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自動車の中でレムは。
後輩の若い
-----といっても歳はそう変わらないか-----
刑事の質石が。
「どう思います。
文科省の件」
「それをこれから調べるのよ」レム。
「光対の森近辺の
コンビニから提供された例のビデオ。
あそこに関係者でも映っていれば
大変な事になりますね」
今調べているところだ。
“映っている-----だろうな”レムは。
“あの時会っていた男が
文科省となれば。
皆山君は。
二人が話し込んでいるところも
監視カメラに。
あの喫茶店には確か」
「双風さん。
道が。
文科省へは」質石が。
「いいのよ。
だまってて」
レムは-----
中学校の卒業者名簿をもとに
皆山の元の住所を。
借家住まいだったらしい。
大家に当たる。
「皆山さん、皆山さんねえ」
大家が。
警察だと名乗るとシブシブ。
「何か事件ですか」
「いえ-----それは」レム。
同僚の質石はだまったまま。
「皆山さんの一家の事なら
よく覚えていますよ。
確か十何年か前に
引っ越していかれましたが。
ご主人の仕事の都合とかで」
「どこへ引っ越されたか
わかりますか」レム。
「さあ-----。
そう言えば
ウチの息子が皆山さんのところの子供と
同級生で
仲が良かったですから。
中学時代に。
それで何度か
年賀状をもらってましたけどねえ」
「中学時代-----。
同級生?」レムは。
「失礼ですが。
大家さん。
お名前は」
「興敷ですが。
なぜ」
「興敷さん」
記憶をさぐる。
出てこない。
皆山の奴-----
私には年賀状を。
エッ。
そう言えば
確かもらっている。
こちらも出した記憶がある。
「アレ、残してあったっけ」レム。
「エッ?」大家が。
「それでその年賀状はどこに」質石が。
「それが-----。
息子は仕事の都合でここには。
連絡を取るにも
今は会社でしょうし」
「他に引越し先の住所とかは
聞いていなかったんですか」質石。
「それが-----
聞いていたとは思うのですが。
もう十何年にもなりますし」
「それは」確かに。
一応、息子の連絡先を聞き
レムたちは。
「双風さん。
皆山というと
あの光対中学の教師でしょう。
しかも、事件の後入った。
それをどうして。
とても今回の事件に
関わりがあるとは思えませんが」
自動車の中で質石が。
「質石君。
これは-----」
レムはどうしようか。
「ここだけの秘密のしてくれる」
「ええ-----それはまあ
いいですが。
他ならぬ双風さんのたのみですから」
「課長たちにも言わなかったんだけど」
前置きして。
「例のバーでね。
その皆山君と
文科省が会っていたのよ。
それも-----。
二人とも
どうも尽川社長を見張っている様子で
気がつかなかった」
質石たちもバーの中にいたのだが。
「いえ-----全く」
質石もどう考えていいのか。
「それで。
皆山君が以前勤めていた
会社とやらについて
調べてみようと思ってね」
「マサカ-----
文科省というのでは」質石。
「-----。
それで-----
まだ-----はっきりするまでは
だまっていようかと」レム。
マンションの前で自動車を停めた。
「待ってて」
レムはマンションの一室へ。
そこはレムの自宅。
「アドレス帳は」
昔のやつだ。
今は-----。
「あった。
これだ」
アドレス帳のページを。
「皆山、皆山-----と」
自宅を後に自動車へ。
ハンドルを握りスタートさせた。
「双風さん。
どこへ」
「皆山君の引越し先がわかったわ」
「さすが同級生」質石。




