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ある中学校教師の殺人事件簿  作者: 維己起邦
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 光対中学校。

 校長室。

 私はそこにいた。

 「皆山君。

 何か思い当たる事は」双風レム。

 「思い当たる事-----と言っても」

 昨日は-----大変だった。

 朝から校長の殺害現場へ。

 そして-----

早く片をつけなければ。

 「何でもいいんだがね」日堀係長。

 「校長先生。

 何か言ってなかった。

 何かをつかんだ-----とか」レム。

 「それは-----わからないよ。

 校長は-----

君も知っているように

尽川社長の事に

かかりっきりだったしね。

 何とか-----尽川社長を-----

助けようとして。

 当庭-----先生たちと」

 私は-----歯切れが悪い。

 しかし片をつけるといっても

どうやって。

 「そうか-----何も-----。

 それでは当庭先生ならば

何か知っているかも」日堀。

 「それは-----

どうですか。

 まだ当庭先生には

聞いていないのですか」

 「いや-----

一応は聞いたんだが

君と同じでね。

 何もわからないとしか」

 私は-----ホッ

 「そうですか。

 それで-----

何かわかりましたか」

 「何かって」レム。

 「いや

校長が-----

何か犯人の手がかりになるような-----

モノを残していなかったかってね」

 「それは-----」

 レムは日堀を。

 日堀は首を縦に。

 「ダイイングメッセージのようなものが-----

見つかってね」

 「ダイイングメッセージ」

 私は血の気が引いていくのを-----。

 しかしそれならば。

 「イヤ。手帳にね。

 死んだ校長の

スーツのポケットに入っていたんだが

そこにね。

 まあ-----

ダイイングメッセージではなく

遺留品かな。

 これが現物だ」

 日堀は手帳を見せた。

 ナイロン袋に入っている。

 「中身は」私は。

 「これは見せるわけにはいかんが-----

コピーを取ってある。

 見るかね」

 「いいんですか」

 日堀はコピーを。

 それを見た途端-----私は-----

“犯人はこの中に”

そう書いてあった。

 そして-----

人の名が。

 それも-----多い。

 数十人分。

 「メル友のリストだよ。

 校長。

 インターネットでメールをやっていたようだし

そのメル友のメールアドレスと名前。

 ハンドルネームだよ」日堀。

 「ですがこれでは

ハンドルネームだけでは何も」私は。

 「だからプロバイダーに協力を求めてね。

 その連中の住所と名前をね。

 そのリストがこれだよ」

 別の紙を-----差し出した。

 私はそのリストを

ひったくるように。

 そして食い入るように

名前を捜した。

 「どういう事だ-----」

 思わずつぶやいた。

 「我々もそれには

頭を痛めていてね。

 思い当たる名はないかな。

 当庭先生や他の先生方にも

見せたんだが-----

何もわからないという事でね」日堀。

 「当庭先生にも-----ですか」

 「我々がマークしている人物も

尽川社長の名もないし-----

どういう事か」レム。

 「それでよく調べてみると

例の文科省。

 そこの官僚や職員の名があってね」日堀。

 私は思わず-----。

 「どれですか」

 「赤い丸でチェックしてあるだろう」

 私はリストをもう一度。

 「これですか」

 その名を食い入るように。

 「その中で-----

校長と親しかった者は-----

いないかね」日堀。

 私はその名を-----。

 “アイツか。

 コイツもいる。

 マズイ事を”

 「それで警察は

どう見ているんですか」

 私は聞いてみた。

 “校長は犯人を知っていた。

 それで-----。

 しかしそれならば-----どうして。

 どういう事だ。

 この中に犯人とは”

