35
35
虹口はある文科省の
キャリアの自宅近くにいた。
校長の死体が発見されたのは
今朝の事。
それからは-----
いそがしすぎて。
いつもの事だが。
あの校長とは
付き合いも長かったのだが。
深夜。
枠沢と書かれた表札のかかる家。
“局長”
だそうだ。
文科省の。
「虹口さん。
何かつかんだんですか」
後輩の尉海刑事が。
「何かつかんでりゃ
すぐに報告してるよ」虹口は言った。
「それで-----
まだ行方不明の衛山を捜して」
「同じ中学の後輩だしな。
親にも泣きつかれて-----」
「ですが他にも何人も
衛山の行方を追っていますし-----。
何も虹口さんが-----」
「まあ、そう言うな。
他にもいろいろあるしな。
事件はこれ一つじゃない」
“仏の虹さんか-----”
「例の強盗殺人事件ですか。
二ヶ月ほど前に起きた」
むごたらしい事件だった。
「気になってな」
「しかしこちらの方が-----
すでに六人も。
それも連続で。
しかもさらに被害者が増える可能性も。
いったいどういう神経でいるんですかね。
犯人は-----。
“上”もウルサイですし
早く何とかしないと」
「まあそう言うな。
そういう性分だ。
殺されたのが一人だからといって
放ってはおけないだろう。
せめて俺だけでも。
こちらも気にはなるんだが。
何せ殺されたのが
中学の後輩だしな。
それに-----
犯人の気持ちか-----。
尽川の奴。
いや-----
よそう」
虹口は文科省の
局長の自宅をジッと。
自宅の周囲には刑事たちが何人もいる。
自宅を望めるアパートも
すでに手配済み。
そこにも詰めている。
「それと虹口さん。
堆村のところの
火炎川がどうのと言っていましたが」
「あれか-----。
あれはまだ-----
刑事のカン-----
というだけの話だ。
それを少し調べようかと
思っている」
「私も協力しましょうか」
「いや。いい。
一人で」
「そうですか」
虹口は時計を見た。
「他の連中の様子も見て来る」
虹口は自動車を離れた。
自宅の裏口を
張り込んでいる連中へ。
今のところ何もないらしい。
まあ、局長直々に動く事はないか。
「アパートにも寄ってみるか」
虹口は暗い路地を-----。
自宅からは少し離れている。
突然。
数人の男が
虹口の前に立ちふさがった。
「あんたたちは」虹口は-----。
「虹口さん。
少しお聞きしたい事が。
我々と一緒に来ていただけませんか」
男たちは虹口を取り囲むように
少し離れたところへ。
自動車が来た。
それへ連れ込んだ。
虹口は何の事か。
おとなしく-----。
自動車は虹口を乗せ。




