32
32
翌日。
「どういう事ですか。
校長まで」
私は当庭の姿を見るなり。
先に来ていたらしい。
「そんな事言われても-----
わからないよ」
当庭も困惑している。
「犯人はいったい
どういうつもりで」
私は-----
何とか平静をよそおい。
校長の顔が頭をよぎる。
「校長が何かつかんだ
という事かしら。
そうとしか」
レムもいた。
「いったい何を」私は。
「皆山君。
何か思い当たる事は」レム。
「そう言われても-----」
私は当庭を。
「私にも-----全く-----」
当庭もわからないという表情を。
「くわしい事は解剖してみないと
わからないが
殺害方法は
他の者たちと同じようだ」
虹口もいた。
「これで六人ですか」レム。
現場は規制線が張られ
入る事ができない。。
鑑識があたりかまわず
「それで何かわかりましたか」
私は-----を隠すように。
「イヤ。まだ何も。
手口から見て
同一犯の犯行かと-----
思われるんだが」
「そうですか。
でしたら-----
やはり探偵が」私は。
「マークしていたのでは」当庭。
「それが-----
逃げられた」虹口。
「我々の失態だ」日堀も。
「ですがどうして-----」私は。
「それは-----」
「これで尽川の奴。
ますます怪しくなったわけか」当庭。
「亡くなった校長は
最後まで尽川をかばって-----。
いや、信じていたが
こんな事に」虹口も。
「警察のマークを知って
校長を殺害するために
逃げた。。
姿を隠したのでしょうか」当庭
「それ以外に-----
姿を隠す必要は
ないですし」虹口。
私は-----。
「中学生五人と校長先生。
いったいどういうつながりが
あるのですか。
尽川社長にとって」レムが。
「校長が犯行を目撃したとか
それで-----」質石もいる。
「ではどうして
校長は警察へ話さなかったの。
あの三人が殺害されてから
何日も経っているし」レム。
「それは-----
犯人をゆすろうとして」質石。
「校長はそんな人じゃないわ」レム。
「だったら-----
犯人をかばっていた-----
とかは」
「尽川社長は教え子だし-----。
でも尽川社長が
直接手を下したわけではないし-----。
それなら殺されたのが
教え子なんだし。
どうしてかばう必要が」レム。
「それは-----そうですか。
しかし-----
尽川社長が指図していたのを
知っていたならば」質石も。
「それは-----」
あるか-----。
「それとも
犯人たちの会話を
偶然立ち聞きしたのかも」
レムは皆山を。
「文科省の汚職がらみなら
どうなる」
日堀が割って入って来た。
私は-----。
その件は-----。
「文科省の汚職。
それならどうして校長が-----。
中学生にしても
どういう理由で殺されなければ」私は。
「それを調べるのが
我々の仕事だ。
調べればわかる事だ」日掘。
「なるほど」
私は。
警察はどこまで-----
事件についてつかんでいるのかを-----
知りたかった。
それに-----汚職の件は-----。
「汚職専門の-----
エー-----二課ですか。
そっちは何と言っています」私は。
「それは今照会中だ。
縦割り行政の不備というか
何というか。
顔見知りにも当たっているんだが
口がかたくてね。
みんな口をそろえて
“あれはマチガイだった”。
“もう捜査はしていない”。
そうとしか言わない。
みんなニガリきった表情でね」
「捜査が終わっているのなら
教えてくれてもいいでしょうに。
どうして」レムも。
「だから-----
そういう事-----
じゃないのか」
「継続中か-----」レム。
日堀は私の表情を。
“あの件は-----”
「それで文科省と今回の事件。
何らかのつながりがあるとなれば
ウチも二課と
合同でやる事になるかも知れん。
まあ-----
確実な証拠なり何なりが
出ればの話だがね」
「そうですか。
では警察は
尽川社長の線よりも
そちらの方があやしいと」
私は無表情に。
「いや。
本丸はあくまで尽川社長だ。
尽川と文科省が共犯という事も
ありうるしね。
それで二課にも
内々で頭を下げてね。
例の汚職に関わったとされる
人物の名だけでも
-----文科省関係でだ-----
聞こうと思っているんだがね」
「なるほど」
私は当庭たちを。
レムの表情を。
全員私の方を-----。
「他の線はないですか。
例えば-----
行きずりの犯行で
顔を見られ次々に-----
とかは」
「今のところ
その線はないよ」
日堀はニヤリ。
捜査を混乱させようとして
そういう事を言う者もいる。
ヒョットして文科省の者なら-----
やりかねないか。
「最初に殺害された
峰月の線からも。
彼の親は資産家ですし
洗ってはみたのですが-----
全く-----」質石。
「となるとやはり-----
尽川社長が」私は。
「そうなる。
他には考えられない。
それと文科省だ。
彼らが
どう関わっているかだよ」日堀。
私は-----。
「文科省がどういう形で関わっているか
-----ですか。
動機はいったい」当庭も。
虹口からすでに
皆山の事は。
汚職の事を何とか聞き出し-----。
そうすれば尽川を-----。
まあその内。
「それで文科省の動きは。
尽川社長の周辺を
探っているという話でしたが-----。
他には-----
例えば例の探偵とかは」私は。
警察はどこまで-----。
「それが今のところ
尽川の周辺だけのようだ」日堀。
「尽川社長を口封じのために-----
という事は」質石が。
「文科省がか」虹口。
「それは-----不可能だろう。
文科省にしろ。
我々が尽川の身柄を確保している事は
知っているし、
どうやって」日堀。
「それはそうですか。
だったら-----
危なかったわけですか。
何人も人を殺害するような
連中ですし」
質石は私を-----。
「それはあるか」日堀。
「君はどう思う。
皆山先生」虹口も。
「そう言われても
当庭先生はどう思われます」
「いや
全くわからないよ。
どうして文科省が-----
尽川社長を」
「別の理由で
尽川社長の周辺をさぐっていた
という可能性は」私は
「どういう理由で」日堀。
「それは-----
わかりませんが」
「それはあるか。
それならば文科省の連中に
さぐりを入れてみる手もありますか」虹口。
私は-----
内部告発が。
怪文書も-----。
「官僚という奴らは
口が堅いですし
何も出て来ない可能性も」
「そうかな。
案外、口の軽い者も多いよ。
その手のミステリーでは
そうだがね」日堀。
「ここは一つ。
文科省を徹底的に当たってみますか」虹口。
「そうしてくれ」
私は-----。