 「いや-----それで今

このリストにある者たちを

手分けして当たっているんだが。

 特に文科省関係をね。

 その内、連絡が来るだろう」

 私は校長室を見回した。

 校長室の書架には

コンピューター関係の本が

ギッシリと。

 レムはそれを目に留め

 「校長先生。

 コンピューターに」

 「もともと工学系の大学を卒業して

教師になった人だしね」

 私は-----そのくらいの下調べは-----。

 「そうだったの」レム。

 「知らなかった」

 教師の出身大学など

いちいち知っている子供はいない。

 「ウイルス対策に

コンピューター言語」レム。

 何種類もある。

 CにC++。

 JAVAにPYTHON。

 RUBYにPERL、PHP

 等々。

 ○○のコマンドもある。

 「暗号化技術に-----

ハッカーの本まであるわね。

 どういうつもりでこんな本を」

 私はコンピューターを捜した。

 その中には。

 ノートパソコンはいつもあのあたりに

しまってあるはず。

 しかしそこにあるはずのコンピューターは。

 「コンピューターはお借りして

今調べているところだ。

 メールのやり取りから

何かわかるかと思ってね。

 しかし-----

コンピューターのデーターの-----

メモリーの中には何もなかったよ。

 不思議な事に-----

全て消されていた」

 「犯人がですか」

 「それはわからない。

 校長本人かも。

 しかし-----

データーは消しても

ある操作をすると。

 ソフトを使ってね。

 データを復元できるらしいんだ。

 データー復元ソフトというのがあるそうだ。

 しかしそれを使っても-----

復元できなかったようだ」

 「それでは犯人は

相当-----コンピューターにくわしい事に」私は。

 「そうなる。

 もし犯人が消したのならね」

 「この手帳の中にある

メル友のリストに書かれた

“犯人はこの中に”

の意味は。

 皆山君。

 何か思い当たる事はない」レム。

 現物のコピーだ。

 カラーの。

 「それは-----」

 “マサカ”

 ご丁寧に赤でメル友のリストの上に

“犯人はこの中に”

と書かれている

 ハンドルネームの上に-----だ。

 「この連中に

メールとして送ったのなら

すぐにわかるしね。

 メールを彼らが開けばね。

 よくいるんだよ。

 そういう人も。

 あの事件の犯人を知っている

云々-----てね。

 メル友に自慢げにね。

 しかしそれなら当然

警察に通報があってもいいはずなんだが

今のところない」

 「それも今調べているところよ」レム。

 「そうですか」

 私は-----。

 何かヒントを。

 机の引き出しを。

 「あまりイジらなんでくれよ。

 我々も調べたんだがね」

 私は-----

書類を。

 しかし何も。

 部屋の中を。

 ヒョットして-----。

 日堀の携帯が鳴った。

 全員日堀の方を。

 「何?

 虹口がいた。

 それで-----どこに」

 「虹口さん。

 昨日から行方不明なの」

 レムが私に。

 私は-----

何ともいえない表情を。

 「何-----

そんな-----。

 本当か」

 日堀は私の方を見た。

 その目は-----

涙が-----。

 それをこらえながら

怒りに-----。

 「すぐ行く」

 日堀は携帯をきった。

 「係長。

 虹口さんに何かあったんですか」レムが。

 私は気まずそうに。

 「虹口が死んだ」

 「エッ?」レム。

 「自宅のマンションから

飛び降りたそうだ。

 今朝早く-----」

 「そんな-----。

 どうして虹口さんが

自殺する理由なんて-----。

 まさか-----殺されたんじゃあ」

 「皆山先・生・は

どう思われます」

 日堀は怒ったように-----

押し殺した声で。

 今にも飛びかからんばかり。

 「虹口さんが-----自殺ですか。

 それは-----」

 私はどう答えたものか。

 「まだ-----

自殺と決まったわけでは」日堀。

 「あんないい人が。

 どうして」レム。

 私は-----

感情を押し殺すように。

口をへの字に結び-----。

 そして-----。

 「自殺なら-----

原因になるような事は」

 「それは-----これから調べる」日堀。

 「借金とかは-----」私は。

 「そんな事。。

 あるはずありません」レム

 「他に自殺の原因となるような事は」

 「ない-----

と思う」日堀。

 「それならば-----

殺害された可能性も」私は-----。

 「虹口は文科省を追っていた。

 その関係で

何かつかんだのかも」

 「また文科省ですか。

 それよりも-----

身内の事をもっと-----。

 いえ-----何も」

 私は-----

グッと押し殺した。

 「どういう意味だ」日堀。

 レムは何か言いたそう。

 それを日堀が-----。

 「とにかく-----

虹口が殺害されたとなると

これで七人だ。

 これほど大規模に

大量に。

 それも短期間に

殺人を犯せるとなると-----

相当な組織を

相手は持っていると

考えざるを得ないだろう。

 しかし刑事まで殺すとは-----

どういうつもりで-----」

 「ですが-----。

 今までにも

そんな大量殺人

いくらでも-----。

 いえ

それはそちらの仕事でしたか」

 私は引き下がった。

 「それよりも係長。

 現場へ」レム。

 「それも-----そうだな。

 皆山先生。

 あなたも来られますか」

 「-----」

 拒否できる状況ではなかった。

 三人は校長室をあとにした。




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