。

 「そちらで警察へ」

 「すぐに帰ると教頭先生に」校長。

 二人はあたふたと。

 “どうなっているんだ”




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